【注目!:2018年インド国家予算案】インド国内の顧客を対象とした海外のオンライン会社にデジタル税を導入

2月1日、インド国家予算案が発表されました。注目の施策のひとつが、インドで商売を行っているグローバルなオンライン企業に対して課税を始めるということで、これは世界でも初めての試みだそうです。インドのエコノミック・タイムズ紙からの記事をどうぞ。
Post 2018/02/03  17:42

The Economic Times by Surabhi Agarwal  2018/02/03 】

ニューデリー(インド)‐インドは、自国内に大きな顧客層を持つ、あるいはインド国内で商売を行っていながら国内には物理的な所在のないオンライン企業に対して課税することを可能にする仕組みの構築に向けて、世界的に進んだ動きを見せ始めた。

2018年度予算案は、所得税法第9条に変更を加え、史上初めてオンライン企業に課税する意向を示した。専門家によれば、この議論はOECDとG20の税源浸食と利益移転(BEPS)の一部であり、インドがこの方針に沿って具体的な計画を打ち出す最初の国になるという。

このデジタル税は、グーグルやフェイスブックやネットフリックスのような大企業だけでなく、インドで事業を運営しているもっと小規模なテクノロジー系企業、インターネット上の企業にも適用される。アショク・マヘシュワリ&アソシエイツ会計事務所のアミット・マヘシュワリ会計士は、オンライン企業はインド国内に物理的な所在がなくとも収益を上げることができるユニークな運営形態であると言う。

「現在のところ、そういった企業に課税する仕組みは存在しません。公平な徴税が行われているのはオンライン広告に対してのみで、それはそのような企業の運営全体から見ると微々たるものです。政府が言っているのは、第9条に関連する、つまり、インドに経済的に関係している企業に対して課税できるということです」

インドの膨大なスマートフォンやインターネットのユーザー数を考えれば、当然インドはオンライン企業の多くにとって巨大な市場であり、この側面からの議論は重要だとマヘシュワリ氏は語る。

予算案の詳細によると、政府は所得税法第9条に、インド国内における「顕著な経済的存在」が「商業関係」を構成する、という変更を加える。

「顕著な経済的存在」とは、インド国内でのデータやソフトウェアのダウンロード、規定されたユーザーとのやり取りなどを含むとされる。さらなる詳細については、政府は関係各所との協議を進めていく方針だ。

とある大手テクノロジー系企業の代表者は、ほとんどの企業は税金を納めることに異存はないが、政府はあらゆる企業にとって公平な仕組みを用意するべきだと語った。「たとえば、何をもってインド国内での収益とするかが問題となります。ユーザーがインドに住んでいるからという理由だけで、その企業がインドから売り上げや利益を得ているというわけでは必ずしもありません」。ネットフリックス、フェイスブック、グーグル、エアビーアンドビーはエコノミック・タイムズからの質問に対してコメントを返していない。

先月ダボスで開催された世界経済フォーラムで、グーグルのCEOサンダー・ピチャイは、国々の懸念点を解消するように税制が改定されるべきだと語った。「一企業として私たちは過去5年間に20%近くの税金を納めました。世界中が合意する正しい枠組みができさえすれば、もっと高い金額を納めることもやぶさかではありません。支払われた税金が複数の国の間でどのように分配されるかということの方が、私たちが支払う税金の額よりも重要な問題です」

所得税法の改正は政府に租税条約の再交渉を促すことになる。ただそれは企業がインドに税金を納めるようになってからのことだ。インド・インターネット・携帯電話協会(Internet And Mobile Association in India – IAMAI)代表者スブホ・レイは、この件について政府と協議する準備があるとしている。

「税制における国際法が平等であるべきだというのが私たちの唯一の懸念です。たくさんの国際企業がインドでビジネスを行っていますが、同時にインドのテクノロジー企業もまた世界のあらゆる国に進出しているからです」

消費税の支払いにおいて、この業界ではインド企業と外国企業の間に不公平感があるというのが最大の懸念のひとつだと彼は言う。「海外の企業がオンラインでインドのホテルを予約しても、消費税を支払うことはありません。ところがインドの企業が同じことをすると、消費税が発生します。インド企業が不利益を被っているため、速やかにこのような問題を解決してほしいと願っています」と彼は語った。

(海外ニュース翻訳情報局  加茂 史康)

この記事が気に入ったらシェアをお願いします。