【EU対スイス】EUは、スイス諸州への人の自由な移動をめぐり圧力をかける

スイスは、EUに加盟していません。陸続きでEU加盟国に囲まれた地域で、周りの国との協調をはかりつつ独自防衛を敷いています。そのスイスでも、同国内への人の自由な移動に関し、EUから圧力がかかりました。この記事は、SWI swissinfo.chから紹介します。

Post 2018/02/05  9:30

SWI swissinfo.ch 2018/02/02】

スイスの公共テレビSRFが報じたところによると、欧州連合 (EU) が、相互協定に基づきスイス諸州へのEU市民との自由な移動を適用しない「罪名リスト」 を作成したという。

EU市民がスイスで仕事に就きたい時、スイス諸州は、どんな書類を求めるべきか?

EUの場合、たった2種類の書類だけである。:有効な身分証明書と雇用の確認。

スイスはEU加盟国ではないが、EU市民がスイスに住み、就労することを許可する相互協定を締結している。しかし、すべてのスイス諸州が協定の条件を守っているわけではなく、スイスに居住したい28カ国のEU市民に、(相互協定で)要求される以上のものを求めていると、EUは言っている。

EUの厳しい苦情は、19ページの文書に詳述されている。最も一般的なのは、スイスの諸州がIDや雇用確認だけでなく、給与や仕事の容などの賃貸契約や完全雇用契約など、多くの必要書類を求めているということである。

別の論争か?

スイスの移民事務局(SEM)は、2017年10月に、EUのリストに沿った慣行を求める旨の手紙を諸州に送った。しかし、諸州は、柔軟さを持ち一定水準を維持したいと考えている。

「厳格な法的見地からすると、一部の州は、協定である市民間の自由な移動に違反していいます。しかし、我々は協定の解釈においてある程度の余裕を見ています。我々は、今の状態を維持したいと思います」と、州の移民部会の責任者であるマルセル・サッター(Marcel Suter)氏がSRFに語った。

それは実用的な解決策を見つけることに関するものだとサッター氏は付け加えた。後に雇用契約の見直しを促進するために、雇用契約を整理することができる、と彼は説明した。

政治家たちは、欧州連合(EU)上でのスイスの株式市場へのアクセスを1年間に制限するのと同様に、この問題に関してEUとの別の問題を提起している。

犯罪歴について

SRFによると、スイス南部のチィチーノ州では、(犯罪歴について)長いリスト項目があるとしている。しかし、安全保障長官のノーマン・ゴッビ(Norman Gobbi)氏は、その州はその慣行を変えないと語った。「これらの規制を守ることは、国家の利益になる」とゴビ氏は述べた。ティチーノ州は、もし犯罪歴があれば、移動する人のその記録の写しを要求している。ゴッビ氏によれば、これにより、州議員は、重大な犯罪者を州外から守ることができる。

SRFは、ヴァレー州、バーゼル=ラント準州、バーゼル市の3か所が犯罪記録を要求し始めたと述べた。しかし、彼らはそれらの記録を必要しているわけではなく、自己申告によって作成される記録を認めている。

スイスは、EUとの新たな枠組みでの相互協定をめぐる厳しい交渉の真っ最中である。スイスの新しいEU交渉担当者が水曜日に指名された。

(海外ニュース翻訳情報局 MK)

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