【EU諸国】EUの複数加盟国が、スパイ活動の容疑でロシアの外交官数十人を追放

By Mariko Kabashima

EUの複数加盟国がロシアの外交官数十人をスパイ活動の容疑で追放しました。
こちらのついて各国の公式声明をもとにご紹介します。

3月23日、ポーランドがロシア外交官45人の追放を発表した翌週、ベルギー、チェコ、アイルランド、オランダの外務省は、2022年3月29日、ロシア外交官の追放を発表しました。その翌日、スロバキアは35人のロシア外交官を追放すると発表しました。

チェコ共和国は、72時間前に通知して、プラハのロシア大使館から一人の外交官を追放したと発表しました。ツイートでは、チェコ外務省は、「我々の同盟国と共に、我々はEUにおけるロシアのスパイ活動の存在を減らしている」と述べました。尚、同国は、2021年に、プーチン政権と連帯するロシアの外交官を追放するようEU とNATOに求めています。

ベルギーはブリュッセルのロシア大使館とアントワープの領事館から21人のロシア人外交官の追放を命じました。ソフィー・ウィルメス外相は、この措置は国家安全保障を守るためにとられたもので、ウクライナでの戦争とは無関係だと述べました。「ロシアとの外交ルートは開かれたままであり、ロシア大使館は引き続き活動することができ、我々は対話を提唱し続ける。」と述べました。

オランダはハーグのロシア大使館から17人の外交官を追放する予定です。ウォプケ・フークストラ大臣は、このロシアの外交官たちはスパイとして密かに活動していたと、オランダの諜報機関AIVDとMIVDからの情報に基づいたものだと述べました。ハーグのロシア大使館には75人の登録外交官がいますが、そのうち58人は残留する予定です。同大臣は、国家安全保障を理由に、 「志を同じくする多くの国々」 とともにこの決定を下したと述べました。フークストラ大臣は、ベルギーの同盟国同様に、ロシアとの外交チャンネルを開いたままにしておきたいと付け加えています。

アイルランドは、 「外交行為の国際基準に従った […] ではない」 活動をしたとして、ダブリンのロシア大使館から4人の 「高官」 を追放。この高官たちはGRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)の潜入軍人であると疑われており、すでに以前から、アイルランドの国家警察・治安局であるアイルランド治安防衛団に目をつけられていました。

さらにスロバキアは、3月初めに外交官3人を追放し、ロシアのためにスパイ行為を行ったとして2人を起訴した後、 「ブラチスラバのロシア大使館の職員35人を削減する」 と発表しました。同国の公式声明は 「遺憾ながら (…) ロシア外交使節団は我々の領土で適切に行動することに全く関心を示していない」 というもので、この声明以上の具体的な内容には触れられていません。

スロベニア共和国外務省JurajTomag氏による音声↓

オランダのインテリジェンスの学者でロシア専門家のベン・デ・ヨングはNRCハンデルスブラッドで、フランスとドイツの不在はロシアに送られる政治的シグナルの強度を制限していると指摘しています。情報筋がNRCに語ったところによると、追放された在オランダのロシアの外交官たちは、ウクライナへの武器輸出、NATOとEUにおける政治的・軍事的意思決定、そして新たな制裁についての話し合いに関する秘密情報を積極的に収集していたとのこと。

デ・ヨング氏はまた、外交的口実を使い不法入国させる以外に、ロシアの諜報機関には、ガスプロムやアエロフロートなどの企業に代表がいる可能性が高く、
外交的口実がなくても追放の影響を受けず、彼らの活動を継続することができると指摘しています。別のインテリジェンスの学者は、新しい外交官が最終的に登録されるだろうとも指摘しています。

ベルギーとオランダの大臣たちは、ロシアの外交官追放がウクライナ戦争をめぐる制裁の一形態ではなく、国家安全保障を追放の根拠として挙げています。今回の連携は、ロシア政府に対する共同の政治的表明とみられてるようです。

ロシア外務省のマリア・アクハロワ報道官はAFP通信に対し、 「対応は相互主義の原則に基づいて行われる」 と述べました。

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子 文・翻訳)

H/T ロイター、他

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