【米国】米国情報機関の上級幹部が語ったAIについての洞察

先週、CIAとNSAという2人の米国情報機関の上級幹部が人工知能に関する貴重な洞察を発表しました。
それぞれの機関にとってこの新しい技術パラダイムがもたらす機会と脅威について議論しています。
議論の内容について簡単にまとめましたのでご興味のある方は御覧ください。


27日水曜日、中央情報局(CIA)のラクシュミ・ラマン人工知能部長は、ワシントンDCで開催されたPolitico’s AI & Tech Summitにインタビューに応じ、この話題を取り上げた。

このPolitico’s AI & Tech Summitの議題は次の通り

  • 有害性を低減するための適切なガードレールを確保しつつ、ジェネレーティブAIのような画期的な技術をいかに奨励するかについての議論。
  • 米国が世界の舞台でその地位を活用し、テックガバナンス政策に民主主義の原則を浸透させる機会。
  • 国内のインフラ、ハードウェア、接続性を強化し、より自立したものにするための政策と投資。
  • デジタルデバイドを解消し、デジタルの公平性を高める計画。
  • 州政府によるハイテク規制の取り組みと、その法律が連邦政府の取り組みをどのように補完するか、あるいは対立するか。

28日木曜日には、国立安全保障局(NSA)の局長のポール・ナカソネ陸軍大将が、首都で開催されたナショナル・プレス・クラブのヘッドライナーズ・ランチョンで同じテーマについて語った。

https://www.youtube.com/live/tJnMlPydBak?si=YH3Hr_x0is6zzZJM

ポール・ナカソネ局長について
2016年から米国サイバー軍司令官を務め、2018年5月から国家安全保障局長を務めている。同氏は、韓国、イラク、アフガニスタンで任務を遂行し、陸軍のあらゆるレベルで指揮官や参謀の職を歴任してきた。最近の海外赴任は、アフガニスタンのカブールにある国際治安支援部隊統合司令部J2情報部長だった。

The Nastional Press Clubより

ナカソネ氏は発言の中で、国防総省だけでなくアメリカの情報機関もかなり以前から人工知能を利用していると指摘している。

このように、人工知能システムはすでに日常的に情報を管理・分析する上で不可欠なものとなっている。

そうすることで、こうしたシステムはNSAの人間の職員による意思決定に重要な形で貢献している。同時に、NSAは人工知能を使って、インテリジェンスの方法論と評価に関するベスト・プラクティスのガイドラインと原則を開発し、定義してきた。

現在、米国は人工知能において敵対する国よりも明らかに優位に立っている、とナカソネ氏は言う。しかし、その優位性を「当然と考えるべきではない」とも。

人工知能の組織原理が情報セキュリティ企業の日常業務にますます組み込まれるにつれ、その利用によって新たなリスクが生まれつつある。

このため、NSAは既存のサイバーセキュリティ・コラボレーション・センター内に、新たに人工知能セキュリティ・センターを立ち上げた。サイバーセキュリティ・コラボレーション・センターの使命は、米国とそのパートナー国の民間セクターとの連携を発展させ、「新興技術の安全確保」と「米国国防産業基盤の強化」を図ることである。

ナカソネ氏は、「人工知能セキュリティセンターの設置の決定は、NSAの調査に基づいたものである」と、現在使用されている人工知能モデルへの敵対的な攻撃から生じる国家安全保障上の課題に警告を発した。

このような攻撃は、敵対的行為者の指揮下にある他の生成型人工知能技術から発生する可能性があり、重要な人工知能技術の妨害や窃盗に焦点を当てている。


先週の27日水曜日、CIAのラマン氏は、現在CIAが分析および運用能力を向上させるために人工知能をどのように活用しているかについて、いくつかの方法を語った。

ラマン氏は、CIAが人工知能チャットボットを開発していることを指摘した。
これは、CIAの部門のアナリストが研究と分析の文章作成能力を向上させるのに役立つものである。

さらに、人工知能システムは、人間のアナリストが管理できないほど大量の収集データを分析するために使用されている。

人工知能リソースをデータの選別や分類などの比較的単純で低レベルなタスクに割り当てることで、CIAはアナリストが戦略的なレベルのプロダクトにさらに時間を費やすことを可能にしている。

一方で、ラマン氏は中国やロシアなどの国々による人工知能の急速な発展について、CIAが懸念していると述べた。

特に生成型の人工知能の新しい能力は、今後の数年間においてアメリカの国家安全保障に挑戦するツールと能力を米国の敵対者に提供するであろう、と彼女は結論づけた。


今後、人口知能を攻撃として使うなら、「バグをいかに敵の人工知能に埋め込むか」という工作をするであるうことは容易に予想できると筆者は思った。

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子 文・翻訳)

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