アフガニスタンに関するハイレベル協議のために米露情報機関トップがインド入り

先月、タリバンがアフガニスタンを占拠したことを受けて、ロシアと米国がこの地域で必死に活動していることが明らかになりました。

インド外務省は火曜日、ロシア連邦安全保障理事会書記のニコライ・パトルシェフ将軍(写真右)が、9月7日から8日にかけて「アフガニスタンに関するハイレベル協議のため」にデリーに滞在すると発表

発表によると、パトルシェフ長官(ロシアの最高安全保障責任者)は、インドのアジット・K・ドヴァル国家安全保障顧問の招待を受けてインドを訪問。
ドヴァル氏以外にも、インドのナレンドラ・モディ首相やS・ジャイシャンカ外務大臣とも会談する予定でした。

7日の深夜、チェンナイの英字新聞「ザ・ヒンドゥー」は、「アメリカの諜報・安全保障関係者の代表団」が火曜日にデリーを訪れ、現地の関係者と「協議を行った」と報道。

同紙によると、アメリカの代表団は中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官が率いており、同長官はこの地域を視察中で、近日中にイスラマバードも訪問する予定であるという。バーンズ氏はドバル氏と「アフガニスタンの避難活動とタリバンの政府形成から生じる問題」についてじっくり話したとも伝えています。

なお、インド外務省と在デリー米国大使館は、CIA長官の訪日に関するニュースの肯定も否定もしていません。
こちらについて、インドの英字新聞、ザ・ヒンドゥーの記事をご紹介します。

(H/T ANI)


The Hindu 2021/09/08》

報道によれば、米国とロシアの情報機関のトップが、今週の同じ日にインドを訪れ、インド政府関係者とアフガニスタン情勢について協議した。

アフガニスタンの情勢をめぐって、インドはモスクワとワシントンの両国と「緊密に連絡を取り合っている」と公式筋が語った。今週、2つのハイレベルな情報機関の代表団がデリーを訪れている。

ヒンドゥー紙の情報によると、中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官率いるアメリカの情報・安全保障関係者の代表団が、インドとパキスタンを含む地域を訪問しており、火曜日にはインドののアジット・ドヴァル国家安全保障顧問(NSA)と協議を行い、アフガニスタンの避難活動やタリバンの政府形成から生じる多くの問題について話し合った。

水曜日には、ロシアのニコライ・パトルシェフ安全保障理事会事務局長が、ナレンドラ・モディ首相、ドハールNSA、S.ジャイシャンカル外務大臣と会談するとMEA(インド外務省)は発表した。

MEAと米国大使館はともに、The Hinduからの回答を求められた際、同氏の訪問について肯定も否定もしなかった。

アフガニスタンでタリバンが、モハマド・ハサン・アクンド氏をリーダーとする臨時政府を発足させ、アブドゥル・ガニ・バラダー氏を副首相に任命したことを受けて、米国およびロシアの政府関係者と南ブロックで個別に会談を行った。また、ロシアと米国がそれぞれ主導権を握る上海協力機構(SCO)と、日本、アメリカ、オーストラリア、インドが安全保障や経済で協力するクアッド(Quad)の首脳会議にモディ首相が出席し、アフガニスタンの今後の方向性が注目されることも重要な意味を持つ。

モディ首相は、9月16日に開催されるSCO会議にはビデオ会議で出席するが、9月24日に開催される四者会合には直接渡米して出席することが予定されている。また、木曜日には、ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席を含むBRICS諸国のバーチャルサミットを開催し、ドヴァル国家安全保障顧問(NSA)が安全保障問題についてプレゼンテーションを行う予定。

2008年から安全保障理事会事務局長を務め、以前はロシアの情報機関(FSB)を率いていたロシアの最高位の安全保障当局者であるパトルシェフ将軍の訪問は、8月24日にモディ首相とプーチン大統領が電話会談を行い、タリバンがカブールの支配を主張した数日後のアフガニスタンの情勢について話し合ったことを受けたものである。

「両首脳は、2つの戦略的パートナーが協力することが重要であるとの見解を示し、アフガニスタンに関して連絡を取り合うように両高官に指示した」とMEAの声明は述べている。外交筋によると、パトルシェフ将軍の会談は、インドとロシアに、アフガニスタンの状況変化について「見解を交換する」機会を与えるという。


分断の中で

今回の訪問は、中国とパキスタンを含む「トロイカ・プラス」メカニズムで2年以上にわたって調整が行われてきたにもかかわらず、アフガニスタンに対する米露の立場の違いが大きくなってきている中で行われたことも重要である。先週、ロシアは、米国を中心とする西側諸国が、インドが主宰した国連安全保障理事会決議2593を急いで通過させ、ロシアと中国が中央アジアの安全保障に対する脅威としている「イスラム国」(イラク・シリアを拠点とするIS)と「東トルキスタン・イスラム運動」(ETIM)に対する懸念、人道的危機を引き起こすとするアフガン埋蔵金の凍結、アフガンの有資格者の大規模な避難活動を批判し、国内の「頭脳流出」を招くとしていることを非難した。

また、ロシアはカブールに大使館を置いている6カ国のうちの1つであり、米国や同盟国が大使館をドーハに移しているのに対し、タリバン政権との正式な関係構築に前向きであることを示している。


インドの動向

情報筋によると、バーンズ氏は避難者の一部をインドに連れて行く可能性を検討したが、ニューデリーがこの提案を受け入れるかどうかは不明である。

インドはこれまでのところ、退避行動において保守的であり、特別軍事便に乗っていたアフガニスタン人112人を含む計565人を退避させたが、これまでに申請したアフガニスタン人数千人に対して特別 「eビザ」 は数十件しか発給されていない。

バーンズ氏は元外交官で、核取引の交渉役としてインドを訪問したこともあり、ここ数カ月の間にニューデリーを訪問した米軍・安全保障関係者の一人である。ワシントン・ポスト紙の報道によると、同氏は8月23日にカブールを訪問し、タリバンの副リーダーであるアブドゥル・ガニ・バラダー氏と会談したとのことですが、これは否定されていない。

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子 文・翻訳)

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