【米国:メディア比較】FBI、バイデン大統領令により9.11事件に関する初の機密解除文書を公開

FBIは、9.11同時多発テロに関連する初の機密解除文書を公開しました。

土曜日の夜に公開された16ページの報告書の大部分は編集されたままですが、米国に到着した最初の飛行機のハイジャック犯に「重要な後方支援」を提供した可能性のある、ロサンゼルスのサウジアラビア領事館員とサウジアラビア情報機関員の容疑者に関するFBIの捜査結果の内容を明らかにしました。

FBIの文書には複数の会話や電話の内容が記載されていますが、委員会はこのサウジ人男性とハイジャック犯を確実に結びつけることはできませんでした。

サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハン外相は日曜日、自国が10年以上にわたってこれらの文書の公開を主張してきたことを再確認し、「(サウジの)関与がなかったことを完全に証明するだろう」と主張しました。

同時多発テロの数千人の遺族や生存者を支援する団体「9.11 Families United」は、この文書によって「同時多発テロへのサウジアラビアの加担に関する疑念を払拭することができる」との声明を発表しました。

同団体がホワイトハウスに文書の機密解除を執拗に要求した結果、バイデンは司法省に一部のファイルを公開するよう命じる大統領令に署名しました。

このニュースのメディアバイアスについては、殆どのメディアが、「この報告書には、サウジアラビア政府の高官が9.11テロに関与していたことを証明する十分な証拠が含まれていない」ことを強調しています。
報道は全般的に、この論調で一貫しているようです。

また、サウジアラビアの皇太子であるムハンマド・ビン・サルマン氏がジャーナリストのジャマル・カショギ氏の殺害を直接承認したことが米国の情報機関の報告書で明らかになっていて、このことについて、右派系メディアは、バイデン政権が「何の処罰も求めなかった」ことを強調し報じています。

この記事では左派メディアのSLATEからご紹介します。


《引用記事 SLATE 2021/09/12》 極めて左

FBIが機密解除された9.11文書を公開、サウジ政府の共犯を証明できず

2001年9月11日の同時多発テロ事件から20周年を迎えたFBIは、サウジアラビアのハイジャック犯2人を支援した調査に関する機密解除された文書を新たに公開した。

16ページに及ぶこの文書には、ハイジャック犯がテロの前に多くのサウジアラビア人関係者と接触していたことが詳細に記されているが、サウジアラビア政府の高官が共謀していたという決定的な証拠は示されていない

土曜日の深夜に公開されたこの文書は、ジョー・バイデン大統領が同時多発テロに関する文書の機密解除を求める大統領令を出して以来、FBIが初めて公開した記録である。

同時多発テロの犠牲者の家族は、サウジアラビアの政府関係者がテロに関与したことを示すといわれる文書の機密解除をしないのであれば、土曜日に行われる追悼行事を中止するようバイデン大統領に要求していた。

バイデン氏は、司法省や他の連邦政府機関に対し、今後6ヶ月間で同時多発テロに関する機密解除された文書を公開するよう求めている。

この文書は、2015年11月に、米国市民権を申請していた身元不明のサウジアラビア人男性に対して行われたインタビューに関するものである。

この男性は、テロの前に入国した際、ハイジャック犯を支援した在米サウジアラビア人とたくさん接触していた。

「しかし、土曜日に発表された文書には、サウジアラビア政府の役割に関する新しい決定的な証拠はなかった」とニューヨーク・タイムズ紙は詳細を述べている。

しかし、被害者の家族はそうは考えていないようだ。

9/11 Families Unitedは、声明の中で、この文書は「同時多発テロに対するサウジアラビアの共犯関係についての疑念を払拭するものである」と述べている。

9月11日に夫のトムを亡くしたテリー・ストラーダ氏は、この文書によってサウジアラビアの秘密が「暴露」されたとし、「アメリカ国内で何千人もの人々を殺害したことについて、サウジアラビア政府がその役割を認める時が来た」と述べている。

犠牲者の親族の弁護士であるジム・クラインドラー氏は、「今回のFBIの調査結果と結論は、9.11同時多発テロに対するサウジアラビア政府の責任について、我々が訴訟で主張してきたことを立証するものである 」と述べた。

サウジアラビアの政府関係者がテロに関与したのではないかという疑惑が、長い間あった。

この疑惑は、9月11日の同時多発テロに関する2002年の議会調査のうち、サウジアラビアとのつながりを取り上げた28ページの機密解除を繰り返し拒否したことが大きな要因となっている。

この文書は2016年に公開され、疑わしい会合や資金調達のヒントが詳細に記されている一方で、アルカイダを標的とした米国の作戦に対して、サウジアラビアがどのように反発しようとしたかが暴露されている。

サウジアラビアは、同時多発テロへの関与を長い間否定しており、バイデン大統領の機密解除の動きを、「サウジアラビア王国に対する根拠のない疑惑をきっぱりと終わらせる 」ための手段として公式に歓迎した

19人のハイジャック犯のうち15人がサウジアラビア出身である。

2004年に発表された9.11委員会の最終報告書では、「組織としてのサウジアラビア政府やサウジアラビア高官が個別に資金提供したという証拠はない」とされている。

しかし、この慎重な声明は、サウジアラビアの下層部が関与していた可能性を残している。さらに委員会は、FBIにこの問題の調査を続けるように促した。

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子 翻訳・文)

この記事が気に入ったらシェアをお願いします。