【米国・ポリコレ】『我々は攻撃されている』若手保守派らが集結し、ポリティカル・コレクトネスを拒否

トランプ大統領が当選した際、日本で「隠れトランプ」という言葉が一時マスメディアで頻繁に登場しました。特定の職業層のトランプ支持者をインタビューした映像が何度も流れたり、米国の名門大学でトランプ支持者を探し回る特集が組まれたりするなど、支持者に対する批判や揶揄が込められていたように思います。当選から1年以上が経った今、保守派を中心とした学生らが集結し、思いを共有したようです。その様子を取材した英国の中道左派、リベラルよりの新聞、ガーディアン紙から本記事を紹介いたします。
Post 2017/12/25  23:35

【The Guardian by Richard Luscombe 2017/12/23】

今週(フロリダ州)マー・ア・ラゴにあるトランプ氏のリゾートの近くで、3,000名の大学生が一堂に会し、言論の自由や『文化戦争』、そして左派がもたらした脅威についてのサミットに参加した。

大規模な学生集会はどれも、だいたいパーティで終わるというのが米国の伝統である。マー・ア・ラゴにある、ドナルド・トランプ氏の豪華な冬の静養地から目と鼻の先にある、今週のフロリダでの集会は、若手保守派の政治活動サミットとして宣伝された。イベントでは、たくさんの『再び米国を偉大にしよう(Make America Great Again)』と書かれたキャップと、『米国にトランプを(Trump for America)』と書かれた旗の中で、取りも直さず、大統領へ祝福の大歓声に包まれた。

約3,000人の学生が、国中のキャンパスからトランプ氏のリゾート目前にある、パームビーチ郡会議場の4日間の冬のサミットに集結した。これは、ターニングポイントUSA(Turning Point USA)が主催したものである。この若者達による活動家組織の綱領では、「無党派の討論、対話、議論」を推進する。しかし、すべての席においてあるプラカードに印字された、次の準公式標語に傾向がはっきりと表れている。「大きな政府は最低だ(Big government sucks)」

次々とトランプ氏最大の「チアリーダー」らが、講演者の目玉としてパーティに参加した。その中には、ホワイトハウス元職員のセバスチャン・ゴルカ氏やアンソニー・スカラムーチ氏から、デニス・プレーガー氏やトミー・ラーレン氏といった右翼コメンテーターやキャスターがいた。それぞれが、熱心な若い支持者らに左派がもたらした脅威を警告した。

しかし、最も大きな喝采を浴びたのは、大統領の息子であるドナルド・トランプ・ジュニア氏であった。彼は、2016年大統領選挙への準備期間中での、トランプ氏の選挙キャンペーンとロシアとの共謀疑惑へのロバート・ミューラー特別顧問による捜査の影に、顔がみえない政府当局者がいると学生に伝えた。

ターニングポイントUSA*の創設者で常任理事のチャーリー・カーク氏(24)は、右派の期待の星として見られている。講演者らの顔ぶれが、親トランプ色の強いメッセージを発することに重きを置かれていたのではないかという提言に、彼は気色ばんだ。

ターニングポイントUSA*・・米国の保守的もしくは右翼のNGO。

「実際には、非常に多様性のある集団であり、人種的、民族的、哲学的に多様です」と、トランプ・ジュニア氏とステージに上がる直前に、彼はガーディアン紙に伝えた。

「こういった不誠実な記者の1人と2週間前に話していましたが、『ねえ、チャーリー、君の講演者の顔ぶれは皆、トランプが大好きで、フォックス・ニュースで働いているみたいじゃないか。』と言いました。私は、『これまで聞いた中で、頭を使った最も不誠実な発言の1つですね。』と答えました。」

 

「講演者には、リバタリアン党(訳注:自由党ともいう)から大統領選に出たオースティン・ピーターソン氏がいます。彼は、完全にネバー・トランパー(トランプ氏を全否定する人)です。また、(保守派の論客)ベン・シャピロ氏もおり、彼はネバー・トランプの声を先導していたようなものです。また、(政治コメンテーター)デーブ・ルービンのようなリベラル主義派の講演者もいます。」

「人の関心を引く有名人に出てもらいたいのですが、そうするとどうなるか分かりますか。たくさんの矛盾した発言が出てくるでしょう。我々は、それでいいと思っています。(作家の)アレックス・エプスタインが『化石燃料が大好きだ』と書かれたシャツを着て登場しますが、保守派がいかに気候変動という考え方を受け入れているかについて話す講演者も予定しています。このことは我々ターニングポイントUSAが、保守派、リバタリアン、中道派を受け入れていることを示しています。」

