【米国・世論調査】アメリカ人の懸念に関する調査

米国チャップマン大学によるアメリカン人の懸念にかんする世論調査を紹介します。
Post 2017/10/25  18：25

「チャップマン大学調査：アメリカ人の心配事の波4（2017年）」は、平均的なアメリカ人の心配事について、徹底的な調査を提供している。2017年5月に、米国中から無作為抽出された成人1,207名は、犯罪から、政府、環境、災害、個人的な悩み、技術およびその他多数におよぶ、非常に多様な80項目の違った心配事について、それぞれの心配度合について聞かれた。

2017年心配事上位10項目
下記は、最多割合のアメリカ人が「心配している」、または「非常に心配している」と報告した10件の一覧である。

2017年の心配事一覧は、ドナルド・トランプ氏の大統領選挙を受けての政情不安および不確実性を明らかに反映している。北朝鮮との緊張増加、医療制度大改革に対する懸念、および、（調査が行われていた時点での)米国のパリ協定離脱に関する議論により、下記のとおり2016年とは大きく異なったものとなっている。

アメリカ人最大の心配事のうち、環境品質に関する順位

アメリカ人の心配事2017年について、とても印象的かもしれないのは、水質汚染、および飲料水質を含む、環境面での心配事の数字が、以前よりも顕著であることだ。環境問題は、以前の調査では心配事上位10項目に、全く割って入ることがなかった。

2017年に、環境面での心配事が急激に増加したのは、政府の政策変更に関する心配のためと思われる。トランプ政権は、劇的に異なる方針を立てており、米国環境保護庁に、大部分の汚染防止法を施行しないよう命令し、EPAの科学諮問委員会全員を解雇している。

水質汚染
•アメリカ人の大半（53.1％）が、「海洋、河川および小川」の汚染を心配している。これは、調査で初めて分かったことであるが、環境問題が心配事上位10項目に登場した。2017年に、水質汚染がそれほど顕著に恐れられるようになったのは、オバマ政権からの環境政策の転換に端を発するかもしれない。

ドナルド・トランプ氏が、大統領として最初にとった行動の1つは、EPAの「合衆国水系」規則の撤回であった。この行動は、水質汚染防止法のもとで農業排水から守られる河川および小川の数を劇的に削減した。政権の最初にとった行動のもう1つは、アパラチア山脈系河川および小川を、露天採鉱から守るために施行されていた、「ストリームバッファ」規則の撤回であった。

飲料水の質
• 50.4％が飲料水の質を心配している。国内他の地域で汚染された飲料水が次々と発見されたことと同様、昨年のミシガン州フリントでの飲料水中の鉛毒に対する、顕著なニュース報道を考慮すれば、これは驚くべきことではないだろう。

こういった項目の顕著さは、国民の意識の中で、水質汚染は通常、重要性において他の環境問題に勝ることを示した、長年の世論調査と一致する。水質汚染は全体で3位に入り、僅差で飲料水の質が続く。

気候変動および大気汚染
• アメリカ人の48％は気候変動を心配し、大気汚染では44.9％である。これはそれぞれ、心配事の上位8位および10位である。現在、気候変動（および、気候変動に寄与する大気汚染）を心配するというアメリカ人の数が急激に上昇しているのは、トランプ氏の、物議を醸したパリ協定離脱決定に関連するかもしれない。

世論調査では、国民の懸念事項として、気候変動は他の環境問題よりも順位が低い。これは海洋および大気温暖化の影響は、ありそうにない遠い未来のことであり、「他人」に影響しそうなものであるという捉え方をするためと思われる。

2017年心配事全一覧
以下は、「チャップマン大学調査：アメリカ人の心配事の波4（2017年）」で取り上げられた、心配事80項目の全一覧である。ここには、心配している、または非常に心配していると報告したアメリカ人の割合が含まれている。