【イタリア総選挙:EU離脱か?】「モア・ヨーロッパ? アル中にウィスキーを与えるようなものだ」マッテオ・サルヴィーニ北部同盟党首

イタリアでの総選挙が3月4日に予定されています。反体制派政党「五つ星運動」が世論調査で支持を集め、与党「民主党」をリードしているようです。その状況下、民主党は他の左派政党と「+Europe(モア・ヨーロッパ)」という、EUへの帰属を強く打ち出したリベラルな連合を、昨年末に結成しました。一方、ベルルスコーニ元首相率いる「フォルツァ・イタリア」と中道右派連合を組んでいるのが、「北部同盟」で、現在のところ世論調査によると、この中道右派連合が最多議席を獲得する見込みではありますが、いずれにしても過半数には遠く及ばず、混沌とした状況のようです。英エクスプレス誌に掲載されたこちらの記事では、北部同盟の党首マッテオ・サルヴィーニが、新しく結成されたモア・ヨーロッパについて舌鋒鋭く批判しています。
post 2018/01/24 18:34

Express UK by  By JOEY MILLAR  2018/01/23】

反移民、反EUを掲げる欧州懐疑主義政党、北部同盟(Lega Nord)党首マッテオ・サルヴィーニはブリュッセルで、EUによる影響をこれ以上増やすことは「アル中にウィスキーを与えるようなもの」だと、舌鋒鋭く非難した。

3月4日の総選挙を前に、サルヴィーニ氏は「イタリアの企業と家計に打撃を与えるヨーロッパ法制上の予算制約」に異を唱える彼の政策の最大の優先順位について語った。

「EUからの制約を減らし、緊縮財政政策にNOを唱え、ヨーロッパ全体の条約を改定し、きちんとイタリア憲法を共同体法の上位につける」と、サルヴィーニ氏は自らの目標を語る。

「北部同盟は、国家の利益を守ることなら如何なることでもする。たとえそれがEUのGDPに対する財政赤字比率のルールに反したとしても」

「EUは檻のようなものだ。我々はその扉を開けたいと思っているし、もし国民の合意の下にそれに成功したなら、最高に幸せだろう」

「我々は、国家の利益こそ最優先されるべきだと考えている。イタリア人を守るためであれば、我々は喜んでEUのルールを無視しよう」

彼はEUのことを「失敗した実験」とこき下ろし、「自国の通貨をコントロールできない国は自由主義国ではない」と語った。

そして彼は、3月の総選挙でEU寄りの票を獲得しようと新しく結成された左翼主義者のパートナーシップ、+Europe(モア・ヨーロッパ、以下+Eと表記)を激しく非難した。

「モア・ヨーロッパとかいう団体がある。もし我々が北部同盟という名前でなければ、モア・イタリアだ。モア・ヨーロッパなどという名前を付けることは、アル中にウィスキーを与えるようなものだ」と彼は語る。

+Eは、エマ・ボニーノ率いるイタリア急進主義者(Italian Radicals)、ベネディット・デッラ・ヴィドーヴァ率いるフォルツァ・ヨーロッパ(Forza Europa)、そして中道民主同盟(Democratic Centre)の3つの政党から成る。

「我々は現代の大きな問題に立ち向かうイタリアの市民であり、EUに寄り添ったイタリアが、より団結した民主的なEUの中で、それらの問題に対する幅広い解決策を必要としている」と、ネット上に公開されたステートメントにおいて、この同盟は告げている。

「我々はイタリアが最終的にはEUの主要国となり、完全な財政的安定と成長への可能性を取り戻し、才能と創造力を強化し、多すぎる企業やイデオロギー的制約から活気のあるエネルギーを解放し、イタリアを人権の場として確立することを約束する」

「イタリアの将来を考えたとき、我々にはEUが必要だと言える」

サルヴィーニ氏は、イタリアで北部同盟だけがEU懐疑派の政党であると述べた。

 

 

 

サルヴィーニ氏が多弁な反EU経済学者を彼の選挙候補者の一人に推したことで、同盟のシルヴィオ・ベルルスコーニとの間に溝を拡げた。

四期を務めた元首相のベルルスコーニ氏は、3月4日の投票を前にして、自分自身を穏健なEU支持者だと表明し、月曜日にブリュッセルでEUのリーダー達に、イタリアはEUが決定した財政赤字の幅を順守すると告げた。

ベルルスコーニ氏のフォルツァ・イタリア(Forza Italia)と北部同盟は先週、「緊縮経済の終焉」の公約と「EUの条約の改定」の約束を含む、合同綱領にサインしたが、EU離脱にまでは触れなかった。

サルヴィーニ氏はまた、ベルルスコーニ氏の主張する、財政赤字を国民総生産の3パーセント以内に収めるという意見とも対立している。

「もしその3パーセントがイタリアの家庭に対して打撃になるのであれば、我々はそのようなものには与しない」

マッテオ・サルヴィーニは、イタリアを常にEUの上に置くと述べた。

 

サルヴィーニ氏は、クラウディオ・ボルギとアルベルト・バグナイという、イタリアで最も欧州懐疑主義者だといえる二人の経済学者を選挙候補者として推薦した。二人はともに緊縮財政の終焉と通貨ブロックの廃止を主張している。

自身の党をEUに失望した有権者への唯一の選択肢だとし、サルヴィーニ氏は、EU離脱の国民投票の約束を撤回した反体制派政党、五つ星運動(5-Star Movement)を、「立ち位置を360度変えた」と攻撃した

ベルルスコーニ氏とサルヴィーニ氏は各ブロックでより多い票を獲得した党が首相の候補者を出すことに合意した。フォルツァ・イタリアは北部同盟より現在4ポイントのリードを保っているが、ベルルスコーニ氏自身は、2013年の脱税容疑判決のため、出馬することはできない。

(海外ニュース情報局 浅岡 寧)

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