【ドイツ・軍機密文書漏洩】2040年までにEU崩壊と親ロシアの『東側諸国』の台頭を予測

ドイツは、欧州随一の経済大国としてEU内外に大きな影響力を誇り、これまでもギリシャ問題やクリミア危機などで指導力を発揮してきました。しかし、ドイツ連邦軍の機密文書が独有力誌にリークされ、密かにEUの行方について懸念を募らせているというロシア・トゥディの記事を紹介します。
Post 2017/11/09 10:10
 

By RT 2017/11/07

ドイツ連邦軍は、2040年までの欧州の将来に関する6つの「最悪の事態」のシナリオを概説している。漏洩された機密文書では無秩序で混乱し対立に傾きがちなEUからより多くの国が去り、ロシア主導の「東側諸国」に入ると予測している。

連邦国防省の機密文書がシュピーゲル誌にリークされた。その文書では、西側資本主義諸国の大多数が明らかに恐れているシナリオである、欧州共同体の分裂に関するドイツ政府の主な懸念を浮き彫りにしている。『戦略的見通し2040』(Strategische Vorausschau 2040)というタイトルで、102ページにわたるこの政策文書では、ドイツ政府の戦略官が妥当と考える6つのシナリオが想定されている。

そのシナリオは、いくつかのEU加盟国がロシア側につく東西対立から、加盟国がEU合意に逆らい、ロシアの政治的または経済的モデルを採用する「多極の欧州」に及ぶ。

そのようなシナリオの1つには、『EU崩壊とドイツの受動的地位』というタイトルが付けられている。これは、世界が「数十年の不安定性」を抱えることになると予想している。英国同様、他国がEUを離脱することについても述べており、EUブロック拡大の終焉について「EU拡大はほぼ断念されており、(一方)世界的競争力を失ったより多くの国が欧州共同体を離脱した」と言明している。

「次第に無秩序になり、時に混乱し対立に傾きがちな世界は、ドイツと欧州の安全保障環境を劇的に変えた」と軍事参謀が書いている。『西対東』と呼ばれる別のシナリオは、いくつかのEU加盟国が「東側諸国」へ移行することで欧州統合が崩壊すると予想する。これは一見、ソ連時代のソ連同盟国をほのめかしているようである。

『多極の競争』と呼ばれるシナリオでは、いくつかのEU加盟国が、ロシアの「国家資本主義モデル」に近づきつつあるように見えることを理由に、欧州で過激思想が台頭すると予測する。ドイツの連邦軍計画部によって描かれたこれらすべてのシナリオは、2040年までに起こりうると見られている。

欧州統合は、英国が全国的な国民投票でEU離脱を選択した2016年以降、限界に追い込まれている。英国は欧州の金融拠点の1つであり、2019年にEU圏を離れることとなっている。一触即発のブレグジットの話し合いは現在、離脱にかかる費用に加え、EU内で暮らす英国市民および英国で暮らすEU市民の地位が焦点となっている。フランス、オランダ、およびオーストリアの極右政党は過去に、それぞれ「フレグジット」、「ネグジット」、および「エグジット」投票を呼び掛けている。

 EUの経済大国であるドイツは、大陸で起きるどの事態に対しても、徹底的に戦略的な計画を立てるという長い伝統がある。勲章を授与された1850年代プロイセンの、ヘルムート・フォン・モルトケ陸軍元帥からその伝統がすべて始まっている。そして、その伝統は少なくとも3つの主要な対立に適用された。すなわち、1871年まで続いた普仏戦争、第1次世界大戦、および第2次世界大戦である。

(海外ニュース翻訳情報局 渡辺つぐみ)

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