【インドネシア:要注意】キリスト教徒がシャリア法違反によりモスク前で鞭打ちの刑に

世界最大のムスリム人口を誇るインドネシアは、イスラム教の教えを徹底することにおいては比較的緩やかなのですが、長年同国からの分離独立運動が盛んだったスマトラ島最北部に位置するアチェ州では、シャリア法と呼ばれる厳格なイスラム教の法律が採用されており、それが非イスラム教徒にも適用されています(外国人にも適用されますので、旅行・出張の予定がある方はご注意を)。

同州の分離独立を防ぐためのインドネシア政府の苦肉の策だったのかもしれませんが、この記事にあるように、国内でのこうしたイスラム原理主義的な動きは、国際社会の中でのインドネシアという国の立ち位置を微妙にしかねません。

こちらの記事は、フォックス・ニュースからです。

 Post 2018/08/06    16:11

FoX News By Caleb Parker 2018/03/04】

インドネシアで、2名のクリスチャンが公衆の面前で鞭打ちの刑に処された。非ムスリムがシャリア法によって裁かれた稀有な例だ(シャリア法:コーランと預言者ムハンマドの言行を厳格に解釈した法律。イスラム法)。

州都バンダ・アチェのモスク前で、集まった300人もの群衆が嘲り笑い、写真を撮る中、ダーラン・シリトンガ(61)とチア・ニュク・フア(45)の2名のインドネシア人クリスチャンが、マスクをかぶり法衣を着た男からそれぞれ6回と7回、鞭を打たれた。

このクリスチャン男女に対する厳格なイスラム法による罰は、ムスリムが大勢を占めるこの国がより過激で政治化したイスラムの国へと変化していることの表れだと、ロイターは報じた。

2名のクリスチャンがシャリア法に反する賭け事により鞭打たれたバンダ・アチェのグランド・モスク

 

 

処罰された5名のうちのこの2名は、賭け事をした罪に問われた。警察によると彼らは、獲得したコインを各種賞品、バウチャー、現金に交換できる子供向け遊戯施設でゲームをしていたという。彼らは籐の棒で鞭打たれ、彼らに関係した別の男は19回、鞭を打たれた。

また別のカップルは、公の場で愛情を示したとして、24回鞭打たれた。

バンダ・アチェは、長引く内乱を終結させることと引き換えにインドネシア中央政府と取引をした結果として、2001年にシャリア法を導入したインドネシア唯一の州だ(訳注:バンダ・アチェはアチェ州の州都)。この州では、賭け事からアルコール販売、同性間の性行為や不倫など、様々な理由で非ムスリム市民に鞭打ちの刑を科してきた。

「二度とイスラムのシャリア法を犯させないために、この方法は抑止力を持ちます」と、バンダ・アチェ都知事アミヌッラ・ウスマンはそう語る。「私たちはあえて、それを公衆の面前で行います、彼らが二度と再犯しないように」

アチェはインドネシアで唯一シャリア法を採用している州

 

インドネシアは世界最大のムスリム人口を誇る国だ。

バンダ・アチェの人口の98パーセントはシャリア法で裁かれるべきムスリムだが、残り2パーセントのクリスチャンやその他の非ムスリムであっても、国の法律、もしくは宗教法に反した場合、どちらの法で裁かれるかを選ぶことができる。そして、時間もコストもかかる裁判や収監よりも、鞭打ちの刑が選ばれることも多い。

この1月、ひとりのクリスチャンの男がアルコールを販売した罪で36回の鞭打ちの刑を受け、また最近では、警察がトランスジェンダーの人たちを逮捕し、公衆の面前で辱めを受けさせたことで、集中砲火を浴びた。

昨年、インドネシアはクリスチャンの知事バスキ・“アホック”・チャハヤ・プルナマを、コーランを侮辱した罪で拘置し、イスラム世界の寛容と多様性の砦としてのインドネシアの立ち位置に猛烈な抗議と押し戻しを招いた。

<トップ写真キャプション>

2名のインドネシア人クリスチャンがシャリア法に反して賭け事をした廉で、鞭打ちの刑に処される

(海外ニュース翻訳情報局 加茂 史康)

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