【オピニオン】トランプのアジア歴訪:より重要なのはその後のこと

米国・日本戦略研究フォーラムのグラント・ニューシャム上級研究員が、11月のトランプ大統領のアジア歴訪を控え、米大統領に対し、これから起こりえること、やるべきことなどを提言しています。特に、中国のアジアでの支配力をいかに失速させるかということに関しては、斬新ともとれる見解を提案しています。 今後、米国とアジアの関係はどうなっていくのでしょうか。
こちらの記事は、アジアタイムスの記事から紹介です。

Post 207/11/01  22:58

Asia Times     OCTOBER 29, 2017

ドナルド・トランプ米国大統領がアジアへと向かうにあたり、米国の外交政策に携わる人々はかたずをのんでいる。大統領は結局「取引的」な人物であり、米国の支援の見返りに同盟国に何かを要求するかもしれない。この両面の意味を持つ失礼な言葉の裏側にはトランプが米国の根本原理を売り渡すかもしれないという意味がある。

心配の必要はない。この外遊で最も難しいのはフィリピンの伝統民族衣装を着る必要がある場合に作り笑いを浮かべることだろう。

トランプは数回演説を行い、そうでなければ米国が地域に果たす責任と「ルールに基づく秩序」といったことについて正しいことを話すだろう。しかし、聴衆はその後こう思うだろう。「すぐに証明してくれ」と。とりわけアジアと東南アジアのほとんどの国は米国の前政権のしでかしたことのせいで苦境に陥っている。

中国はたくさんのお金をばらまいて軍隊を増強し、第19回党大会で戦いに打って出た。中国の忍耐には限りがあるし、近隣諸国にとっては中国を食い止めることがますます難しくなっている。

ASEANと人民解放軍はまもなく初めての合同軍事演習を行う予定だ。米軍はもはや掛け替えのない存在ではない。

トランプがアジアで行うことと同じくらい重要なことは帰国してから行うことだ。つまり、同盟国と友好国が米国を中国の支配に代わるものとしてみなすだけの具体的な理由を示すということだ。

中国の支配を失速させるアイディア

他の大統領がアジアで行った演説は良いものだった。それにアジアの米軍とビジネス界の人々は活動的だ。しかし、トランプが相変わらずのことをすると提案するなら不利な方向に行く。中華人民共和国は事実上南シナ海を支配しており、東シナ海で同じことをいつ行ってもおかしくない。(米国ではなく)中国は周辺諸国にとってますます欠くことのできない経済パートナーと見なされつつある。

トランプは多くの助言を受けているのだからいくらか足しても困らないだろう。一度ホワイトハウスに戻ってウィルバー・ロスと政権の経済政策チームを呼び出し、その地域の米国の友好国に難癖をつけるのをやめるように言うと良い。それは容易に解決できる問題であり些細なことだが、もっと防衛的なことに取り組もうと考えている国をうんざりさせることになるからだ。

問題は中国だ。手始めに過去数十年以上の知的財産の窃盗に対する罰として相殺する罰金(何とでも呼んでいいが)として1,000憶ドルを期待してはどうか。米国企業が愚かにも自発的に放棄していたものに思い悩んではいけない。それを中国のせいにすることはできない。

環太平洋パートナーシップ(TPP)を無視してはいけない。悪い条件だったかもしれないが撤退すれば(経済的というだけでなく政治的にも)空白が残り、中国がそれを埋めてくる。もっと良いものを提案して地域に知らせるのだ。

次に(いまだに経済屋が占めている)国務省を呼び出し、台湾の自由で民主的な人たちを支援することが、攻撃的な独裁政権をなだめてウォールマートで安いものを買えるようにすることより重要だと考えているのかと尋ねるのだ。そうでないというなら米国の根本原理を重んじ、あまり「取引的」でない役人を探せば良い。

また、国務省にエジプトのクーデターがタイのクーデターより悪いとされる理由と、米国の長年の重要な同盟国に屈辱を与えることを正当化した理由を説明させれば良い。回答には詭弁が必要になるだろう。国務省には詭弁家が少なくて済む。

現在の状況にかかわらず、台湾関係法を読んでそれに従って行動することを決心するのだ。台湾とその当局者をまるで南米の麻薬王のように扱うのをやめよう。米国にいる台湾軍人が制服を着るのを許可し、国務省が自ら課した米軍現役将校の台湾入国禁止令はやめる。米国海軍を港に送って来年のリムパック(環太平洋合同演習)に台湾を招待しよう。

リムパックのことを話題にするならマティス国防長官と軍服を着た文民の軍事顧問を連れて来ていくつか質問をすることだ。

なぜ中国がリムパックに招待されるべきなのか?そしてこれまでの2回の招待で中国の態度は改善されたのか?少なくとも中国の「レポゼッション・メン=(人工臓器)回収人」が中国製のミサイル輸送車を北朝鮮から回収するまで招待を保留すべきだ。なぜならそのためにロサンゼルスに向けて発射準備されるICMBを検知することがほとんど不可能になるからだ。

それから海軍次官が最近話していたようだが、なぜ355隻海軍の建設に30年以上もかかるのかと質問すべきだ。もっと早くできると考える人間を見つけたら良い。それが実現できるように。

米国海軍の幹部に沿海域戦闘艦について尋ねてはどうか。米国に戻して解体し、もっと有用な船を代わりに建造するというのが正解だ。

米国海兵隊にも説明すべきことがある。アジアのどの軍が現実世界での、突然の水陸両用作戦を米軍と共同または単独でできるのか尋ねてはどうか。50年演習をやってきたのだから少なくとも一つはあるはずだ。咳払いが鎮まったら海兵隊の将官に言って優秀な大佐、少佐をその事態に当たらせることだ。それで対処できるだろう。

そろそろ全員が目立たないように努めている頃だ。中国共産党第19回全国代表大会が、民主主義は失敗した西洋の概念だと強く訴えていたことを指摘しても良いのではないか。国務省と国防省には「戦略的コミュニケーション」のスタッフがいる。彼らがやっていることが実際何なのか聞いてみてはどうか?

最後に、任命権を使ってアジア太平洋のポストをすべて埋めて欲しい。そしてそこにはこれまで30年のアジア政策が見事な成功であったとは考えていない人物を充てて。あなたは「沼地の水を抜いて」蒸発させることを当てにしているようだ。それは永遠に終わらないだろう。

こういったことをいくつかやれば、歴訪中に話したことを米国のアジアの友好国に信じてもらう理由を示すことになるだろう。

(海外ニュース翻訳情報局 竹林浩)

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