【米国―ロシア疑惑】米法学者:マイケル・フリン元大統領補佐官は無実と主張。ツイッターで擬似情報が拡散

2016年の米大統領選におけるロシア疑惑の真相を解明するのにカギを握るとされるマイケル・フリン元国家安全保障補佐官。偽証罪を認めたことで昨年起訴され、今月18日の公判では疑惑操作が完了するまでの間、判決の先送りが決まりました。欧米や日本のメディアは、あくまでもトランプ米政権に不利であり、大統領の弾劾問題に発展する可能性に焦点を絞って書き立てています。

しかし、フリン元補佐官の起訴は、トランプ政権に痛手を与えることに執念を燃やす極左勢力の存在を示す証左に他ならず、「連邦捜査局(FBI)はフリン元補佐官を罠にかけた」(Boston Herald.com)と論陣を張る有識者は少なくなくありません。一連の成り行きが「米刑事訴訟のなかで最も恥ずべき案件の一つ」(Fox News Insider)との見方もあります。

そうした論客のひとり、名門ハーバード大学の法学者アラン・ダーシュビッツ氏が、フリン元補佐官の18日の公判に先立って、フリン元補佐官は偽証罪にあたる罪を犯していないと法的根拠を挙げて指摘したところ、ツイッター上で擬似情報の旋風が起きた、という話をご紹介します。

Post by Eshet Chayil  2018/12/23   11:22 update 2018/12/24  15:23

Gatestone by  Alan M. Dershowitz 2018/12/21 】

ツイッターによる「誤報(ミスインフォメーション)の拡散

アラン・ダーシュビッツ寄稿


・ 連邦捜査局(FBI)の捜査官に虚偽の供述をしたとしても、その嘘が捜査の材料とならない場合は、犯罪としての立件はできない。

・ 「(合衆国連邦法典第18編=U.S.C title18)第1001条は、偽証罪の成立に必要不可欠な条件として、その虚偽の供述が(捜査内容にとって)材料となることを明らかに要求している。法令 (a2)によると(偽証罪の対象は)『捜査の材料としての虚偽、架空、詐欺的な供述、表現を意味するもの』である」(ツイッター上で氾濫した誤報のつぶやきに対するアラン・M・ダーシュビッツ氏による反論)。

・ もしもツイッター利用者が擬似記者として情報(ストリー)を伝搬したい場合は、書き込む内容の事実を確認する必要がある。でなければ、彼らは偽情報の拡散に加担したことになる。


ツイッターによる(問題発言の)取締りに関する責任問題を巡る論争において、米国における国家的な論議の最前線を担っているのは利用者たち各自です。このプラットフォーム(媒体)では、公平で正確なストーリーを広めるという役割もまた、利用者たち個人が担っています。ツイッター上で情報は電光石火の如くで広まる上、「ニュース」となったストーリーは勝手に一人歩きする術も持ち合わせます。当然ながらプラスの面もあるので、私自身も頻繁に使っています。異なる種類の人々が素早く情報を発信することができるフォーラムであり、情報の民主化が望めます。しかし、ツイッターはあまりにも頻繁に、欺きと誤解を招くために利用もされてしまっています。

ツイッター上で私は、誤解を招くニュース記事のターゲットになることがよくあります。脈絡を全く無視したり、発言内容があまりに短絡的に圧縮されていたり、あからさまな嘘に基づいたものがあります。その最も顕著な例と言えるのは、マイケル・フリン元大統領補佐官がFBI捜査官への虚偽供述を認めたことに関する解説でしょう。
(フリン被告が判決を言い渡される予定だった日の前日の)12月17日、(フォックス・ニュースの)ビル・ヘマーのインタビューを受けましたが、フリンが偽証罪で有罪と認めたことが与える影響について尋ねられました。私はまず最初にこう説明しました。

「明日の公判で、判事の理解が得られることを願っています。フリンは偽証という罪は犯していないのです。なぜなら、偽証罪が成立するには、その嘘がFBIの捜査にとって材料を与える要素がなければいけないからです。もしもFBIが、すでに設問の答えを知っていて、それにも関わらず、フリンが(不利と受け止められる可能性がある事実を隠すため)、嘘をついてしまうように陥れるためだけの目的によるのであれば、フリンの応答が、たとえ偽りだったとしても、それは捜査の材料という(偽証罪の成立に必要不可欠な)条件を満たさないのです」

 

(偽証罪立件に関する法律とその適用について)要点は分かりやすく説明しています。その数分後、ヘマーは話題をフリンに戻しました。私は、もう一度、調査の材料性(マテリアリティ)という必要不可欠な条件について、前述の議論を、下記のように、はっきりと分かりやすく説明しようとしました。

「(虚偽罪の成立には)その嘘が調査に材料を与えているという必要不可欠の条件があります。もし FBI がすでに事実関係を把握して、それにも関わらず、彼らに嘘をつかせる機会を与える(罠にかける)ためだけに設問したのであれば、その応答が、たとえ嘘であっても、その嘘が捜査の材料であるという偽証罪の立件に必要不可欠な条件を満たさないのです。ここで明らかなことは、 [ヘマーの割り込み]… FBI に嘘をつくのは犯罪ではない [ヘマー割り込み]… 」。

 

私は中断され、「嘘が操作の材料という必要不可欠な条件を満たさない場合、FBIに嘘を言うことは犯罪には当たらない」という私の論点を言い終えることができませんでした。

