【中国:歴史修正の実態】文化大革命をなかったことにする北京政府

南京大虐殺など中国共産党が主張する歴史に異論を唱えると、すぐさま中国から(あるいは日本国内のリベラル勢から)歴史修正主義との批判が降りかかってきます。では、イギリスのThe Timesが報道したこの記事を読んで、皆さんはどう思われるでしょうか。これこそがまさに、中国共産党が現在進行形で行っている、歴史修正主義というものではないでしょうか。

Post 2018/01/15  18:21

The Time by Didi Tang, Beijing 2018/01/15】

毛沢東主席の10年にわたる粛清による数百万の犠牲者には触れないプロパガンダ

中国は、学校で使われる公式の歴史教科書から文化大革命を削除したことで非難を浴びている。批評家によるとこれは、数百万人が殺害された粛清への非難を免れるための中国共産党の企みだという。

その課題は、通常であれば学校の1時限を丸々使って教えられるべきひとつの大きな章が、別の項目の中のわずか6段落にまとめられており、毛主席が「真の共産主義イデオロギー」の名の下に人民同士の抗争を促した運動に対する批判は除かれている。

改訂版教科書はこの春から14歳の生徒に対して使われることになる。教科書の筆者は、1966年に始まった党高官を処罰することにつながる毛沢東の動機の描写からも「間違った」という単語を外している。その章は、国家の発展が「珍しいほどにスムーズだった」と締めくくっている。

中国全土にわたって数百万人の人民が迫害され、公衆の面前で晒し者にされ、投獄され、拷問を受け、そして財産を没収され、あるいはあっさりと処刑された。毛沢東は個人攻撃への礼賛が広まるのを認めた。

多くの人々が都会から農作業に従事するために強制的に田舎に移住させられた。数々の文化的、あるいは宗教的建造物が破壊・強奪された。

1976年の毛沢東の死後、鄧小平率いる改革派は文化大革命に由来した政策を撤廃しはじめ、1981年に党は「党、国家、人民が被った非常に深刻な進歩の妨げと重大な損失に対する責任」を宣言した。

2016年、政府は文化大革命開始50周年を記念しなかったし、政府系の人民日報の短いコメントを除けば、官製メディアはこの件についてはおおむね沈黙を貫いた。人民日報のその記事は文革期を大規模な停滞と称し、そのような過ちを二度と起こすことのないよう約束していた。

教科書改訂は、官製メディアを使って共産党を崇拝させる新たな試みと同期して行われた。批評家たちが文化大革命のような大事件を取り上げて党の統制力を弱めようとしないように細心の注意を払い、北京政府はこの案件についての個別の調査を徹底的に禁じた。

中国の検閲機関は教科書改訂がネットを通じて若者に広まらないよう、投稿を削除しようとしたが、それでもいくつかの記事は検閲を免れた。「現代史がもうこんなにも改竄されている」とのコメントがある。「(政府は)自分で歴史を尊重しないのに、どうして僕たちにそうしろなんて言えるんだ?」

歴史ファンのグループという名による別の投稿はこう問いかけた。「近代史における中国の方向性に影響し、何世代もの人々に多大なインパクトを与えた文化大革命が、特別な話題として戦争の英雄と同じ程度の扱いを受けているのは正しいことなのだろうか? 文化大革命はもっと別格に扱われるべきで、これは我々が過去、未来、そしてこの国に対して負っている責任である」

この投稿は現在、削除されてしまっている。

(海外ニュース情報局 浅岡 寧)

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