【中東・経済】サウジアラビアはオイルダラー終焉を望む

ベネズエラは今年9月から原油決済に人民元を採用し、米ドルの支配的な地位に一石を投じました。今度は、サウジアラビアが原油決済でのドルへの依存を断とうとしていると主張する経済評論家の意見記事が、ロシア国営メディアであるロシア・トゥデイから紹介されました。ロシア側からこの記事が紹介されていることも興味深いです。
Post 2017/11/18 12:15 update 12:59

RT  16 Nov, 2017

米国とサウジアラビアは非常に相互依存しており、両国に亀裂が入ればオイルダラー*制とドルの基軸通貨としての地位にとって大打撃になるだろうと、経済評論家であるブランドン・スミス氏は警告する。スミス氏は、サウジアラビア政府がドルを捨てる計画であると確信している。

*オイルダラー:広義には産油国が石油輸出代金として受け取るドルをいうが、一般には石油輸出国機構(OPEC(オペック))諸国の経常収支の黒字によって蓄積されたドルをさす。

「グローバル経済がリセットされる次の局面は、オイルダラー支配を壊すことからも始まると考える。オイルダラーから遠ざかるという、戦略的な転換についての分析において重要な要素は、米国とサウジアラビアとの共生である。サウジアラビアは、ドルが原油決済通貨であり続けるために、最初から唯一無二の鍵であった」とスミス氏は、自身のウェブサイト、アルト・マーケット・コムの記事で述べた。

その目的とは「不安定な金融環境で繁栄するために、交易ネットワークの形成や、知識・アイディアの交換を促進すること」であるとサイトでは主張している。

経済評論家のスミス氏によると、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン副皇太子は、米ドルへの依存を断つ方法を模索している。サウジアラビアの『ビジョン2030』とは、経済における原油シェアを削減するということではなく、オイルダラーに終止符を打つことかもしれないとスミス氏は語る。

「ムハンマド副皇太子が力を注いで展開した、革新的な『ビジョン2030』は経済の安定を後押しするために、サウジアラビアが原油歳入に依存するのを止める手段として喧伝された。 しかし、この計画は原油への依存を止めるものではなく、米ドルへの依存を止めるものだ。.実際、計画では世界の原油決済通貨としてのドルと、(サウジアラビア通貨)リヤルのドル連動固定相場制から脱却することが示唆されている」と彼は述べた。

1974年の、リチャード・ニクソン米国大統領とサウジアラビアのファイサル国王との合意は、サウジアラビア政府がすべての原油輸出でドルを受け入れることを意味した。

「ムハンマド副皇太子はまた、ロシアと中国にはるかに深い結びつきを有しており、2国間合意を作りつつある。その結果、国家間の原油取引におけるメカニズムとしてのドルを除外することになるかもしれない。」とスミス氏は付け加えた。

(海外ニュース翻訳情報局 渡辺つぐみ)

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