【日本】ALPS水排水:ナショナル・ジオグラフィックの記事から

日本の世論では、福島原発からのALPS水排水に否定的な見方は、非科学的で中国から陰謀、嫌がらせ主張だという論調があります。
しかし、この世論こそが偏ったものであると当サイトでは考えています。
日本の国民には、反対派の意見の露出が極端に少なく、多くの国民が知らされていないことから、否定的な見方に対する知識がないといわざるを得ません。
海外の科学者たちの意見では反対意見も多く見られ、海外メディアでは中国に限らず、同盟国である先進国諸国でもその懸念がきちんと報じられています。

ナショナルジオグラフィック日本語版には記事になっていませんが、英語版ではきちんと問題提起され記事になっています。
同誌は中立的立場を表明し、鉄のカーテンを超えて自然地理学と人文地理学の見方を提示す雑誌です。

私は海という財産については、地球規模で考えるべきだし、鉄のカーテンを超え、100年単位の長いスパンで地球環境に対する影響を考慮した見方をしなければならないと考えています。
すぐにどうこう反応がでるものではないからといって、安易に政治的な利益で左右されるべき問題ではないと考えています。

この記事をシェアするに当たって、著作権の問題もありますので、前編のほんの一部だけ翻訳してだしました。全編はご自身でお読みください。

英語の壁ということがあるとは思いますが、日本人はこの事実を知っていて欲しいと思います。


《引用記事 ナショナル・ジオグラフィック

日本が原発廃水を太平洋に放出。私たちはどのくらい心配すべきなのか?


事故を起こした福島原子力発電所から100万トン以上の処理水を徐々に放出するという計画は、各国と科学者を大きく対立させている。

日本は排水の海洋放出を開始した。しかし、これは都市の通りから雨水排水溝に流れ込むような排水ではない。10年以上前に地震に見舞われた福島第一原子力発電所の損傷した原子炉を冷却するために使用された原子力廃水処理水である。

日本は、トリチウムと呼ばれる放射性同位体と、おそらくその他の放射性物質を含む排水は安全だと主張している。近隣諸国や他の専門家は、何世代にもわたって続く環境上の脅威となり、北米に至るまで生態系に影響を及ぼす可能性があると述べている。どちらが正しいのだろうか?

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、2つの津波が原発に押し寄せた。3基の原子炉がメルトダウンしたため、作業員は溶けた燃料を冷却するために海水を注入を開始した。12年以上が経過した今も現在進行中の冷却プロセスでは、毎日130トン以上の汚染水が生成されている。

原発事故後、130万トンを超える原発廃水が回収・処理され、同原発のタンクファームに保管されている。日本政府によると、その貯蔵スペースは底をつきつつあり、太平洋への排水処理を開始する以外に選択肢は残されていないという。

日本の排出計画では、今後30年間で段階的に放出することになっているが、一部の専門家は、まだ生産されている量を考えると、さらに時間がかかる可能性があると述べている。

国連の原子力監視機関である国際原子力機関 (IAEA) は安全性を評価しているが、日本の周辺国からは一方的で危険だとの批判が出ている。中国政府高官は最近、これを 「全人類とってのリスク」 と呼び、日本が太平洋を 「下水道」 として利用していると非難した。18の島国を代表する組織である太平洋諸島フォーラム (数十年にわたる同地域での核実験ですでにトラウマを抱えている国もある) の代表は、これを 「パンドラの箱」 と呼んだ。5月15日、韓国の野党指導者は、この水は十分に飲める安全性があるという日本の指導者らの主張を「安全に飲めるのであれば、飲料水として使うべきである」と嘲笑した。

現在、アメリカの科学者たちは、海洋生物や海流が有害な放射性同位元素 (放射性核種とも呼ばれる) を太平洋全域に運ぶのではないかという懸念を表明している。

ハワイ大学のケワロ海洋研究所所長で太平洋諸島フォーラムの排出計画の科学顧問を務めるロバート・リッチモンド所長は、 「これは国境を越え、世代を超えた出来事です」 と語る。
「福島沖の海に放出されたものは、1つの場所に留まることはありません」

リッチモンド所長は、最初の福島の事故で放出された放射性核種と破片が、5,500マイル近く離れたカリフォルニア沖ですぐに検出されたという研究を引用している。計画されている排水中の放射性元素は、再び海を越えて拡散する可能性があると同所長は言う。

放射性核種は海流、特に太平洋を横断する黒潮によって運ばれる可能性がある。また、長距離を移動する海洋動物が拡散させる可能性がある。2012年のある研究では、福島由来の放射性核種を積んだ太平洋クロマグロが、2011年の事故から半年以内にサンディエゴ沿岸に到達したという 「明白な証拠」 が挙げられている。
リッチモンド所長によれば、すべての海洋生物の食物連鎖の基礎であり、福島の冷却水から放射性核種を捕獲できる自由浮遊生物である植物プランクトンが放射性核種の運び屋となることも同様に懸念されるいう。
摂取すると、これらの同位体は「様々な無脊椎動物、魚類、海洋哺乳類、ヒトに蓄積する」可能性がある。さらに、今年の初めに発表された研究では、マイクロプラスチック (海洋でますます広域に広がっている小さなプラスチック粒子) を放射性核種輸送の 「トロイの木馬」 になる可能性があると言及している。

以下詳細全文は、原文をお読みください

原文はこちらから

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子  文・翻訳)

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