【カナダ:速報】ファーウェイ CFO:カナダ・バンクーバーで逮捕、米国送還へ

本日、ファーウェイのCFOメン・ワンツォウ氏がカナダ・バンクーバーで逮捕されたというニュースに衝撃が走りました。
日本の主流メディアでも報じられているので御存じだと思います。
同氏を逮捕した当事国であるカナダのメディアの記事を読むと、カナダと米国、中国の関係が報じられていて、とても興味深いです。
当サイトでも、ファーウェイについての記事を、今年の2月にも紹介しましたが、かつて世界の工場だった中国が力をつけ、IT分野などの先端技術の盗用は世界的に問題とされています。
今となっては、当時、技術提供していた先進諸国は、いつの日かこの後進国が技術を持ち、先進国を追い抜くだろうということを、どの国もまったく予想していなかったのだろうかと思います。
数と経済と軍備という力で世界を支配しようとしている中国、その暴挙の部分を阻止するには、同じ力を持つところだけが、交渉のテーブルにつけるということを改めて気づかされます。
この記事は、カナダで第一報をしたThe Global and Mailから紹介します。
ぜひ、原文をご覧ください。

Post by Mariko Kabashima  2016/12/06 22:44

The Globe and Mail  by ROBERT FIFE、STEVEN CHASE 2018/12/05】

カナダは、中国のファーウェイテクノロジーズの最高財務責任者 (CFO) を逮捕した。同氏は現在、米国の対イラン貿易制裁に違反した疑いで、米国に送還される。

1日土曜日、ファーウェイ取締役会の副会長であり、同社創業者のレン・ツェンフェイ(任正非)の娘でもあるメン・ワンツォウ(孟晩舟)は、米国の法執行当局の要請でバンクーバーにて逮捕された。

米司法省の報道官、イアン・マクラウド氏は、「彼女は米国に身柄引き渡しを求められ、保釈の審問が金曜日に予定されている」と述べた。「現在、裁判所から報道禁止命令になっており、これ以上の詳細は申し上げられない。禁止令はメン氏からの要請である」と述べた。

逮捕に詳しいカナダの捜査当局者によると、米国はメン容疑者が米国によるイランへの禁輸措置を回避しようとしたと主張しているが、それ以上の詳細は明らかにしていない。この情報源はThe Globeから匿名で提供された。なぜなら、彼らが逮捕について公に発言する権限がなかったからだ。

ニューヨークの米国検察当局は、ファーウェイが4月にウォール・ストリート・ジャーナルが初めて報じた米国のイラン制裁に違反したかどうかを調査している。

ファーウェイはThe Globeへの声明の中で、メン氏は「ニューヨーク東部地区で詳細不明の容疑」に直面しており、カナダで飛行機を乗り換える際に逮捕されたと述べた。

「当社は、メン氏逮捕に関する情報をほとんど提供されておらず、同氏の不正行為を認識していない。当社は、カナダと米国の法制度は最終的には正しい結論に達すると信じている」 とファーウェイは述べ、「適用される輸出規制および制裁法を含む、適用されるすべての法律および規制を遵守している」と付け加えた。

オタワの中国大使館は、メン容疑者がカナダや米国の法律に違反していないとして逮捕に強く抗議し、即時釈放を求めた。

「我々は,本件の進展を注視し,中国国民の正当な権利及び利益を断固として保護するためのあらゆる措置をとる。」(中国大使館)

6日木曜日に予定されていたLu Shaye中国大使と全国人民代表大会 (全人代) の高官4人も下院外交委員会への出席を取りやめた。

保守派の外交評論家、エリン・オトゥール氏は、「なぜ(出席が)取りやめられたのかはまだ答えが出ていないが、非常に興味深いタイミングだ」と述べた。

カナダ当局がこのような有名な中国人―特に米国への引渡しを求めたもの―を拘禁する決定を下したことは、カナダと中国の関係を損なう可能性がある。

中国と米国は、同盟国や貿易相手国に、貿易戦争において協調するよう求めており、トルドー政権は、米国やメキシコとの自由貿易協定の交渉を再開したことで、中国との間で何らかの貿易協定を締結することを積極的に表明してきた。