では、トランプ氏が13か月前に勝ち、保守派が議会両院を統制している今、なぜ「活動」サミットが必要だったのであろうか。

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「大統領は、この1年の間に完全に歴史的なことを成し遂げた。」ターニングポイントUSAのチャーリー・カーク、ありがとう。悲しいことに、フェイク主流メディアが我々の成果を年末の総括で取り上げることは決してないだろう。我々は、長く素晴らしい(達成)リストを積み上げている。

2017年12月22日、午後11:17
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「過去2年間で、いかに大学のキャンパスが保守派にとって不寛容で危険なものとなったかに気づきました」とカーク氏は語り、自らが目撃する左派と右派との間で荒れ狂う「文化戦争」に言及した。

「我々は、トランプ氏のシャツを着ている学生が授業から追い出されたり、自らの信条のために排斥されたりするのは受け入れられません。今のままのキャンパス文化を受け入れるつもりはありません。我々が常日頃非難している、左派がやるような『被害者』という切り札を使うつもりはありません。『分かるかな。そう、我々は攻撃されている。倍返しにしてやろう。』と言うつもりです。」

慌ててこうも付け加えた。「もちろん、これは例え話ですよ。」

『PC(ポリティカル・コレクトネス)ポリスと闘う』

議場では、トランプ氏の選挙キャンペーン集会とまったく同じ光景が初日に見られた。ヒラリー・クリントン氏の名前が出るたびに、「ヒラリーを逮捕せよ(lock her up)」という叫び声が響き渡った。嫌いなメディアについて誰かが口にするたびに、「CNNは最低だ(CNN Sucks)」と唱和した。保守的なラジオトークショーの司会者であり、玄人はだしのアマチュア指揮者でもあるプレーガー氏は、「左派」がクラシック音楽をハイジャックし、つぶそうとしていると警告した。カリフォルニア州では、ひげを生やした男性が、自分のことを女性と識別していれば、その人に「サー(sir、男性に対する敬称)」と呼び掛けることは違法であります」トランプ・ジュニア氏は主張した。

その夜、会議全体以外で最も人気を集めたテーマの1つは、被害者意識と、保守派の学生に対する迫害、そしてそれに伴う言論の自由の制限であった。これは、「学校を訴える101:キャンパスでの修正第1条**を知り、守る」と「キャンパス内のPC(ポリティカル・コレクトネス)ポリス***と闘う」と題された分科会で強調されたメッセージであった。

**修正第1条:アメリカ合衆国憲法修正第1条のこと。国教樹立の禁止、信教や言論、出版の自由、集会・結社の自由、請願権を保障することなどを定める。

***PC(ポリティカル・コレクトネス)ポリス:ポリティカル・コレクトであろうとして過剰に反応し、他者にも同じ振る舞いを強要することを揶揄する造語。

 

トランプ・ジュニア氏は、国内のカレッジと大学を戦場とする文化戦争というカーク氏の主張を支持した。「君たちは最前線にいる」と彼は語った。

マサチューセッツ州にあるニコルス・カレッジで経営学を学ぶグレッグ・アゼルベキアン氏(24)は、トランプ氏を支持したことで友達を失ったと語った。

「国全体が、さらに分断されているようにさえ感じます」と彼は語った。「メディアも皆も、ヒラリーや民主党に投票するよう言いました。そして、言うことを聞く人たちは、こちら側の意見を聞きません。左側が唯一の道だと思っているからです。」

「アンティファが街を破壊し、「黒人の命は大切(Black Lives Matter)」やフェミニズムのような集団が、これまでの行進や暴動で物事を別次元のものにしています。白人で、トランプ氏に投票した人は皆、白人至上主義者なのです。トランプ氏や何か右翼的なことに賛同すると、払うべき代償があります。」

イリノイ大学1年生で政治学を専攻するジョエル・バルデス氏(18)は、左翼活動家が彼の携帯電話を壊したキャンパス内での事件は、彼の決意を固めただけだったと語った。

「私はヒスパニック系アメリカ人ですが、彼らは私のことを白人至上主義者と呼びます」と彼は語った。「ドナルド・トランプ氏の選挙後、左翼は本当にうろたえていました。[しかし]保守派のメッセージは、民主党に置き去りにされていると感じた人の心に響くでしょう。」

モンタナ州立大学で音楽を学ぶハナ・ビックフォード氏(21)は、トランプ氏の帽子と、大学生用の共和党員シャツに身を包み、大統領支持を示した。彼女は、大統領のこれまでの仕事ぶりに「とても満足している」と断言した。

「人とネットワークを作り、素晴らしい講演者と、同じような考えを共有する人の話を聞いて、互いから学び集団として成長するため、ここに来ました」と彼女は語った。「私は何に対しても、話を聞き議論する準備ができています。新しい物事に心を開かない限り、真に学ぶことはできません。」

(海外ニュース翻訳情報局 渡辺 つぐみ)

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