【米国:中東】トランプの中東和平プラン、ガザの「変革への道」

The Jerusalem Post BY JASON GREENBLATT 2018/10/19 】

「何度もいってきたように、米国はパレスチナの人たちを大事に思っており、助けたいと思っているが、イスラエルの幼稚園にロケット攻撃を仕掛ける政権に力を与えるつもりはない。」

この政権は、罪のない人を標的とし、盾にするテロ組織であるハマスが支持していることには全て断固として反対する。だが2018年10月5日に発表されたヤヒヤ・シンワール氏のインタビューから判断すると、彼はいくつかの点でこの政権の立場に同意していることになるようだ。つまり我々は、パレスチナの子供たちが医者になったり、他のあらゆる職業選択を追及したりするための、あらゆる機会を持つべきだという点で同意しており、子供たちが「世界の他の場所がどのようなところなのか」分かるようになるべきだ、という点で同意している。我々はどちらも、戦争がガザのパレスチナ人により良い生活をもたらすことはないと理解している。そして実際に全ての人にとって、悲惨さ、苦痛、そして損失をさらに生み出すことになるのだ、と。

しかしながら我々は、パレスチナ人により良い生活をもたらす方法については、全く賛成しない。ハマスは自分たちの政治的な目的を遂げるための手段として、暴力を正当化し、テロリズムを選択している。だがシンワール氏も指摘しているが、これが実を結ぶ見込みはない。ハマスは決してイスラエルを打倒することはなく、ロケットも、かぎ十字の描かれた凧爆弾も、テロ・トンネルもガザを破滅へと近づけはするが、繁栄に導くことはない。

同じようなやり方で、国際支援を引き出すために暴力を加えると脅す古い戦術は、失敗している。何度もいってきたように、米国はパレスチナの人たちを大事に思っており、助けたいと思っているが、イスラエルの幼稚園にロケット攻撃を仕掛ける政権に力を与えるつもりはない。ハマスの脅しと暴力行為のために、国際社会によるガザの人道的状況の緩和が妨げられている。10月17日に行われたガザからのロケット攻撃は、イスラエルの住宅に命中してベエルシェバの学校が休校となり、ガザのパレスチナ人の生活を改善しようとする世界の取り組みを、再び後退させた。

ハマスは世界が自分たちを通り過ぎたことを悟らなければならない。文明社会は、暴力とテロリズムを抵抗の正当な形として受け入れることはない。ハマスはこうした戦術を放棄し、自分たちが提供できない支援をガザが必要としていることを認めなければならない。パレスチナ自治政府に(支援に前向きな国と協力して)強固な制度を確立させて、住民へのサービスを提供させる必要がある。ガザは明かりを灯し続け、安全な飲み水をもたらすために国際的な関与を必要としており、また米国にパレスチナ人を支援させる必要があり、イスラエル人に包括的で持続的な平和を達成するための方法を模索させる必要がある。

シンワール氏がいうように、ハマスがガザをシンガポールやドバイのようにしたいのであれば、今がその目標に合致する行動を取る時だ。ハマスは変革を受け入れる必要があり、シンワール氏が崇めていると公言する価値:民主主義、多元主義、協調、人権、自由を受け入れる必要がある。ガザにはこういったものが存在しない。いかなる状況であっても、暴力、腐敗、また言論の自由の抑圧が、こうした価値と完全に矛盾しているということは疑いの余地がない。これらは我々が進展させようとしている和平合意とも完全に矛盾している。ハマスはどうやって若者がその膨大な可能性に気づくよう支援しているのだろうか?平和は若者に才能を開花させる機会を与えるだろう。シンワール氏も彼らの才能がガザの状況によって阻害されていると、正しく指摘している。

ガザのパレスチナ人は、ハマスが権力を獲得して以来、苦難と貧困が増している。ハマスが今後武装テロ組織とみなされたくないのであれば、我々と世界の人々はハマスが取るべき次のステップは次のものだということを明確にしている。つまり、暴力を放棄し、イスラエルを承認し、これまでの合意を受け入れることだ。ハマスが本当にパレスチナ人のことを大事にしていることを世界に示し、全てのパレスチナ人が1つの指導力の下で団結できるように、パレスチナ自治政府が復帰できるようにすることだ。平和とパレスチナ人の生活向上を約束して欲しい。

シンワール氏のインタビューが宣伝行為以上のものであるなら、ハマスが誠実に変革と隣国との和平を望んでいるなら、トランプ政権が進展させている和平プランが変革への道を提供し、それはシンワール氏が自分の子供たち、また自身とハマスが大事に思っていると主張する子供たちに対して与えられる、最高の意味を持つ贈り物となるだろう。シンワール氏の言葉が注目と同情を集め、ハマス自体の欠点から注意をそらすためのぎこちない策略に過ぎないのであれば、何も変わることはない。ハマスはガザに対してひどい悪循環を繰り返し続けるだろう。
ジェイソン・D・グリーンブラット氏は大統領補佐官であり、外交交渉の特別代表を務めている。

Post by  Hiroshi Izumi 2018/10/24  9:57

トランプ政権によるエルサレムへの大使館移転などで、イスラエルとパレスチナの和平を遠のかせたという論調をよく目にします。しかし単純に見ても、反イスラエル的でパレスチナ寄りに偏っていたオバマ政権から、逆の方向に振れているだけではないかという気がします。
またパレスチナでは現在、穏健派であるファタハと、テロ組織と広く認定されているハマスが統一内閣を運営しているという点も問題をややこしくしているように思います。日本も経済援助していますが、資金がテロに使われることはないのでしょうか。

中国は、パレスチナに経済面で日本以上に支援するだけでなく、政治的にも国家承認の立場を公言しています。こうした動きにも今後注視すべきではないかと思います。
(海外ニュース翻訳情報局 泉水啓志)

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