【日本】WHO 葛西健事務局長解任 は30人以上の内部告発によるもの

WHO 葛西健事務局長が、不適切行為で解任された報じられました。
この件については、2022年8月30日にVOAが記事にしています。
当時はまだ葛西氏への処分は確定しておらず、30人以上の内部告発についての内容で、同氏が「調査に入るため無期限の休職に追い込まれた」という記事です。

当時は、日本ではこの記事についてはほとんど報じられませんでした。
この事件から私達は、一部の日本人が持つ人種的な差別意識や感覚が、世界では絶対に通用しないものだということを改めて認識するべきではないでしょうか。当時の記事を全訳しましたのでシェアいたします。ぜひご覧ください。


《引用記事 Voice of America 2022/08/30》

人種差別と虐待を告発されたアジアのWHO理事が休職に追い込まれる

AP通信が入手した内部文書によると、WHO(世界保健機関)の西太平洋地域の最高責任者である葛西健事務局長が無期限で解任された。

AP通信の調査で、アジアでの新型コロナウイルスのパンデミック (世界的大流行) を阻止しようとする国連機関の取り組みを台無しにした、人種差別的、虐待的、非倫理的な行為が、数十人の職員によって告発されたことが明らかになり、同氏はその数ヶ月後に解任された。

金曜日、WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、西太平洋のスタッフに電子メールで、「葛西氏は『休暇中』 であると述べたが、それ以上の詳細は明らかにしなかった。テドロス事務局長は、火曜日にズザンナ・ジャカブ博士が 「事業の継続性を確保する」ためWHOの地域本部であるマニラに到着した、 と述べた。WHOの高官の2人が、報道機関に話す権限がないため匿名を条件に、内部調査員が苦情の申し立ての一部を立証したため、葛西氏は長期の休職処分を受けたと述べた。

WHOは声明で、葛西氏の不在期間は不明としている。WHOは、同氏に対する調査は継続中であり、地域局長が職務を解かれたのは「これが初めてのことだと思う」と述べた。葛西氏はコメントの求めに応じていないが、以前に人種差別的な言葉を使ったり、プロ意識に欠ける行動をしたことを否定していた。

1月、AP通信は、葛西氏が西太平洋のWHO事務所に「(心を蝕むほどストレスの多い)有毒な雰囲気」 を作り出したと主張する匿名の30人以上のスタッフが、極秘の苦情をWHOの上層部と理事会メンバーに極秘の苦情を送ったと報じた。葛西氏がスタッフに人種差別的な発言をし、一部の太平洋諸国でのCOVID-19の台頭を「文化、人種、社会経済水準が劣っているための能力不足」のせいにしていたことが文書や録音で明らかになった。葛西氏の下で働いていた複数のWHOスタッフは、葛西氏が母国である日本が寄付金で政治的ポイントを稼ぐのを助けるために、機密性の高い新型コロナワクチンの情報を不適切に共有したと述べた。

AP通信の報道の数日後、WHOのテドロス事務局長は葛西氏に対する内部調査が始まったと発表した。しかし、数カ月後、WHOの職員たちは、葛西氏が調査を操作しているのではないかと疑った。4月に国連機関の最高機関である理事会に送られた書簡の中で、職員たちは、葛西氏が上級管理職に証拠となる文書を破棄するよう命じ、ITスタッフに「全職員のメールを監視する」よう指示したと書いている。

葛西氏は日本人医師であり、母国の公衆衛生システムでキャリアをスタートさせた後、WHOに移り、15年以上勤務している。

ジョージタウン大学の公衆衛生法と人権に関するWHO共同センターのディレクターであるローレンス・ゴスティン氏によると、WHOの地域局長の解任は一時的であっても 「前例がない」 という。

「WHOには悪い地域担当者がたくさんいますが、このような対処は聞いたことがありません。」とゴスティン氏。

日本から葛西への支援が撤回されれば、彼の解任を早める可能性がある。匿名を条件に取材に応じた日本政府関係者は、WHOが公正な調査を行ったことを期待すると述べた。

葛西氏の解任は、2018-2020年に発生したコンゴでのエボラ出血熱流行時に発覚した性的虐待など、倫理に反する行為や、時には違法な行為を行った加害者の処罰にWHOが消極的であった当時とは対照的である。この時、WHOの指示の下、80人以上のアウトブレイク対応者が弱い立場の女性に性的虐待を行った。

APの調査によると、WHOの上層部は2019年に複数の搾取の主張を知らされていたにもかかわらず、対処することを拒否し、関与した管理職の一人を昇進させたことさえあった。虐待に関与したWHOの上級職員は解雇されていない。

「WHOの評判はこれらの疑惑によって崩壊した 」とゴスティン氏は述べ、コンゴにおける説明責任の欠如を 「まさに言語道断 」と断罪した。同氏は、葛西氏に対する懲戒処分を歓迎し、WHOが何らかの形で調査結果を公表することを要求した。

ゴスティン氏や他の公衆衛生学者たちは、WHOの理事会が、葛西氏に対し申し立てられた人種差別的・虐待的行為に及んで契約に違反したと判断した場合、同氏の契約は解除される可能性があると述べた。

私的なブリーフィングのメモによると、WHO自身の職員協会は6月の会議で、テドロス事務局長に葛西に対して対処するよう促し、そうしなければ 「悲劇的な間違いになるだろう」 と述べた。

「迅速な対処が取られなければ…結果は良く言えば疑わしく、悪く言えば固定的で茶番じみていると見なされるかもしれない。」と職員たちはテドロス局長に警告した。

「もし (葛西の) 不正が証明されれば、他の多くの物が面目を保つために流されたと推測されるだろう」

葛西氏が休職する前、WHO西太平洋事務所は今週、人種差別や虐待行為への懸念など 「職場文化」 に対処するためのタウンホールを計画していた。

土曜日にスタッフへのメールで、葛西のオフィスの局長であるアンジェラ・プラット博士は、会議が延期されたことを発表した。

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子 翻訳・文)

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