(偽証罪立件に関わる重要なポイントである)捜査の材料性についての私の論点は繰り返し、分かりやすく説明されたにもかかわらず、ツイッター利用者や「ハフィントン・ポスト」のような報道機関は、「FBI捜査官への嘘は犯罪ではない」という私の言葉尻を捕らえ(て曲解し)ました。この引用は、脈絡を無視しており、不完全なものです。それはビデオ映像からも明白です。私の発言は中断され、全てを言い終えていないのです。しかも、インタビューの中で私は、他の複数の観点から、包括的な論拠をはっきりと説明します。この1件はしかし、(尾ひれがつき)勝手に一人歩きしてしまったのでした。ツイッターのコメント欄には、誠実さに欠ける表現で(私の論点を)歪曲した見方があっという間に広がり、溢れてしまったのです。


ジョーダン    @JordanUhl
アラン・ダーシュビッツは、マイケル・フリンが「偽証罪という罪は犯していない」、「FBI に嘘をつくのは犯罪ではない」と言っただけだ 。

 


ジャスティン・ウェッズ   @justinwedes   .@AlanDersh’owitz #Flynn defense in layman’s terms:
「リトル・ジョニーは瓶の中からクッキーを盗み喰いしたが、彼のママはジョニーが取ったことを知っていた。だから、ママに聞かれたときジョニーが噓ついたことは、彼の罪とはならない」「ママが恥ずべきだ。こんな風に倫理観を問うなんて、可哀想なリトル・ジョニー!」


エイプリル@ReignOfApril
これは、全くの嘘!U.S.C第18編1001条は、虚偽供述は、捜査への材料性に関わらず、犯罪としている。法律家じゃなくても知っているわ。グーグルの検索結果があなたの間違いを証明してるわよ。法律家として長年活動している者として、あなたの凄まじい凋落ぶりを見るのは悲しいことです。

 

アラン・ダーシュビッツ  @AlanDersh 

FBI捜査官への嘘を偽証として立件するのは、その嘘が「材料」となる時に限られます。もしもFBIが質問の答えをすでに知っていたとしたらー彼らが録音記録を持っていたとしてもー嘘を導き出すための設問だった場合、それが捜査の材料に当たると言えますか?


アラン・ダーシュビッツ    @AlanDersh
第1001条は明確に、嘘が捜査の材料でなければならないことを定めています。法令 (a2) は、「材料的に重大な虚偽、架空、または不正の陳述や表明を行うこと」を記してます。だから、嘘をついてるのは君のほうだ。謝ってもらいたい」。


ミスター・マーク・ポッツ   @mrmarkpotts
「右派の言い分はつまり、FBIに嘘をついても捕まった場合だけが、悪いってことか。分かったよ」

アラン・ダーシュビッツ  @AlanDersh


FBI捜査官への嘘が偽証罪として立件されるには、その嘘が「材料」である時に限られます。もしもFBIが質問の答えをすでに知っていたとしたらー彼らが録音記録を持っていたとしてもー嘘を導き出すための設問だった場合、それは材料に当たると言えますか?

これらはまさにツイッターの問題点です。情報は高速で拡散し、利用者は(拡散のスピードを)維持するため、虚偽のつぶやきを迅速に繰り返すだけで、問題の深層を見ようとしません。ツイッターで私を攻撃している人たちが、ほんの少しでも時間を割いてビデオ映像を見て、論拠の元となる情報を確認しさえすれば、私が提示している論点の真意は明らかになります。さらに、彼らは、私の論点を包括的にまとめた最近の記事のどちらかを読むことだってできるのです。「ザ・ヒル」に掲載された「マイケル・フリンは嘘をついてのか?」と「米国の連邦刑法はアメリカ人の倫理規範を訴追するべきか?」の2本です。ところが、事の真相を図ろうともせず、人々は簡単にリツイートしたり、不正確な引用による私への攻撃をして来たのです。

こうしたツイッターによる擬似情報の拡散の問題をさらに悪くしているのは、ツイッターが歪曲や偏見を(まるで正しいかのように)確認をとる「エコーチェンバー(反響の殿堂)」となっていることです。利用者は同じような思想を持つ別の利用者をフォローし、また別の利用者からフォローされています。誤報が広がっても、その不正確さを指摘する人は誰もいません。私がこの誤解を招く「ニュース」の拡散を知らされ、修正を出すことができた頃には、その(間違った)話しはすでに伝播し、勝手に1人歩きを初めていました。
皮肉なことには、前述した「ザ・ヒル」の記事のなかで、私自身がこう注意を喚起していたことです。「 ハイパー・パートナシップ(ネット上における非常に底の浅い関係)において、最初に犠牲となるのは、微妙な意味合いの違いであろう」と。「微妙な意味合いが不十分な分派として非難されるとき、真実が次の犠牲となります」。ツイッターの場合、迅速性や安易さ、分裂を煽る媒体の性格上、利用者に微妙な意味合いの違いを読み取らせることや、追求させることができません。

人々がツイッターをニュースを受信して読む場所であり、また読んだことを信じることのできる媒体として、継続させるのであれば、利用者はより責任ある(閲覧や伝搬の)姿勢が問われます。もしも利用者が擬似記者としてしたい報道に加わりたい場合は、書き込んで伝搬する内容の事実チェックをする必要があります。それをおこたるならば、彼らは偽情報の拡散に加担したことになるのです。

アラン・M・ダーシュビッツ氏は、名門ハーバード大学法科大学院のフェリックス・フランクフルターの名誉教授。「トランプ大統領弾劾の反論」の著者(2018年7月スカイホース社から出版)

(海外ニュース翻訳情報局  序文&翻訳 : エセト・カイル  編集:樺島万里子)

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