【米国・イスラエル】イスラエルのエルサレムを支持しながら、トランプはアッバスの要求を排除しない

水曜日、トランプ大統領が、イスラエルの首都はエルサレムだと宣言したというニュースがありました。概ね、米国では好意的な意見が多いように見られますが、さて、本国イスラエルではどう風にとらえられているのかということで調べてみました。この記事はタイム・オブ・イスラエルからです。
Post 2017/12/08   6:00

The Time of Israel  by By DAVID HOROVITZ 2017/12/06 】

大統領の宣言は、具体的な平和協定案なしのひとりよがりな状態で発せられ、鍵となる最終的な地位問題を部分的に判断しているが、聖都でパレスチナの主張を否定していない。

水曜日のドナルド・トランプ米大統領の画期的な演説を踏まえ、最も重要な疑問は、彼がエルサレムをイスラエルの首都と認識していることにある。
彼が「エルサレム」と言った時、正確には何なのか、あるいは正確にどこなのかだ。

「彼は、『西エルサレム』を特定しているのか?」その点でイスラエルにとって大きな成果は全くない。ロシア人さえそうしている。

多くのイスラエルの指導者達の希望で、彼は「連合エルサレム」または「統一エルサレム」について話すだろうか?あるいは彼は前向きに曖昧なのだろうか?

実際、彼は4番目の選択肢を見つけた。

彼は、エルサレムに対するアメリカの認識を宣言したが、現時点では、彼は都市の表面上、紛争地域でないイスラエル地域について話していたことを微妙に示していた。

70年来、現代のイスラエルがエルサレムで首都を作ったということは、純然たる事実であったとトランプは述べた。確かにそうではあるが、都市全体ではない。

東エルサレムは50年前占領された。そして、イスラエルの主権は10年以上も後に都市のその部分に広がった。

エルサレムは、イスラエルの成功した民主主義の中心であり、イスラエル国会、最高裁判所、首相官邸、大統領邸が所在する場所であると、彼はさらに強調した。
もちろんそうだ。そして、それらの首都のランドマークは、1967年に占領された都市の一部にはない。

何十年にもわたって、アメリカの大統領およびその他の代表者が、エルサレムでイスラエルの当事者たちと会ったと彼は言及した。それはそうだ。1967年以前のエルサレム、つまり、トランプ氏の発表は、イスラエルの独自の首都を選ぶ特権を温かく支持し、イスラエルがエルサレムでこれを行った権利、すなわち「古代にユダヤ人が制定した首都」に対する決定的な支持を構築したことを示している。

彼は、「これまで、アメリカは、すべてのイスラエルの首都を認めることを拒否していた」(そうするための表面上の「勇気が書けていた」という前任者に対する不適切な皮肉)で嘲笑した。

彼の声明は、就任中に”嘆きの壁”で祈った唯一の大統領として、イスラエルに対する彼の支持を反映している。しかし、イスラエルのすべてのエルサレムに対する主張を大統領が支持しているというわけではなかった。

トランプ氏は、「エルサレムは、現在、ユダヤ人が嘆きの壁で祈っている場所であり、キリスト教徒が十字架の道行き*を歩く場所であり、イスラム教徒が聖アル・アクサ寺院で礼拝する場所を残さなければならない。」と宣言したとき、イスラエルの主権を都市全体で認識していたと主張する人もいるかもしれない。
しかし、彼はこのことについて明確にした。

十字架の道行き*・・・イエス・キリストが十字架のかけられる受難の道を14の十字架や像で表したもので受難節に祈りと瞑想がささげられる。

彼のスピーチには、エルサレムの聖地、たとえばハラム・シャリーフ**と慎重に言及している神殿の山***を含め、現状を維持するよう要請した。
そして彼は、彼の発表が、米国を「エルサレムにおけるイスラエル主権の特定の境界を含む、いかなる最終的な問題にも」位置付けることを約束しなかったと明示した。これらの事項は交渉で決定されなければならない。

ハラム・シャリーフ・・神殿の。・エルサレムのユダヤ人聖地。イスラエル・パレスチナ間の紛争地域
神殿の山・・・エルサレム神殿のあった丘で、ユダヤ教徒イスラム教の聖地

実際に、パレスチナ国家を除外することは程遠い。イスラエルとパレスチナ人が合意すれば、米国は「ニケ国家解決」を受け入れる可能性があるとの見解を示した。

パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス大統領が最前線に立っているアラブ世界は、イスラエルの首都としてエルサレムを認識し、テルアビブからエルサレムに米国大使館を移すプロセスを開始することに対して、トランプに警告した。トランプが発言する前でさえ、アッバスの支持者やハマス・テロ集団の支持者たちは、数日間の激怒に応じることを誓った。

そして、トランプ氏の微妙な声明の全てにおいて、アラブ諸国での彼の批判は、正当に主張することができる。

エルサレムのそれぞれの立場の見解を示すことによって、米国大統領が最も敏感な最終的地位問題の一つに早まった判断をした。

さらに、彼は、特別な和平協定案なしのひとりよがりな演説をした。しかし、彼が取った立場は、アッバスが求めている平和な国家目標を排除するものではない。イスラエルは、東エルサレムで要求する主権をパレスチナ人に完全に与える意図はないが、イスラエル政府がそうしていたなら、そのような合意はトランプの宣言と矛盾しないであろう。

エルサレムは非常に不安定な問題である。なぜなら、イスラエルに敵対しているすべての人が非常に多くの声を出しているわけではない。大統領の声明が不安を引き起こし、場合によっては不安以上のものが地面に出ることは間違いない。
そして、アッバスを交渉のテーブルに連れて行くことは非常にあり得ない。

彼の前任者であるヤッセル・アラファトは、共感的なビル・クリントン元大統領の2000年の和平努力を断念した。バラク・オバマ前大統領のもとネタニヤフ首相が、しぶしぶと受け入れた10カ月間の和解凍結期間中にアッバス自身はほとんど議論しなかった。
PA(パレスチナ)議長は今、「永続的な平和のための高貴な探求に参加する」というトランプの嘆願に飛び乗るつもりはない。

しかし、アッバスが本当に交渉のテーブルに来ることを望んでいれば、水曜日のトランプのエルサレムの演説には、彼の表面的な目標どれにおいてもドアを閉ざしたことはなかった。

大統領は、「我々はイスラエル人にとってもパレスチナ人にとっても非常に大きな合意をしたい。」と主張した。パレスチナ人をはじめ多くの人々は、彼を信じないかもしれない。しかし、それは彼が言ったことである。
(海外ニュース翻訳情報局 MK)

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