【経済・調査結果】自動化で2030年までに世界の8億人が仕事を失う可能性

今年は、AIに奪われる仕事、残る仕事についてのニュースが何かと話題になりました。マッキンゼー・グローバル研究所によると、自動化により2030年までに世界で8億人が仕事を失うかもしれないそうです。しかし、新しい仕事も生まれるようです。水は低きに流れると言いますが、自動化の流れはおそらく止まらないのでしょう。変化を恐れず、新しい技術を活用できる人材になりたいものです。本記事は、米国マーケットウォッチからの紹介です。
Post 2017/12/06

MarketWatch  By Alessandra Malito  2017/11/29】

2030年までに、米国の労働人口のうち3分の1が自動化で仕事を失うかもしれない。

マッキンゼー・グローバル研究所(McKinsey Global Institute)が行った8か月間の研究によると、世界の労働時間の30%が自動化され、米国とドイツの労働人口のそれぞれ3分の1を含む、世界で最大8億人が失業するだろう。労働者は新しい仕事を探す必要があるだけでなく、そのうちの半分(約3億7,500万人、すなわち世界の労働人口の14%)は、自分たちが以前にやっていた仕事分野が消えるか、もっと少ない人間の労働者数で足りるようになる可能性が高いため、まったく新しい職業を探さなければならなくなるかもしれないと研究は発見した。

自動化は、次のようにも労働人口を変えるだろう。

自動化が奪う仕事があるかもしれない一方で、職務を変えるというものもある。たとえば報告によると、60%の職業で、少なくとも仕事の30%が自動化される可能性がある。自動化はまた、新しい仕事を生み出すだろう。「新しい仕事というだけではなく、まったく新しい分野の仕事が時とともに生み出される」と、マッキンゼー報告の筆頭著者であるマイケル・チュイ氏は述べた。自動車産業を例に挙げると、自動車が馬車に取って代わったことで馬の蹄鉄生産者や馬車の清掃者は仕事を失ったが、自動車組立工やガソリンスタンドの係員といった新しい仕事が元の仕事で生み出されたと彼は説明している。

労働者の3分の1が2030年までに仕事を失う可能性があるとしても、なくなる仕事の数は少なくなる可能性が高い。自動化の採用へ動く速度は産業によって多様だからである。自動化で米国やドイツといった国では、ゼロ~3分の1の労働人口が一掃されると見込まれているため、2030年までに仕事を失う労働人口の中間点は約15%~20%であろう。この割合は、技術や雇用者の雇用判断といった様々なシナリオによって変わると、チュイ氏は述べた。

低賃金および高賃金労働者は潜在的に安泰かもしれない。雇用者は、もっと多くの管理職を求めており、低賃金労働者に業務を依存しているからである。しかし、中程度の賃金労働者は、最も大きなプレッシャーを感じるだろう。彼らの仕事を中心に変遷すると予想されるからだ。言い換えれば、収入で誰の仕事がなくなるのかが決まるのではないということだ。パラリーガル(弁護士補助員)を例に挙げると、給与は高いかもしれないが仕事は自動化される可能性が高いと(ICTアドバイザリー企業)ガートナー社の人事実践リーダーである、ブライアン・クロップ氏は述べた。

これは雇用者にとっては、効率的かつ意欲のある従業員を探すのに伴い、賃金を上げるちょうどよい時期かもしれないと研究者らは特記している。

都市の中には、他と比べ、自動化で労働人口により悪影響を及ぼすところもあるかもしれない。空間経済分析研究所(Institute for Spatial Economic Analysis, ISEA)の研究員であるジェス・チェン氏によると、たとえばラスベガスは、2035年までに市内の全仕事のうち、約65%を占める飲食、事務、販売といった職業が自動化に左右されやすい状況にあり、技術の進化で大打撃を受けるかもしれない。これまでと同じペースでロボットの採用が続けば、2035年までに、米国の労働者1億人分の仕事量がこなせる約1,800万の産業ロボットが誕生するだろうとチェン氏は書いている。

自分の分野が間もなく自動化されると考えるのであれば、今から変遷期へと進み始めるべきである。すなわち、自分の分野で技術の進歩に対応した新しいスキルを身に付け、自動化を補完する、あるいは高める仕事を探すべきである。「ロボットによる災厄が起きると言われるのを聞いたことがあるだろう」とチュイ氏は述べている。従業員は、仕事の再訓練を受ける必要が生じるだろうが、それは雇用者にとって試練となりうる。社会も、人間を雇用し続けるために、建設などでもっとインフラへの投資をする必要が生じるであろう。人もまた、進んで多くの仕事を転々とするか、自動化を補完するスキルや職務を学ぶことができる職場で減給を受け入れて働かなければならなくなるだろうと、クロップ氏は述べた。「人は、進んで様々な方向に、より多くの段階を踏まなければならなくなるだろう」と、彼は述べた。

(海外ニュース翻訳情報局 渡辺 つぐみ)

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