前駐中カナダ大使のデビッド・ムローニー氏は、メン氏の逮捕は中国での反発を招き、西側諸国でのビジネス獲得に向けたファーウェイの取り組みを損なうだろうと予測した。

同氏は、「これは大変なことだ。メン氏は生まれながらの中国の企業の特権階級の一員である」と述べた。

「イラン制裁違反の疑いで逮捕されたことは、カナダが中国の反発に直面する意思があることを明確に示している。そうは言っても、中国から見ると、ドナルド・トランプのためのカナダのこびへつらいとして映る。また、この逮捕は、同社自身が西側に残存している支持者たちの信頼できるインフラ・パートナーとしてアピールしようとするファーウェイの取り組みを致命的に弱体化させる恐れもある」(ムローニー氏)

今回の逮捕は、中国の通信会社が次世代の5Gモバイルネットワークに参加することを阻止するよう、カナダが米国から強い圧力を受けていることを受けたものだ。

米国とオーストラリアはファーウェイの5G通信を禁止しており、先週、ニュージーランドは「重要なネットワークセキュリティリスク」を理由に、この中国企業の機器を5Gネットワークへの設置するため、無線通信事業者の1社からの最初の要請を阻止した。

米上院情報委員会委員のマルコ・ルビオ共和党上院議員は、メン容疑者逮捕についてカナダを称賛し、ファーウェイに5G技術を禁止するよう、ジャスティン・トルドー首相に再度要請した。

「ファーウェイは中国政府や共産党と直接関係があり、米国の安全保障に深刻な危険をもたらしてきた。私はカナダに対し、5Gの開発、導入、保守のあらゆる面でファーウェイを含めることを再考するよう強く求めている」 とルビオ氏はThe Globeへの声明で語った。

ルビオ氏とマーク・ワーナー民主党上院議員は10月、トルドー氏に書簡を送り、ファーウェイを禁止しなければ、情報共有の妨げとなり、通信分野での国境を越えた協力が損なわれる可能性があると警告した。

上院の軍事委員会と銀行委員会のメンバーである共和党のベン・サッセ上院議員も、逮捕を称賛し、ファーウェイを中国共産党の代理人だとして批判した。

「中国は独創的に米国の安全保障上の利益を損ねており、米国と同盟国は傍観することはできない」 (サッセ氏)

「アメリカ人は、米国の対イラン制裁を破ったとして、我々のパートナーであるカナダが中国の巨大通信会社の最高財務責任者を逮捕したことに感謝している」(サッセ氏)

民主党のクリス・ヴァン・ホーレン上院議員は、ファーウェイと中国の通信会社ZTEは西側諸国の安全保障にとって根本的なリスクだとし、「中国とその政府が支援する団体は、法の重大な違反と我々の安全に対する脅威に対して責任がある」という包括的な計画を求めた。

少なくとも2016年以来、米国当局は、ファーウェイが米国の輸出および制裁法に違反して米国産製品をイランなどの国々に輸送したとされるファーウェイ疑惑を再調査している。

ウォール・ストリート・ジャーナルが最初に報じた米司法省の捜査は、ファーウェイと中国のスマートフォンメーカーZTEが、自社の技術を使って米国人をスパイしている疑いがあるとして、米国経済へのアクセスを停止または縮小することを目的とした一連の対策に続くものだ。

ウォール・ストリート・ジャーナルの情報筋によると、この捜査についてはブルックリンの米連邦検事当局から漏れたものだという。しかし、検察は捜査の存在を肯定も否定もしなかった。

サブリーナという名前のメン氏(46歳)は、2011年にファーウェイの最高財務責任者 (CFO) に就任し、4人の副会長の1人でもある。彼女は現在、世界第2位の電気通信機器メーカーである深圳に拠点を置くファーウェイのトップ職を目指しているようだ。彼女の父親は、人民解放軍の元技術者だった。

同氏は2013年、香港に拠点を置くスカイコム・テック社の取締役を務めていたが、その後、禁輸対象のヒューレット・パッカード(HP)のコンピュータ機器をイラン最大の携帯電話事業者に売却しようとしたと、ロイターが報じた。報道によると、スカイコムはファーウェイと関係があるという。

スカイコムの提案書の少なくとも13ページには「ファーウェイ社外秘」と記され、ファーウェイのロゴが掲載されていた。ファーウェイによると、同社もスカイコムもHPの機器を提供していないという。HPは、イランへの製品の販売を禁止していると述べた。

メン氏の逮捕を受け、米国株式先物取引とアジア株が急落した。米国と中国が3ヵ月間、激しい貿易戦争の縮小に向けた交渉を開始したことを受け、米国の金利上昇など、世界経済の成長リスクに対する国際投資家の懸念が高まっている。

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子)

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