【米国:オピニオン】CNNは、社会主義が素晴らしいと考えている。ソ連出身の私の祖父母は、恐らく同意しないだろう

1991年にソ連が崩壊してから、もう27年になります。かつての冷戦時代を全く知らない世代が、社会を担う年齢になってきました。
日本でも、某メディアや一部の文化人は、このCNNの主張のように「社会主義や共産主義は素晴らしい」という論調を基調にしているのではないでしょうか。しかしながら、実際のところ、その人たちがどれだけ社会主義の本質について実感として知っているのでしょうか。
また、もし、国が社会主義国家になるとして、その内の何人が社会主義の世界が素晴らしいと言い続けていられるのか疑問です。もしかしたら、一部の人は自分が社会主義の権力者になれると確信があるのかもしれませんが。その他の人たちは、今好き勝手に発せることができる言論の自由がなくなる世界に耐えられるのでしょうか。この記事のオピニオンは、漠然と社会主義や共産主義をファッションと考えている現代人に警鐘をならしています。
*この記事はUSA TODAYの記事から紹介します。

Post 2018/02/25   16:19 update 21:00

USA Today by Alex Berezow  2018/02/21】

 動画キャプション:(調査結果)アメリカのミレニアル世代は、資本主義的民主主義よりも社会主義者や共産主義国に住みたいと言っている。Veer’s Nick Cardona(@nikcardona93)はその話をしている。

多くのアメリカ人が社会主義運動や共産主義運動の犯罪を知らないということに、私はもどかしさを感じる。

私の祖母はウクライナで育った。当時、ウクライナはソ連(ソビエト社会主義共和国連合)の一部であった。
彼女は、毎朝目を覚ました後、家族の一人が夜に死亡したかどうかを調べた。
ソ連の指導者であるジョセフ・スターリンが大量飢餓プログラムを実施したため、多くの同胞がすでに死亡していたからだ。

ホロドモール(訳注:1932年から33年以かけ、旧ソ連のウクライナで起きた大飢饉)」として知られているこの政策の目的は、ウクライナ人を服従させるために餓死させることだった。それは目的どおりに機能した:スターリンはおそらく400万人のウクライナ人を殺した。 (このような理由と他の理由で、ウクライナ人は、アクセントがロシア語であるかどうか尋ねられることにちょっと敏感である)。

私の祖母は、私の祖父になるロシア人とともに、ナチスに拉致され、奴隷労働としてドイツに連れられてこられた時だけこの拷問を免れた。このようにして、彼らはソビエト社会主義の夢を生きることをやめ、国家社会主義の夢を体験し始めた。

先月、CNNが、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの誕生日を祝い、この公民権のヒーローは「素晴らしい人の前に社会主義者である」という主張のツイートをし、この全てを思い出した。

まず、ニュースの中で最も信頼されている名前であるキング牧師のへこの主張は、歴史的に曖昧な根拠上のことである。キング博士は素晴らしい神学者だったが、政治経済の専門家ではない。この話題に関する彼の著作は矛盾している。

一方で、キング牧師は「私は経済理論の中では資本主義よりもはるかに社会主義的です」と書いている。しかし、他方では、彼は、共産主義について直観的な憎悪を抱いていて、彼の著書「Strength to Love」の中でキリスト教と「根本的に相容れない」と書いている。

第二に、社会主義については具体的に何が素晴らしいのか?

