【米国:イスラエル、パレスチナ問題】集団自衛権の行使:酷似してきた中南米の大規模キャラバン隊と、ガザ国境付近の衝突の真の事情

自国の国境と自国民を守る「集団的自衛権」行使のあり方に対して、注目が集まっています。

麻薬関係のギャングや殺人容疑者、さらに中東関係者などを含むとされる未曾有の規模の中南米キャラバン隊が、米南部の国境を目指し、メキシコを突き進んでいることを受け、緊急会見したトランプ米大統領は1日、投石などの暴力行為には「(武力を持って)迎撃する」と発言し、一部で暴徒化したと伝えられる移民集団の北進牽制に努めました。

究極に左翼化している米大手メディアはこれに対し、6日に控えた米中間選挙を前にしたトランプ政権による「恐怖感を煽る選挙手法」と批判的です。

一方、ガザ地区のパレスチナ人問題は、国連が、加盟国193カ国のうち、有毒ガスによる自国民の大量虐殺など、各種の人権蹂躙が問題視されるべきはずのシリアや、イラン、ジンバブエ、北朝鮮など192カ国を一絡げに押し退けて、その貴重な時間の実に半分を注ぎ込む「大問題」の扱い。今年5月の米大使館のエルサレム移転を背景に、ガザ国境の衝突が激化したことでは、イスラム原理主義のテロ組織ハマスによるイスラエル市民に対する無差別攻撃やテロ扇動の事実を全く無視して、イスラエル批判が国連で繰り広げられました。

イスラエル寄りの立場をとるトランプ政権には、リベラルなユダヤ系米国人の論客からも批判が噴出。

中東情勢を一触即発にしたと内外メディアから集中砲火を受けました。

しかし、米国はパレスチナとイスラエルの「2国家共存」を掲げたオスロ合意の立役者。パレスチナ自治政府が10月半ばに、国連で最多参加国を抱える途上国77カ国グループの来年の議長国として選ばれたことに対し、警鐘を鳴らす米トランプ政権の思惑とは何でしょうか。

2国間の和平交渉なしで、なし崩し的に進む国連でのパレスチナの国家承認への動きこそが中東和平を崩すと指摘するイスラエルの英字紙「タイムズ・オブ・イスラエル」の記事を紹介するとともに、大手メディアがあまり報道しない、ガザ国境での衝突の事情にも焦点を当ててみました。

Post by Eshet Chayil 2018/11/03 11:10

「米は反対もパレスチナに国としての新たな権利付与。2019年の国連G77議長国に選出」

Time of  Israel ラファエル・アレン(RAPHAEL AHREN)

国連総会は火曜日(10月16日)、国連の途上国グループ(通称G77、現加盟国134カ国)の議長国という加盟国として権利と特権を「パレスチナ国家」に与えることに圧倒的多数で賛成した。同決議(Resolution A/73/L.5)には実に146カ国が賛成票を投じた。反対は、米国とイスラエル、オーストラリアの3カ国。棄権は15カ国だった。ニッキー・ヘイリー米国連大使は「失策である」と非難した。

ラマラのパレスチナ自治政府はこれにより、決議案や修正案、声明文、動議を共同で提出できるようになる。(本来ならば国連の加盟国が享受する)こうした権利や特権は、国連機関として最大のG77の議長国を務める間の期間限定で自治政府に付与される。任期は2019年1月から1年間。

パレスチナは国連の正式加盟国ではないが、「オブザーバー国家」という特異な地位にある。G77議長国としては今年7月に選出されていた。G77のメンバーは(設立当時の1964年はアジア、アフリカ、南米の開発途上77カ国だったが)現在、中国を含む134カ国に膨れている。国連総会(加盟国は193カ国)でも(数の上での圧倒的な優位性を利用して交渉を有利に進めるために)「ワンボイス(一丸)」となることが多い。

ヘイリー米国連大使は、こうした国連のなし崩し姿勢を強く批判する。「パレスチナは国連の加盟国でないだけではない。(平和協定を隣国と結んだうえで)正式に国家を樹立した『ちゃんとした国家』ですらない」と指摘。正式加盟した国にのみ与えられるべき権利を、軽々しく付与すべきではないとの見解を示した。

「国連が犯した今日の過ちは、中東和平の障害となる。イスラエルとの2国間による平和交渉をしなくても、自分たちの目的を達成できるとする、パレスチナ人指導層の幻想が膨らんでしまうからだ」(ヘイリー米国連大使)。

