【米国:全真相・第二弾】コビントン・カトリック高校の生徒に対する報道で自らの首を絞めたメディアの全容

先住民男性に対するコビントン・カトリック高校の生徒への先走った報道で、フェイクニュースを多くの主流メディアが発信してしまいました。
この事件がどのようにして報道され、そして訂正され、この生徒達を傷つけたか、そして、フェイクニュースで傷ついたこの生徒の悲痛な声明文を先日当サイトでも記事にしました
さらに、この事件の詳細が分かってきました。詳しく流れを報じた記事がありましたので紹介します。
この記事は、「この件について一番いい見解ではないか」と評価の高いもので、さらに当サイトでは細かいニュアンスまでキャッチできる協力者のEimi1003さんに翻訳していただき、分かりやすいように編集しましたので、全容をご覧いただけると思います。ぜひご覧ください。

Post by Mariko Kabashima, Translated by Eimi1003  2019/01/29 15:44

The Atlantic by Caitlin Flanagan 2019/01/23】

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 序章 

 

1月18日(金曜日)に、MAGA(Make America Great Again=アメリカに再び光栄を)の帽子を被った白人の少年達が、リンカーン記念堂で高齢者の先住民男性に野次を飛ばした。
「アメリカに再び光栄を!」と野次を飛ばし、威嚇し、人種差別的な言葉で嘲笑した。
ドナルド・トランプ大統領のアメリカでは日常茶飯事、いやもしかしたらそれよりも頻繁に起こる出来事。
しかし今回は動画という名の証拠があった。この動画の中に、「このような出来事が実際に起こったという証拠がない」というのは問題になったのだろうか。いや、問題にならなかった。
とにかく重要なのが、その出来事が起こったという事と動画があるという事。
動画の中身よりも動画そのものの存在の方がより強く印象に残った。


 

最初に拡散された2つの動画

 

この動画には、部族のドラムを叩く先住民男性が、透き通った肌と寒さで赤くなった唇の少年の前に立っているのが映されていた。少年はMAGA帽子を被っていて、男性に対して容赦なく、かつ不可解な笑みを浮かべていた。
彼の周りの少年達は分散していろんな事をしていた。ドラムに合わせて踊ったり、互いに対してそしてiPhoneに対して変顔をしたり・・・。そして徐々に周りで起こっている事に飽き始めた。
だけどすぐに動画の重要な部分が、笑みを浮かべる少年とドラムを叩く男性という事になった。何かの感情の虜になっているようだが、一体何なのだろうか?

 

20秒、そして30秒が経過。未だに少年はその不可解な笑みを浮かべていた。
どのようにしてこの奇妙な感情が高まった状態になったのだろうか。この短い動画だけでは、知るのは不可能なのだ。

 

動画内容に具体的な証拠がないのにも関わらずネットで拡散されたこの動画は、存在自体が人種差別的な嫌がらせの証拠とされた。そのため、少年は怒りと 嫌悪感の対象となった。女優のデボラ・メッシングはツイッターで「彼が私の息子だったら私は恥ずかしくてゾッとすると思う」とも発言した。

 

もう一つの動画も拡散された。ドラムを叩いていたネイサン・フィリップスとのインタビュー動画だ。この出来事が起きる少し後に撮影されたものだ。

動画は何か訴えかけるような見慣れたものだった。疲れ果てたロドニー・キングがロサンゼルス暴動の最中で「仲良く出来ないものか?仲良くしよう?」と聞いている場面や(1967年に起こった)ペンタゴンでのデモで美しいヒッピーの少年が憲兵の銃の銃身に花を詰める場面を彷彿とさせた。

 

リンカーン記念堂で太陽が天井を照らすマジックアワー(日没前)の時間帯に、フィリップスは夕陽の光を背景に立ち、目から涙を拭いながら何が起きたか話していた。少年達、政府、国について言及していた。
彼の声は柔らかいものの、不安定だった。そしてこう話し始めた。

 

「俺が歌っていたら、彼らが『壁を作れ、壁を作れ』と話しているのが聞こえた。これは先住民の土地であり、壁を作るべきではないんだ。壁を作った事はないんだ。牢獄なんてものもなかった。いつも年寄りの面倒を見たし、子供達の面倒も見た。善悪の区別も教えた。あの若者達が国をよくするために情熱を注いでくれたいいのにな。例えば腹が減っている者を助けるとか」

 

彼の発言は感動させるものだったし、先程起きた酷い出来事に関しての説明だった。
「彼らが『壁を作れ、壁を作れ』と話しているのが聞こえた」

国が失くした魂へ思いを馳せるものだった。また、フィリップス氏が応じた一連のインタビューの中で一番初めのもので、マスコミよりも上手く何が起きたか伝えたのだ。彼の立場を表明したインタビューは包括的で、マスコミは彼に対して恩人ぶった優しい態度で接したため、彼の矛盾する証言に直接突っ込みを入れる者はいなかった。

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