【米国:オピニオン】5つの無罪評決で米国が分裂するときに考えること

こちらの記事では、カリフォルニア大学バークレー校のダン・シュナー教授のオピニオンをご紹介します。
この件ではどの記事をご紹介しようか考えたのですが、この件は、どちらの方から見るかによって大きく印象がかわります。
どちらが正解か?ということを簡単には語れないと思いました。
それで今回は、「この件で何を学ぶか?」という視点で、こちらのオピニオンがよいのではないか?と思います。
米国の良いところは、こういう公平に見る努力をする人たちをちゃんと評価することです。
私の発信もこういう視点でこれからも発信していきたいと考えています。
素晴らしいオピニオンですので、ぜひご覧ください。


《引用記事 All Sides 2021/11/21》

カイル・リッテンハウスが分断を大きくするとき

カイル・リッテンハウスをヒールと考える人もいれば、ヒーローと考える人もいるだろう。復讐心に燃えた自警団と思うかもしれないし、包囲された地域を守ろうとする勇敢な市民と思うかもしれない。だが私には、想定外の大きなきな危険に巻き込まれ、致命的で悲劇的な結末を迎えた、怯えて混乱した10代の若者の姿が見える。

リッテンハウスへの嫌疑が晴れたわけではないことはよく知られている。むしろ、無罪の評決は、彼の暴力行為が、死や大きな身体的危害の脅威に直面していると考えて殺傷力のある武器を使用する人々の多くを保護するという非常に厳密な法的基準を超えていなかったことを意味している。。陪審員は、道徳的な判断ではなく、法的な判断を下したのだ。

この論争のどちら側にも、評決に対する当初の意見が変わる可能性は極めて低い。しかし、この裁判は、私たちの国がいかに二極化し、深く分裂した国家になったかを改めて思い起こさせるものだ。このような悲劇が、学びと成長と癒しのチャンスとなるかどうかの議論が行われていないということは、哲学的な隔たりがどれだけ大きくなったかを示している。その議論は、わが国の党派的、イデオロギー的な違いにもかかわらず、私たちを結びつけている人類の共通の絆がまだあることを認識するためのものであるのに。このような会話が行われない理由は、私たちのほとんどが、会話がいかに無益であるかを知っているからだ。まさに、その考えが私たちの心に浮かんだとしても。

しかし、評決で自分と意見が合わない人が、愚かでも悪人でもないという可能性をほんの少しでも想像してみて欲しい。反対側の極端な怒りに満ちた卑劣な憎しみがある一方、そこにいるほとんどの人々は、あなたや私と同じように、安全で信頼できるコミュニティに住みたいと願う、善良でまっとうな人々である、という考えを、少しだけでも考えてみてもよいのではないかと思う。そして、彼らは私たちと同じように無意味な暴力を軽蔑しているが、ウィスコンシン州の銃所持と自衛に関する法律の複雑さについて、単に異なる結論を出しているだけなのである。

確かに、私たちは現在、その世界とは大きく異なり、寛容でない世界に住んでいる。そして、そのような会話が生産的どころか無意味にならないようにするには、どれだけ長くて複雑な道のりを歩まなければならないかを想像するのは難しい。しかし、自分と意見の異なる人たちに対し、攻撃的で侮辱的な言葉を浴びせることが終われば、少なくとも、その分裂を縮めるために何ができるかを考える価値はあるかもしれない。完全になくすことはできないかもしれないが、試してみようという気になったときに、少なくともその分裂を少しでも越えやすくすることができるかもしれない。

この国の政治指導者たちの初期の反応は、あまり良いものではなかった。大統領は多少、融和的な声明をだしたが、特にそれを強調したものではなかった。
副大統領は憤慨し、かろうじて彼女の怒りを隠そうとした。議会議員の多くは、予想通りの見解を述べ、各党の支持者の既成概念を強化し、壁をさらに高くした。そして、前大統領は熱烈な拍手で火を焚きつけたので、この事件によって引き起こされたカルチャー戦争が今後も激昂することはほぼ確実だ。

私たちの多くは、これ以上ワシントンに和解のための真剣な努力を期待できないことをよく知っている。そこで問題となるのは、ベルトウェイの外から橋渡しのための有意義な努力がなされる可能性があるかどうかである。バイデンやトランプ、ペロシやマッカーシーが話を始めるのを待つのではなく、彼らがいなくても何らかの働きかけをする方法があるかもしれまない。

しかし、そのためには、私たちはイデオロギー的なコンフォートゾーンを超えて、リスクを冒して意見の異なる人々と話す必要がある。それは、自分がいかに正しいかを証明してくれる人に安全を求めるという人間の本性に真っ向から反することである。しかし、それは努力する価値のあることかもしれない。
-もう一人のティーンエイジャーが再び殺人を犯す前に。

筆者について
ダン・シュナー氏はカリフォルニア大学バークレー校、ペパーダイン大学、および南カリフォルニア大学の教授で、政治、コミュニケーション、およびリーダーシップのコースで教鞭をとっています。ダン氏は無党派層を支持する有権者であるが、これまでに四度の大統領選挙と三度の州知事選挙に関わり、2000年のジョン・マケイン米上院議員の大統領選では広報担当の全米ディレクター、カリフォルニア州知事のピート・ウィルソン氏ではメディア広報担当のチーフを務めた。中道派

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子 文・翻訳)

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