【米国:メディア比較】Fox Newsが7億8750万ドルの名誉毀損和解で裁判を回避し、メディアを分断

米国のニュースチャンネル、Foxニュースは、ドミニオン・ボーティング・システムズ社への名誉毀損訴訟での和解金額が7億8750万ドルであることを発表したことで、世論は様々な反応を示しています。

この和解により、誤報、報道、そして第1修正条項に関する注目度の高い裁判が回避されたことで、ライターたちはその成果と欠点について論じています。

分析後の記事は、CNBC(中道)の記事を翻訳しましたのでぜひ御覧ください。


左派からの意見:

左派の声は、裁判が進まなかったことに失望を表明しており、特にタッカー・カールソン(右派傾向)や、元フォックスニュースCEOで現在は会長のルパート・マードックなどの著名な右派傾向のメディア人物の裁判証言を熱望していた。

ミシェル・ゴールドバーグ(左派傾向)は、フォックスニュースが和解せざるえまったのは「適切な弁明ができなかったため」だと指摘、「Foxニュースがどれだけの金額を支払うことになるのか、世界に示したに過ぎない」と述べた。

デイリー・ビーストのライターは、この和解が、「悪意ある右派の行為者がお金で責任を回避できることを証明した」と結論づけた。


右派からの意見:

右派の声は和解発表に敢えてあまり注目していない傾向がみられるが、ニュースを見ている人たちは概して、和解が成立し、前例を設定する裁判が回避されたことに安堵している。

リーズンのライター(右寄り傾向)は、「Fox Newsのホストたちに直接政府が彼らの発言に対して罰を与えることは、たとえそれらの発言が名誉毀損であったとしても、我々をとても危険な坂道に転落させることになる」と主張。

ワシントン・エグザミナーのライターは、どちらの判決でも報道機関にとって悪影響を及ぼすだろうと結論付けた。Foxに有利な判決が下されれば、「悪質のある行為に青信号が灯る」ことになり、ドミニオン社に有利な判決がくだされれば、「自由に相反する方法で憲法修正第一条*の保護を狭める」と結論づけた。

修正第1条[信教・言論・出版・集会の自由、請願権][1791 年成立]
連邦議会は、国教を定めまたは自由な宗教活動を禁止する法律、言論または出版の自由を制限する法律、 ならびに国民が平穏に集会する権利および苦痛の救済を求めて政府に請願する権利を制限する法律は、こ れを制定してはならない。

アメリカンセンター

《引用記事 CNBC

Fox、Dominion Voting Systemsに7億8,750万ドルの支払いで和解-選挙名誉毀損訴訟

・米国のFox Corp.とそのケーブルネットワークは、Dominion Voting Systemsが2020年の大統領選挙の結果を操作したという虚偽の主張についての名誉毀損訴訟を解決するため、同社に7億8,750万ドルを支払うことに合意した。

・陪審員が選ばれた後に和解が成立したため、トップのFox TVホストやネットワークのボスであるルパート・マードック氏が公開証言する可能性のある数週間にわたる裁判は回避された。

・ドミニオン社のCEOであるジョン・ポーラス氏は、法廷の外で報道陣に対し、和解の一環として「Foxが嘘をついたことを認めた」と述べた。


デラウェア州ウィルミントンー Fox Corp.と同社のケーブルネットワークは、Dominion Voting Systemsが同社の投票機が2020年の大統領選挙の結果を操作したという虚偽の主張についての名誉毀損訴訟を解決するため、7億8,750万ドルを支払うことに合意した。

この和解は、デラウェア州上級裁判所で12人の陪審員が着座した後に行われ、トップのFox TVホストやネットワークのボスであるルパート・マードック氏が公開証言する可能性のあった数週間にわたる裁判を回避した。

和解金は、ドミニオン社が最初に要求した16億ドルのうち、Foxがほぼ半分を支払うことになり、開廷の準備中に当事者が訴訟解決を話し合っているのではないかとの憶測が出る中、冒頭弁論が何時間も延期され成立した。

ドミニオン社のCEOであるジョン・ポーラス氏は、法廷の外で報道陣に対し、和解が「歴史的なものである」と語った。

ポーラス氏は、「Foxがドミニオンについて嘘をついたことが、私たちの会社、従業員、そして私たちがサービスを提供する顧客に莫大な被害をもたらしたことを認めました。何事もこれを埋め合わせることはできません。このプロセスを通じて、私たちは責任を追及し、この事件によって明らかになった証拠が嘘を広めたことの深刻な事態を強調したと信じています。メディアにおける真実の報道は、我々の民主主義にとって重要です」と述べた。

