【ミクロネシア:実態】中国がヤップに対して「スポーツ外交」の資金を惜しげもなく投下

1月23日に、中国がミクロネシア連邦のヤップの航空会社に資金を投入して交通網を支配しようとしているニュースを掲載しましたが、それと同じパシフィック・アイランド・タイムズ紙に掲載されたこちらの記事では、スポーツや食品産業など別の分野においても中国がヤップに触手を伸ばしていることがレポートされています。多くの日本人はそもそもヤップ島がどこにあるのかわからないかもしれませんが、その島が中国の第二列島線上に位置すると言えば、ピンとくる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

Post 2018//01/27 22:00

Pacific Island Times 2018/01/24 】

中国向けの海老の養殖事業はヤップ島民に職の機会を与えず

コロニア(ヤップ州)- 1月14日、中華人民共和国広東省中山市から、事業主とスポーツ団体の派遣団がヤップを訪問した。

先日、2018年に開催されるマイクロゲームスに向けたバレーボールコート建設のための資金20万ドルをトニー・ガンギヤン知事に寄付した在ミクロネシア中国大使リー・ジエに続いて、スポーツ団体の派遣団は2018年マイクロゲームスのCEOリヨン・スログと、ヤップ・スポーツ振興協会代表ルオットポン・ポンリヤブと面会した。一行は、施設の建設状況と以前中国が贈呈した運動器具の様子を見るために、ヤップ・スポーツ複合施設を見学した。さらに彼らは、学校など、これもまた以前中国が運動器具を贈呈した施設も訪れた。

一行は、海老の養殖工場の建設を提案する广东亿丰食品有限公司(Guangdong Yifeng Food Co.)を、資源開発省、ヤップ漁業組合、ヤップ商工会議所に紹介した。輸入された海老の幼生を工場内の池で養殖し、成長したものを中国に再輸出して販売すると、派遣団の代表は説明した。計画上は、最初の3年間に3万匹、5年以内に年間10万匹、そして6年目からは年間12万匹の海老を生産する予定だ。

だが、ヤップ島民はその工場では働けない。工場が採用を予定しているのはすべて中国人だ。ヤップの土地はすべて住民が所有しており、滅多に売られることはないため、工場予定地は現地の住民から長期のリースとなる。

近年は、現地の地主から中国の造成業者に対して99年の長期リースが適用されている。99年もの長期にわたるリースからの収入はほぼゼロに近いため、既に結んだリース契約を破棄したいと望む地主も現れているとの報告もある。また、地主たちは貸し出した土地に入ることは禁じられている。その結果、土地と砂浜のメンテナンスはおろそかになり、ゴミで埋め尽くされてしまった。地域住民は、毎月そういった地域の清掃を行い、脆弱な自然環境と元通りの純粋な村を守ることを誇りとしている。

「いったいヤップにとって何かいいことがあるのか?」と問われると、会議の出席者は「工場は将来、マグロを扱えるように改良できる可能性がある」と答えた。

派遣団のうち二名は、知事事務所とルール町長事務所を表敬訪問した。最終日にあたる1月16日、スポーツ団体の派遣団は、後日中国からの出荷が予定されているさらに多くの運動器具の正式な贈呈式が行われた歓迎会に先立ち、2018年マイクロゲームス組織委員会と会合した。今後贈呈される運動器具は、13,600個のピンポン玉、12台のピンポン用ピッチングマシン、178個のバスケットボール、500着のバスケットボール用ユニフォーム、200本の縄跳び、50個のバスケットボール用ホイッスル、100着のバスケットボール用ベスト、19個のバスケットボール用空気入れ等だ。

コロニアパークの中国寄贈の遊具。中国はヤップに13,600個のピンポン玉も贈呈。 コロニア(ヤップ州)

 

(海外ニュース翻訳情報局 浅岡 寧)

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