戦後、私の祖父母は、特にスターリンが、ソ連軍の捕虜を「裏切り者」と宣言し、指令第270号*の発令以来、私の祖父母はソ連に帰還することに抵抗した。私の祖父母は兵士ではなかったが、その政策が一般市民に適用されているかどうかを知ることは賢明ではないと判断した。そこで、彼らはポーランド人のふりをして米国に来た。当時、米国は「S**t Country(ひどい国)」からの難民を喜んで受け入れていた。

指令第270号*・・「捕虜になった将兵は祖国の裏切り者とみなし、その家族は逮捕し、国家の保護と援助は停止する。脱走者と投降者見つけ次第その場で銃殺せよ」この指令270号は、戦争捕虜に関するその後のソ連の政策の基礎と広くみなされている。(ウイキペディアより)全文はこちら

私の祖母はウクライナで育った。多くのアメリカ人がこの歴史を知らないことが、私には残念でならない。ナチスの犯罪はよく知られているが、ソビエトの犯罪はそうではない。

CNN(ソーシャルメディアのインターンらしい)が、いかに社会主義が素晴らしいかとツイートできる理由を説明している。
また、バズフィードの編集者もクリスマスのために「完全共産主義」を望んでいた理由を説明し、別のバズフィードの記者も共産主義者の犠牲者を「白人ナショナリストの話題」として却下したことについても説明している。

これらのひどく不快な感情は驚くほど一般的である。

実際、知識人にとって、未だ社会主語の長所を称賛することはファッショナブルなことである。特に、その事で決して苦しんだ経験がなく、アカデミアの居心地の良い領域にいる知識人にとって。

この白く塗りつぶされた歴史は、左翼のホロコーストの否定と同等の道徳的な盲点である。

公平的にみて、社会主義を称賛する人は、悪意のある人というよりも無知であるからそうするのだと思う。しかし、無知は良い言い訳ではない。今日の社会主義を擁護する人々は、精査に立ち向かわない欠陥のある議論に頼っている。

最も大きな誤解は、社会主義は(良い)と共産主義は(悪い)が同じではないという考え方である。それは理論的には真実かもしれないが、それは決して実際にそのようには決してうまくいかない。前者(経済システム)は、必然的に後者(社会政治システム)につながるため、社会主義と共産主義を切り離すことは不可能である。

なぜか?中央集権化された経済統制は、市民に権利がない場合にのみ機能するからである。

理想的な社会主義社会では、「人々」は生産手段を所有している。誰もが基本的なニーズは満たされる。指導者は民主的に選出される。

しかしながら、実行されると、人間の本質が介入する。

強力なエリート集団が責任を引き受ける。この集団は、通常カリスマ的な個人と政治的に忠実な泥棒政治家(訳注:国の資源や財源を私物化する政治家)で構成され、生産手段の実際的な所有者になる。彼らは主に自分自身に貢献するために存在するので、そのことに反対する声は抑圧されなければならない。言論の自由は放棄され、最終的に公正な選挙も放棄されることになる。

社会主義のユートピアが必然的に共産主義的な取り締まりにつながるという例において、ベネズエラを見てほしい。我々は歴史が繰り返されることを見ている。社会主義体制が崩壊すると、マドゥロ大統領は専制政治を実行した。それがどのようになるか?それが常にそうなる理由である。

もう一つの欠陥のある議論は、ヨーロッパ諸国が典型的な社会主義社会を表しているという考えである。しかし、ヨーロッパ諸国は、(国が)生産手段を所有していない。企業は「人民や政府」ではなく、「起業家」が所有している。より良いか悪いかに関わらず、ヨーロッパは非常に管理された資本主義社会である。

これらの基本的な誤解は、近代社会主義者が間違っている理由である。そして、もし、キング牧師が、本当に社会主義者だとしたら、キング博士も間違っていたのである。

私の祖母は1995年に亡くなり、私の祖父は先月亡くなった。 ナチズムと同様に、社会主義や共産主義に対するどんな肯定的な意見を述べるのも、社会的に容認できないものにする必要がある。 1億人の犠牲者が叫んでいる。

執筆者:アレックス・ベレゾウ博士 Alex Berezow 
 科学、米国、欧州の政治記事の執筆者。米国科学審議会のPhD微生物学者および上級研究員。USA Todayの理事。同氏の記事は、USA Today、ウォールストリートジャーナル、BBCニュース、エコノミストなどに掲載されている。主な著作は、Science Left Behind: Feel‑Good 

(海外ニュース翻訳情報局 MK)

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