【ウクライナ:分析】西側諸国はウクライナのスパイ機関を信用してはならない

By Mariko Kabashima 2022/07/30

7月17日、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領政権は、ロシア軍の侵攻以来最も大規模な治安指導部の再編成を発表した

ゼレンスキー大統領の側近であるイリナ・ベネディクトワ検事総長とイワン・バカノフ国内安全保障局長の2人が即刻解任されたのだ。

ベネディクトワは、ロシアの侵攻を受けて3月に開始されたキエフの戦争犯罪キャンペーンの表看板であった。ゼレンスキーの幼なじみであるバカノフは、2019年からウクライナ治安局(SBU)のトップを務めていた。

その後のビデオ声明でゼレンスキーは、ウクライナ東部でSBUと検察庁の少なくとも60人の職員がロシア側に亡命したとの情報を得て、この2人の職員を解雇したと述べた。

先週、クレムリン・ウォッチャーのオルガ・ラウトマンは、スパイ・トークの記事の中で、バカノフの解雇は数日前から予想されていたことだと述べている。

とはいえ、この動きは西側のインテリジェンス・オブザーバーたちを震撼させ、ウクライナの治安と情報機関がロシアの干渉を受けやすいかどうかという、正当な疑問を生んだ。

西側諸国、特に西側諸国の情報機関は、ウクライナのカウンターパートを信頼すべきなのだろうか。その答えは必ず「ノー」である。実際、ウクライナ人自身も、自国の情報機関を信頼できる立場にはない。

1991年9月20日、ウクライナがソ連から独立してからわずか1週間後、ソ連のKGBに代わってSBUが設立された。

当初は対内的な安全保障と対外的な諜報活動の両方を担っていた。

しかし、2005年、SBUの情報部門は「対外情報局(SZR)」という名称で独立した機関となった。それ以来、SZRは米国の中央情報局(CIA)に相当する組織として機能し、SBUは連邦捜査局(FBI)に類似した国内安全保障機能を担ってきた。

ウクライナの国家機関全体がそうであるように、この2つの機関は本質的に肥大化している。

インテリジェンス・オブザーバーであるコネクションズによると、SBUの職員数は3万人で、英国の治安維持局(MI5)よりもはるかに規模が大きいとは指摘する。

一方、Handbook of European Intelligence Culturesの最新の情報によれば、SZRの職員数は「カナダ安全保障情報局(CSIS)の2倍、英国(秘密情報局、MI6)よりも多い」という。

ソ連が崩壊して30年以上たった今でも、この2つの機関は、規模、停滞、腐敗の点で、ソ連型の官僚機構に似ているのはどう考えても明らかであるとの見方である。

海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子 (翻訳・文)

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