【伊・国防】イタリア版ペンタゴンの真の影響

11月、パリの西郊外のデファンス地区にフレンチ・ペンタゴンが設立されました。今まで分散していたフランスのアルメ・アーミー・軍隊、陸・海・空軍が一つにまとめられ、イスラム過激派テロや極左のフランス侵入を警戒し、国防の拠点として対応するそうです。そして、イタリアもペンタゴンの建築をし始めました。EU諸国内で開かれていた国境も防衛を強化する時期にきているようです。
このことについてVOLTAIRE NETWORK の記事を紹介いたします。
Post 2017/11/19  6:49

フランス軍はすでに自国に新しいペンタゴンを設立しており、イタリアでは自国のペンタゴンを建築し始めたばかりである。全体的に北大西洋条約機構(NATO)に参加している国々は、上官にあたるアメリカ合衆国が規定した模範を手本として自国を編成している。これから述べる場所の変更は、さらにもう1つの進展である資源と目標の変更にもあたる。

VOLTAIRE NETWORK | イタリア・ローマ | 2017年11月4日

ローマのチェントチェッレ地区の住人が、その地区で遺跡がある公園と緑地帯上でイタリアのペンタゴンが建設されることへの影響に反発するのは当然だ。(イタリア日刊紙イル・マニフェスト、10月29日)しかし、より深刻な別の影響が、論評されることなく進行している。イタリア憲法への影響である。

今年の初め、我々は以下のことを報じた。

・アメリカ合衆国のペンタゴンのミニコピーのような1つの建物の元に、軍隊の参謀総長全員を集める計画があった。
・これは「軍隊の運用モデルを改める」ために不可欠な要素である。
・そしてこの計画は、ピノッティ大臣が署名した「国際安全保障防衛白書」を通じて制度化されている。

この計画はイタリア共和国の憲法の根幹を覆すものであり、北アフリカや中東やバルカン半島といった地中海を見渡す地域で軍事行動を起こす力を持つように、共和国を作り変える。この動きは何に基づいているのだろうか。それには2つある。1つ目はイタリア自体の経済的、戦略的に「重大な利益」を支えるためである。2つ目は、バルカン半島からアフガニスタンまで世界のいたるところで、アメリカ合衆国主導の北大西洋条約機構(NATO)に代表される西側諸国の利益が、死活問題にあるからである。

こうしたことにことごとく作用しているのは、2016年の法体制である。この法体制は(現在20か国で30ある)海外での軍事的な任務を制度化しており、経済・財政省によって承認されたファンドを通じて資金運用をしている。

つまり実際に軍事支出は増加している。上記に挙げたことやそれ以外の項目が防衛費に加わっており、軍事支出は、1日平均およそ7,000万ユーロに上がった。北大西洋条約機構(NATO)からの要請があるので、さらに1日およそ1億ユーロに到達するように膨らんでいくだろう。

攻撃用に軍隊を再編するには、さらにいっそう費用のかかる新しい世代の武器が必要になる。最近のイタリアの購入は、アメリカ合衆国製のミサイルAGM-88E AARGMの最新式で、以前にもイタリアはその旧式を購入していた。このミサイルの25基で1,820万米ドルかかっており、またイタリアが以前購入した旧モデルを無駄にすることはない。AGM-88E AARGMは、戦闘爆撃機から発射される中距離用のミサイルであり、攻撃の初期段階でレーダーを破壊し、したがって攻撃している国の防御に風穴を開ける。

製造業界のオービタルATK社は、「このミサイルはF-35にも対応している。」と明言する。F-35とは、もちろんアメリカ合衆国ロッキード・マーティン社の戦闘爆撃機であり、イタリアはレオナルド社(前フィンメカニカ社)が運営するカーメリ工場のFACO施設を通じてF-35の製造工程に参加しており、その90機の購入を請け負った。最初のF-35は、2016年の12月12日にアメンドラ空軍基地に到着した。これによってイタリアは、アメリカ合衆国を除けば、新しい核爆弾B61-12も装備する新しい第5世代戦闘機を手にした最初の国となった。

他方において、イタリアは武器の購入国だけではなく、製造国でもある。軍事産業は、白書によると「国家システムの柱」と定義されていて、というのは軍事産業が「輸出を通じて貿易の均衡のバランスを取り戻すことに寄与」し、「高賃金分野の国内産業の製造の促進に寄与」するからだ。

結果は見ての通りである。レオナルド社は世界の軍需企業100社のランキングで、9位に躍進した。同社の年間武器売上高は、2016年にはおよそ90億米ドルだった。10月の始めにレオナルド社は、オーストラリアで新しく工場をオープンすることを発表し、そこではオーストラリアの陸軍海軍用に武器と通信システム製造する。

その代償として、レオナルド社の今日の84パーセントの売上高を占める軍需部門の製造をさらに促進するために、2つのフィンメカニカ社系列の会社を日本企業の日立に売却している最中だ。売却した会社はアンサルドSTS社とアンサルドブレダ社で、鉄道製造における世界のリーダー的な会社である。
安定法(the Stability Law)の予算から流用した資金で、新しい戦争省の本部であるイタリアのペンタゴンは、「国家システムの柱」として建築されている。

マリオ・ディヌッチ(Diario di viaggio):地理学者であり地政学的科学者。著作本Laboratorio di geografia、Zanichelli 2014、Diario di viaggio、Zanichelli 2017; L’arte della guerra / Annali della strategia Usa / Nato 1990-2016、Zambon 2016

(海外ニュース翻訳情報局 TO)

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