イスラエルのノア・ファーマン国連副大使も、この決議は「国連の(平和維持という公義な存在)意義を明らかに弱め、なし崩しす」と言及。運営上のテクニカルなことと説明なされているが、決議内容は実際、G77の議長国として必要以上の権限を「オブザーバー国家」のパレスチナに与えていると指摘し、ラマラの自治政府の「計算され尽くした行動パターン」であると厳しく追求した。

ジョナサン・コーエン米国連副大使も、「国連の主要グループを代表して話す資格は正式な加盟国として認証された国にのみ与えられるべきだ」と同様の見解。議決を「見当違い」とした上で、「米国の立場は変わらない」と、国連でのパレスチナの新たな役割を認めない方針を示した。

「G77グループ議長として、パレスチナが国連総会で発言しようとする時、私たちは、米政府がパレスチナを国家として認めていない点、また、存在しない国家が国連の加盟国として承認された事実もない点を指摘して、他の加盟国に喚起をする」(コーエン氏)

採決後に示された、欧州諸国の反応は一貫する。「『賛成票』を事実上のパレスチナの国家承認と解釈してはいけない。G77の議長としての役割をパレスチナがうまく果たすことができるよう願っただけである」(ドイツやオランダ、英国の代表者)

パレスチナに付与される特権が1年間の任期中に限られていることには、総じて歓迎の意が表された。

反対票を投じたオーストラリアは、「パレスチナによる一方的な動きは『2国家共存』の実現を目指す交渉にとって非常に無益であるとする、豪政府の立場を示すもの」と説明した。スコット・モリソン豪首相とマライズ・ペイン豪外相は週初に、この決議案が「(正式な国家樹立ができていない)パレスチナ自治政府が持ち得ない、正式な身分を与えてしまう。従って、和平合意に向けて両者を取りまとめようとする政治努力を台無しにする危険性を孕む」とする共同声明を出している。

一方、パレスチナ自治政府のリヤド・マンソー代表は謝意とともに、意欲も示した。「中国を含むG77グループの議長国として、『パレスチナ国家』がその値すると直ちに証明してみせます。加盟国と建設的かつ包含的で透明な関係を作ります。全人類にとって有益な国際協力体制を深め、相互に利益のある合意を目指します」

決議案をG77の代表として提出したエジプトは、「『パレスチナ国家』は国連の助成で生まれた政策手段であり、すでに正式な加盟国として、幾つかの国連機関に加わっている」と発言。「それぞれの機関が代表者やリーダーの役割を決めるものだ」と立場の違いを鮮明した。

 

 

G77の議長国としての任期中にパレスチナに与えられる権利や特権は以下の通り。G77を代表して声明文を出す権利、決議案や修正案を共同で提出する権利、G77を代表して採択(投票)について説明する権利、G77の代表としてグループの立場を説明する答弁権、非公式討議においてプロシージャ的動議を申し出る権利ー採択(投票)にかける順序や提案を含むーーなど。パレスチナに対するこうした特別措置は、G77の議長国としての効果を上げるためと投票前の発言でエジプトは説明した。

1964年のG77発足当時のオリジナル・メンバーは、エジプト、サウジアラビア、ブラジル、タイ、インドなど。その後、南アフリカ、カタール、キューバ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、シンガポール、アンゴラなどが加わった。つまり、G77は国連加盟国の実に3分の2を占め、世界人口の8割という一大勢力を作る。

次期議長国としてパレスチナが選出された7月、イスラエルのダニー・ダノン国連大使は疑念を表面している。「G77の元々の役割は国連の枠組みの中で、開発途上国の意見を調整し、経済・技術革新をつなげること。それが、(国連教育科学文化機関のように)嘘や暴力の扇動の場と化してしまうのは残念なことだ。G77の目的が達成できないばかりか、パレスチナ自治政府を和平交渉から遠のけてしまう」という。

引用ここまで

アレン記者の記事は、G77議長国の話題に絞られているので、触れてはいませんが、「2国家共存」を模索するオスロ合意を崩す背景は、もう一つあります。

ガザ地区の惨状のことですが、大手メディアはほとんど報道しません。報道されても、因果関係が逆さまになっていることが多く、イスラエル側だけに批判を集中させる結果になってしまっています。