上級裁判所のエリック・デイビス裁判官は、午後4時近くに陪審員と12人の代理陪審員を法廷に招集し、証言の聴取や証拠の確認は必要ないとし、裁判を終結することを発表した。

「当事者間で和解が成立しました」とデイビス裁判官は陪審員たちに告げ、「皆さんがいなければ、当事者たちは解決に至ることはできなかったでしょう。予想された6週間は短い期間でしたが、皆さん方は自分たちの任務を果たしました」と述べた。

Fox News Mediaは声明の中で、「Dominion Voting Systemsとの紛争に合意したことを喜んでいます」と述べた。「裁判所の判決により、ドミニオン社に関する特定の主張が誤りであることが明らかになりました」と付け加え、「この和解は、Foxが最高のジャーナリズム基準に対する継続的な取り組みを反映したものです。分裂を引き起こす裁判の対立ではなく、ドミニオン社と円満に解決することで、国がこれらの問題から前進することを望んでいます」と述べている。

この問題に詳しい人々によると、Foxのオンエアタレントは、放送中に和解に関することを認めたり言ったりする必要はないとのこと。

ドミニオン社の広報担当者は火曜日に以下のように述べた。
「謝罪とは責任についてのものであり、今日ドミニオンはフォックスに責任を取らせました。フォックスは歴史的な和解金を支払い、ドミニオンについての声明が虚偽であったことを認めました。」

投票機や選挙ソフトを販売するドミニオン社による訴訟は、Fox Newsとその姉妹ネットワークFox Businessが、同社に関する根拠のない主張を放送し、2020年にドナルド・トランプ前大統領がジョー・バイデン大統領に敗北した原因を「意図的に、虚偽の主張で」ドミニオン社になすりつけたと主張していた。

Foxは、司法裁判所での提出書類で、同社のホストたちのドミニオン社に関する発言は、第一修正条項によって保護されていると主張していた。また、同社はドミニオン社が、民事上の名誉毀損請求の基準である、いわゆる実際の悪意を持って発言したとは示していないと主張している。

Foxの弁護士たちは、火曜日に裁判所を出る際にコメントを求められたが、何も答えなかった。

この和解により、保守系ニュースネットワークでドミニオン社に関する主張が2020年の選挙後に行われたことをめぐり、マードック氏やFoxのホストたちが公の場で敵対的な尋問を受けるリスクが一旦回避された。

この事件で証言する予定だった証人には、タッカー・カールソン、マリア・バルティロモ、ショーン・ハニティ、ローラ・イングラハム、ジャニーン・ピローなどが含まれていた。

また、Fox Businessの番組が2021年に打ち切られたルー・ドブスも証言する予定だった。

Foxは、別の投票機会社であるスマートテックから、2020年選挙中の業務に関して同様の名誉毀損訴訟を起こされている。

スマートテックの弁護士であるJ. エリック・コンノリー氏は声明の中で、「ドミニオン社の訴訟によって、Foxの偽情報キャンペーンによって引き起こされた不正行為と被害が一部明らかになりました。スマートテック社は残りの部分を明らかにします。スマートテック社は、汚名を返上し、会社に生じた大きな損害を取り戻し、民主主義を弱体化させたFOXに責任を問うことに全力を尽くします」と述べた。

ドミニオン社は、Newsmax Media、One America News Network、Overstockの創業者であるパトリック・バーン、My Pillow社のCEOであるマイク・リンデル、元トランプ弁護士の不ディ・ジュリアーニ、弁護士のシドニー・パウエルらに対する2020年の選挙に関する虚偽の主張に関連した名誉毀損訴訟も係争中である。

ドミニオン社の弁護士であるステファン・シャッケルフォード氏は、火曜日の裁判所の外で、「お金は責任を意味します。そして、我々は今日、Foxからそれを得ました。しかし、まだ終わっていません。我々は、他にも責任を負うべき人々がいます」と述べた。

ドミニオン社が提起した他の名誉毀損訴訟においても和解が期待されるかどうかについてCNBCが問い合わせたところ、シャッケルフォード弁護士は答えなかった。

(海外ニュース翻訳情報局 文・翻訳 樺島万里子)
 

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