【オピニオン】共産主義100周年に寄せて:赤い検閲は電信からインスタグラムへ

1848年にマルクスとエンゲルによって書かれた「共産党宣言」の中の指針の一つに「通信手段を国の管理下で中央集権化すること」と書かれています。ソビエトの共産主義革命から行われてきた「情報統制と検閲」は、現在の共産党支配の国々で続いて、特に中国は、国内外に経済力と技術革新によって、現在のアメリカにも多くの影響を与えているとこの記事では警鐘を鳴らしています。さて我が国ではどうでしょうか?
この記事は、Richmond Times Dispatchから紹介します。Richmond Times Dispatchは、共和党支持の米国のバージニア州の主要な新聞社です。

Post 2017/11/03   13:46

Richmond Times Dispatch By Marion Smith Oct 28, 2017

100年前ウラジミール・レーニンのボリシェヴィキ党は10月革命でロシアを掌握し、それからソビエト連邦を樹立した。あらゆる良き革命家と同様、銃を持ったレーニンの紅衛兵が最初に行ったことの一つが首都ペトログラード中の郵便局と電信局を掌握することだった。レーニンは権力が確定すると「ブルジョア的」「反革命的」出版物を禁止し始めた。二カ月のうちにボリシェヴィキの部隊は90カ所の印刷所を掌握していた。翌年の1918年の半ばまでに非共産主義の出版社は完全に閉鎖された。このような措置は「一時的なもの」とされていた。現実にはそれが70年間続いたのだった。

共産主義の目的は社会を完全に作り直すこと。つまり情報の支配は常にこれに含まれる要素だった。1848年の共産党宣言においてカール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスは、共産革命後に取るべき基本的な取り組みの一つとして「通信手段を国の管理下で中央集権化すること」を勧めている。

レーニンとそのボリシェヴィキ党は言論の自由が自分たちの全体主義の使命に及ぼす危険性を明確に理解していた。それゆえソ連内での情報の流布に対する完全な支配が必須であることも理解していた。権力を手中に収めるとすぐに少数派の意見を反革命主義者、スパイ、犯罪者だと言って非難した。

ソ連は完全に情報環境を管理しようとしていた。この目的を達するために出版業界は完全に国有となり国の統制を受けた。

出版国家秘密保護総局または「グラヴリット」は、共産党中央委員会に直接報告する機関であり報道と放送の内容を厳格に管理し、ノンフィクション、小説、詩集を含むすべての書籍の原稿を出版前に検閲した。

国営新聞は国家または共産党の機関としてのみ機能し、共産党の宣伝局が「教育協議会」という会議で定めた指針に沿って記事を報道した。

いずれにしてもそれが最もありふれたソビエトの検閲であった。ヨシフ・スターリンの偏執的支配の中では、積極的に歴史書を編集して敵の痕跡をすべて取り除いた。出版後の本からはページが切り取られた。「失脚者」は公式の写真から抹消された。ソ連の歴史で少なくとも二度、政府が歴史を「書き直す」のに忙しかったために全歴史の卒業試験が中止された。

残念なことに共産主義者による自由な意見交換の撲滅キャンペーンは、単なる過去の所産ではない。現在に至るまであまりにも多くの場所で続いている。

キューバのラウル・カストロ政権ではすべてのメディアが国有であり国の支配下にある。そしてキューバ人の多くは投獄の危険を冒してまで衛星アンテナを立ててディレクTVの信号をキャッチしようとしている。
ベトナムでは国の安全保障当局が定期的にブロガーを逮捕しており、最近では有名ブロガーが子育ての情報、人権、そして環境問題について記事を書いたところ10年の懲役判決を受けた。

ラオスの共産主義政権は2015年に、インターネット上で「虚偽の情報」を流布することを犯罪と見なしソーシャルメディアでの匿名性を禁止する法律を可決させた。

北朝鮮では政権が国内に入ってくる情報を非常に全体主義的な形で管理しているため、人権団体は西側のテレビ番組のデータを入れたUSBメモリを風船に着けて非武装地帯から飛ばすという手段を取った。

ロシアのプーチン政権でさえソビエト時代の政治的な検閲の遺産を都合よく復活させている。昨年ロシアの最高裁判所は独ソ不可侵条約(ソ連スターリン政権とナチスドイツの間の条約でポーランド分断と第二次世界大戦を引き起こした)に関する記事を再投稿したブロガーの有罪判決を支持した。

おそらく現代で最も危険な検閲国家の例は中華人民共和国だ。しばしば「改革された」「力を増している」と称賛されているが中国が共産主義の一党独裁政権であることは明白な事実だ。

中国共産党は国内外で政権に関する否定的な情報を隠蔽することで強固な政権基盤を保全するつもりだ。

「金盾計画」は全国的な情報管理システムであり中国国内のほとんどすべての通信を監視している。北京は200万人を雇って対象とするデジタル的な思想と会話を監視させているという話もある。それは人民解放軍とほぼ同じ規模だ。最近中国はウィーチャット(WeChat)やワッツアップ(WhatsApp)のようなメッセージング・プラットフォーム上で、リアルタイムにイメージの送信を検閲する能力をデモンストレーションして見せた。

正反対の希望とは裏腹に、21世紀の技術は検閲の迂回に役立つどころかジョージ・オーウェルも想像できないような方法でそれを可能にしているのだ。

米国人にとってこれは海外での抽象的な問題ではない。中国のいわゆる「ソフトパワー」と、情報を管理することを過度に必要とするという話は米国にも浸透してきている。米国の企業、メディア、団体、映画スタジオ、教育機関は中国の現金が手に入らなくなることを避けるためにますます中国に対する批判を自己検閲している。

最近ケンブリッジ大学出版は中国の読者が共産主義政府に批判的な学術著作にアクセスできないようにすることによって自己検閲すると発表した。それは論争の嵐に直面してからようやく撤回された。

孔子学院は北京が直接支援する学術センターであるが、世界中の大学に突如として現れ中国の政治や歴史を精力的に自分たちの共産党の支配者に都合の良いような形に作り上げている。

アメリカ人の多くが共産主義について考えるとき、何か時代遅れでレトロな白黒映画で撮ったようなものを思い浮かべる。共産主義が過去の遺物であり、即座の電子的なコミュニケーションの時代に生き残ることはできないだろうというのは疑う余地のないことのように思えるかもしれない。しかし、今日の技術は、断固として大衆の意見を操り支配することを望む敵に対して彼ら自身の国でも我が国でも新しく強力なツールを提供しているのだ。

(海外ニュース翻訳情報局 竹林浩)

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