その最も顕著な例は、今年5月にガザ国境の衝突が激化したことを受け、国連人権理事会が5月18日に開催されたガザの緊急会合でしょう。

内外の大手メディアは、あくまでも「平和的な自発デモ」としか報じていませんでしたが、ガザ国境付近で約8ヶ月に渡り続いている緊張の実態は、ハマス戦闘員やハマスの扇動で「人間の盾」として駆り出された市民がタイヤを焼き、煙幕を張り、火炎瓶を投げ、火炎たこを飛ばしてイスラエルの農地や住宅地に放火する野蛮なテロ行為なのです。国境超えに成功した暁には、「ユダヤ人の心臓を抉り出せ」と命令。ハマスは国境に近いイスラエル市町村への最短ルートをソーシャルメディアで流したりさえしています。

そんな実情を全く無視して、ベネズエラ、イラク、イエメン、レバノン、シリア、北朝鮮が次々と、過度な兵力投入や組織的な殺戮とイスラエル批判を繰り広げた後のことです。


ガザ国境で流された血の責任は、イスラエル殲滅を狙うテロ組織ハマスの責任と認めることができない、あなた方にある」

英軍元司令官としてアフガニスタンに駐留、イスラム原理主義のテロ組織と戦った経歴を持つリチャード・ケンプ氏は非政府組織「国連ウォッチ」から特別大使として出席。現地視察の報告として、ハマスがいかに、自治区内の市民の命を顧みず、「人間の盾」を使い、殺戮させているか、またイスラエル市民に対する無差別攻撃を扇動しているかを指摘。真実を真実として見ない国連人権理の茶番こそ、ハマスの卑劣な手段を増幅していると厳しく糾弾しました。

さらに、「もしも、あなた方が本当に人権を大切に思うのなら、イスラエル国防軍(IDF)を賞賛すべきである。虚偽を元に非難するのは以ての外である」と締めくくっています。同氏のスピーチはこちら


ケンプ氏の現地視察報告を報道した大手メディアはあったでしょうか?メディアの偏向は、他にもあります。

例えば、10月最後の安息日27日未明にかけて激化した、イスラム原理主義のテロ組織ハマスによるロケット砲の無差別攻撃。
ガザ地区からイスラエル南部の都市に向けて、合計34発のロケット砲(うち13発は地対空の迎撃システム「鉄のドーム」が撃ち落とした)が打ち込まれました。幸い甚大な被害にはつながりませんでしたが、市民は夜通し鳴り響く警報に防空壕に身を潜め、不安な時を過ごすことを強いられました。

イスラエルの自衛権行使には過敏に反応する大手メディアも、ハマスによるイスラエル市民の無差別攻撃となると、一気に鳴りを潜めます。
報道偏向を監視する非営利組織「BBCウォッチ」は、ハマスによる無差別攻撃について、一言たりとも報道しなかったBBCの報道姿勢を突いています。記事はこちら


また、10月17日には、イスラエル南部のベエルシェバ市にある民家にガザ地区からのロケット砲が着弾、幼い子供3人と母親が間一髪のところで難を逃れました。

ところが、仏AFP通信社はまるでイスラエルが先制攻撃をしたかのように報道。

中東関連の報道偏向を監視する非営利組織CAMERAの指摘で、訂正を余儀なくされたのことをJNSが伝えています。記事はこちら


和平を願った1993年のオスロ合意と翌年の暫定自治合意に沿って、イスラエル政府は2005年秋までに、ガザ地区から完全に退去。墓場に眠る死者さえも全て掘り起こされ、ユダヤ人が完全に抹消された地域なのです。

本来であれば、パレスチナ側は民主化による社会経済の開発を目指すことができたはず。そんな地域にありながら「帰還権を求める」と言うのは、彼らが「2国間共存」を求めていないことの証拠でしかないのです。

ハマスの暴力的な圧政下にあるパレスチナのアラブ人はユダヤ人を憎み、殺戮せよと「洗脳」されています。

一人でも多く殺戮した者は、英雄化され、負傷者や、その家族には、自治区内の平均賃金の倍額という生涯報酬が約束されています。

日本政府も国連への緊急支援に動いていますが、国連からの援助金がテロリストの報酬に充てられているという事実を事実として受け止めることが必要なのではないでしょうか。

ニッキー・ヘイリー米国連大使のように、です。

虚偽の積み重ねの上では、国連が人権憲章として掲げる「人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守の促進」も、中東和平も追求できません。

米南部の国境を目指し北上を続ける中南米のキャラバン隊についても、大手メディアの偏向に惑わされないで、正しい事実を見通す洞察力が問われているのではないでしょうか。

(海外ニュース翻訳情報局 えせとかいる)

 

 

 

 

 

 

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