プーチンの超核兵器が「新時代の冷戦」を引き起こす ― 専門家が新たな軍拡競争に警鐘

昨年来、急ピッチで軍備を増強している北朝鮮と、それに呼応するように軍事予算を引き上げようとしているアメリカがニュースを賑わせていますが、かつての冷戦時の東側の主役だったロシアもまた、再び軍事的な主導権を握ろうとしているようです。好むと好まざるとにかかわらず、世界は「新たな軍拡競争」に入ろうとしています。この記事に登場する殆どの国に隣接している(どころか、名指しで狙われている)日本は、このような状況下でどうすべきでしょうか。

記事に登場する核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)事務局長のベアトリス・フィン女史が1月に来日し、核兵器禁止条約に参加しない日本を批判したことを覚えている方もいらっしゃるでしょう。ここでは、ロシアの新たな核配備に対してのコメントをしています。
*こ/らの記事は、英国サンデー・エクスプレスからです。

Post 2018/03/04  23:49

Sunday Express by NICOLE STINSON  2018/03/01】

ウラジミール・プーチンが世界中のどこにでも届くと豪語する新しい核兵器は、世界を「新たな冷戦」の危機に陥れると、専門家が警鐘を鳴らす。「私たちは今、新たな軍拡競争の中にいます」

ウラジミール・プーチンは本日、世界のどこにでも届き、「迎撃不可能な」一連の恐ろしい核兵器をロシアが開発したと発表した。

この発表は専門家をして、「私たちを新時代の冷戦の恐怖に陥れる、新たな軍拡競争」と言わしめた。かつての冷戦のすべての参加国(ロシア、北朝鮮、中国、アメリカ)が引き続き自国の軍備を増強し続けているからだ。

核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)事務局長のベアトリス・フィンは、「プーチンの声明は、私たちを新時代の冷戦の恐怖、いつ即死するかわからないという絶え間ない恐怖に陥れる、新たな軍拡競争に入ったことを明らかにしました」と語った。

「ロシアとアメリカがお互いの軍備の大きさを競い合う一方、世界中のその他の国々はそれを禁止する条約に加盟しています」

フィン女史のコメントは、モスクワ政府が他のどの国も所有していないミサイルを開発したと、ロシア連邦議会でプーチンが豪語した発言を受けて出されたものだ。

西側諸国を薄い守りの脅威に陥れながら、ロシア大統領はこう語った「ロシアは核兵器を保持してきたが、誰も我々に耳を貸そうとしなかった。今こそ、我々の言うことを聞く時だ」

プーチン氏の発言はその後、ロシア国防相セルゲイ・ショイグの、NATO加盟国がロシアを新たな軍拡競争に引き込んでいるとする糾弾につながった。

昨年、北朝鮮はアメリカ本土まで届くと自慢する大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試験発射を三度行い、一方でドナルド・トランプは大幅な予算増をもってアメリカ軍の強化を図ると繰り返し誓約してきた。

今年2月、中国は新型J-20スティルス戦闘機を新たに軍備に追加したと発表した。

人民解放軍広報部シェン・ジンクは、軍用機の配備は「国家の主権、安全、領土保全といった神聖な使命を担う空軍を助けることになります」と語った。

中国軍に配備されたこの最新鋭機は、超音速に達することのできるWS-15ターボエンジンを搭載しているとみられる。

一方、ロシアの最新装備は、ミサイル迎撃システムに感知されない新型超音速兵器を含むとされている。

プーチン氏はまた、この秘密主義国が核弾頭搭載可能な水中ドローンを試験中であることを付け加えた。

軍の高官たちが無制限な範囲に到達可能な作戦上の弾道ミサイルを保持しているとも、彼は言った。

軍事シミュレーションのビデオを大型スクリーンに投影しながら、そのミサイルはアメリカの防衛システムでは防御できないと、彼は語った。

プーチン氏は、「それは核弾頭を搭載した、低空飛行をする発見され難いミサイルで、実質的に無制限な範囲まで届き、飛行経路も予測不可能だ」と語った。

「それは防衛網を潜り抜けることが可能で、現在でも、そして将来においても、すべてのミサイル防衛・航空防衛システムに対して無敵である」

このロシアの声明は、ジョージ・W・ブッシュとバラク・オバマ両大統領の元で国家安全保障会議(NSC)に勤めていたポール・ミラー博士が、世界の強国間の新たな競争が起こり始めているという警告を発した後に出された。

「冷戦は、二極化して硬直したイデオロギー間の競争下で起こった、通常の強国間の競争とお互いへの疑惑の延長に過ぎませんでした」と、ミラー博士はエクスプレス紙に語った。

「今日、世界にはより多くの強国が存在するため、もはや二極化でなく多極化した競争が起こっているのです。イデオロギー間の競争はかつての共産主義vs.資本主義から、権威主義的資本主義vs.自由民主主義的資本主義の戦いへと変化したのです」

「冷戦期と比較すると、強国間、そして複数の強国の間により多くの商業的取引が存在するため、それがすべての強国に経済的破壊をもたらす軋轢をともなうリスクを取ることを躊躇させています。しかし、それはまた、私たちが他国を無視したり、他国から孤立したりすることができなくなっているということも意味しています」

「朝鮮半島での戦争、もしくは限定的な軍事行動が起こりうる可能性はあります。ロシアとの戦争は、短期的には起こるとは思えません」

(海外ニュース翻訳情報局 加茂 史康)

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