【中国】ファーウェイ創業者、米国の制裁措置に対抗してソフトウェア事業にシフトを促す

By Mariko Kabashima 2021/05/25

ファーウェイ社は、トランプ政権時の米国の制裁で苦しい状況に追い込まれています。
同社は生き残りを掛けて、2019年の時点で会長の任氏が全財産を6Gの開発につぎ込むと話していましたが、現時点でハードウェア事業での世界展開の困難さを感じているのでしょう。
今後は「米国の支配外でのより大きな独立と自主性を持つ」ソフトウェア事業に力を入れるとしています。

米国からの制裁後の同社の今後の展開の仕方は、日本企業がかつて米国から制裁を受けた後どういう形で展開し、今の日本になったかという点と比較してみるのもいいかもしれません。

こちらは、シンガポールのザ・ストレーツ・タイムズからご紹介します。


《引用記事 ザ・ストレーツ・タイムズ 2021/05/25》

ファーウェイ創業者、米国の制裁措置に対抗してソフトウェアにシフトを促す

中国の巨大IT企業ファーウェイ・テクノロジーの創設者である任正非氏は、同社が米国の制裁によって機能不全に陥ったハードウェア事業以外の成長を模索する中、ソフトウェア事業で「世界をリードする勇気を持つ」よう同社のスタッフに呼び掛けた。

ロイターが入手した内部メモは、同社の中核である携帯電話事業に対する厳しい制裁に対応する同社の方針を示す、これまでで最も明確な証拠だ。

任氏はメモの中で、この分野の将来の開発は基本的に「米国の支配外で、我々はより大きな独立と自主性を持つだろう」と述べ、同社はソフトウェアに焦点を当てていると述べた。

ファーウェイが短期的に先進的なハードウェアを製造するのは難しいため、 「HarmonyOS」 やクラウドAIシステム 「Mindspore」 などのIT製品など、ソフトウェアエコシステムの構築に注力すべきだとしている。

ドナルド・トランプ元米大統領は2019年、ファーウェイを輸出規制リストに追加し、同社が米国発の重要な技術にアクセスすることを禁じた。

米国のジョー・バイデン政権は、トランプ氏の制裁を覆す兆候を見せていない。

また、ファーウェイの新しい携帯電話モデルに対する技術サポートの提供や、大半のAndroidアプリの基盤となっている開発者向けサービスのバンドルである 「Google Mobile Services」 へのアクセスも禁止されていた。

ファーウェイの2020年の年次報告書には、8914億元 (1844億シンガポールドル) の売り上げのうち、どれだけがソフトウェアによるものかは記されていない。


オープンソースアプローチ

任氏のメモには、ソフトウェアの推進は適切なビジネスモデルを見つけることにかかっており、同社はオープンソースのアプローチを採用すべきだとも書かれており、オープンソースコミュニティを通じて「栄養素を吸収する」ようスタッフに求めている。

同氏によると、同社のビジネスコミュニケーションプラットフォーム 「Welink」 は従来のソフトウェアライセンスに依存しており、クラウドコンピューティングには適しておらず、大手IT企業のアリババの競合製品に劣っていたという。

任氏のメモは、米国での仕事の難しさを考慮して、同社は国内での地位を強化し、米国を排除する可能性を視野に入れて領域を拡大すべきだという。

「ヨーロッパ、アジア太平洋、アフリカをひとたび支配し、アメリカの基準が私たちの基準に合わず、アメリカに入国できなければ、アメリカは私たちの領域に入ることができません。」と述べた。

任氏のメモは、同社のこれまでの発表が示唆していた方向性を裏付けるもので、携帯電話ハードウェアからの移行を示唆している

4月にローティング会長を務めるエリック・シュー(Eric Xu)氏は、同社は今年10億米ドル (13億3000万シンガポールドル) 以上をインテリジェント・ドライビング事業に投資すると語った。

情報筋がロイターに語ったところによると、同社はまた、重慶長安汽車とのスマートカーに関する提携を拡大し、自動車用半導体の設計と開発も行うという。

制裁によるプレッシャーは別として、ファーウェイは過酷な労働文化で知られており、このメモではソフトウェアチームに対し、心理学の専門家を雇用して、同社が精神的に困難だと感じる可能性のある若い新入社員を支援するよう推奨している。

「若い人の中にはIQの高いが、EQは低いかもしれない。彼らの精神状態が成熟しておらず病気になりやすいのです」と任氏は述べた。

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子 翻訳・文)

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