【米国】バイデン大統領、反アジア人対するヘイトクライム対策を発表

By Mariko Kabashima 2021/03/31

これはアジア人の一員である日本人にとっても他人事ではありません。
日本人としては、米国在住の日本人を含むアジア人がいかにヘイトクライムの被害に合わないように私たちは協力できるかを考えるべきだと思います。

世界中の新型コロナ蔓延し、不安が沸き起こる中、当時米大統領だったトランプ氏が十分に対策を講じることなく「チャイナウイルス」と煽ったことから、もともとあった人種差別の火に油を注いでしまいました。
日本国内で反中感情を持っている人にとっては、トランプ前大統領のこの煽りは共感できることなのかもしれませんが、安易にこれに同調することは同胞である在米日本人への恐ろしいヘイトクライムをやっていることと同じではないでしょうか。

先日は、メジャーリーグで活躍していた田中将大選手が子供が学校でコロナ絡みにの差別を受け怖い思いをしたと帰国を決意したという報道もありました。

在米アジア人にとっては厳しい試練の時かもしれませんね。
しかし、考えようによっては、今まであまり表で積極的に論じられることがなかったアジア人へのヘイトの根本的な問題について米国の人達が考え、よりよく変化していくチャンスかもしれないとも思いました。

在米アジア人のご無事をお祈りします。

こちらの記事は、ニューヨークタイムズからご紹介します。


《引用記事 ニューヨークタイムズ 2021/03/30》

バイデン大統領、反アジア人への攻撃対策を発表

ニューヨークで女性への暴行事件発生後、バイデン大統領は 「アジア系アメリカ人に対する暴力の増加に直面して、私たちは沈黙できません」 と述べた。

【ワシントン発】 バイデン米大統領は火曜日、アジア系アメリカ人に対する人種差別の高まり対し、ヘイトクライムデータへの利用の向上、地元警察の新たな訓練の必要性、そして言葉の壁に直面しているDVや性的暴行の被害者を支援するための5000万ドル近い補助金の創設に取り組む計画を明らかにした。

司法省はまた、ヘイトクライムを犯した者の起訴を優先するなど、米国内のアジア系の人々に対する暴力行為をより適切に取り締まる方法を来月検討する予定である。

ニューヨークで65歳のフィリピン人女性を踏みつけながら反アジア的な発言をする男の姿が監視カメラに収められた翌日、連邦政府がレイシストの暴力に対抗するための措置を講じた。また、バイデン大統領は今月アトランタにも行き、銃を持った男が8名を殺害した銃乱射事件の犠牲者への哀悼の意を表した。このうち6名はアジア系の女性だった。

大統領は火曜日にツイッターに次のように投稿した

「アジア系米国人に対する暴力が増加している中で、私たちは沈黙することはできません」
 「これらの攻撃は間違っており、非アメリカ的であり、止めなければならない」

アジア系アメリカ人や太平洋諸島島民への暴力攻撃を含む人種差別行為の増加を止めることは、バイデン氏の大統領職の初期の課題のひとつだった。
就任して最初の週、彼はアジア系アメリカ人と太平洋諸島系アメリカ人に対する外国人排斥を非難し、レイシスト的行為と戦う方法を展開させるよう保健社会福祉省と司法省に指示した。ホワイトハウスが火曜日に発表した詳細は、この問題に対処する計画を実行するための次のステップだった。

バイデン政権は声明の中で、これまで地域社会に経済的な機会を提供するために活動してきたアジア系米国人と太平洋諸島系米国人を対象としたホワイトハウスのイニシアチブを拡大し、同グループが反アジアへの暴力にも対策を行うことを義務づけると述べた。アジア系、ハワイ系、太平洋諸島系の人々に影響を与える政府全体の政策を見直すために、バイデン大統領はホワイトハウス当局者も任命する予定だ。

バイデン大統領の景気刺激策の一環として、保健社会福祉省は、言葉の壁があるため助けを得るのに苦労しているDV]や性的暴行の生存者のための補助金も創設した。

「このプログラムは、アジア系アメリカ人、ハワイ先住民、太平洋諸島系アメリカ人コミュニテのDVの被害者へのサービスを拡大するものです。」とホワイトハウスの声明文を出した。

司法省は、アジア系アメリカ人と太平洋諸島系アメリカ人への攻撃に焦点を当てたヘイトクライムについての新しいページを公開し、FBIは間もなくヘイトクライムの報告を奨励するために公民権研修イベントを開催する。言葉の壁や在留資格の問題への懸念から、被害者の中には過去に犯罪の報告をためらう人もいた。

メリック・ガーランド司法長官は火曜日司法省職員に対し、「報告されているヘイトクライムの増加に伴い『捜査と訴追への新たなエネルギーと重点、地域社会への働きかけの強化、ヘイトクライムの性質と範囲の変化を理解するために不可欠なデータ収集の改善』を必要としている」と語った。

司法省は30日間の再調査の一環として、ヘイトクライムの基準に達しない差別行為に対処するために、検察官が民事罰をどのように用いるかについても検討する。ヘイトクライムの罪を法廷で証明するのは難しい場合があるからだ。

ニューヨーク州などの一部の州では、検察は被害者が人種を理由に標的にされたことを示す必要がある。専門家らは、ヌース(絞首刑につかわれる縄)や鉤十字のような反アジア的憎悪のシンボルが広く知られていないため、アジア人に対する攻撃の動機を立証することはさらに難しいと述べている。

「ヘイトクライムは根強くはびこり、社会に悪影響を与え続けている」 とガーランド長官はメモに記している。

多くの民主党員が、反アジア攻撃の急増にはドナルド・J・トランプ大統領に何らかの責任があると指摘している。トランプ氏は昨年のパンデミックを通し、コロナウイルスを「チャイナ・ウイルス」と呼び、特に反中感情を煽ったととしている。

バイデン政権の対応については、ハワイ州選出のマジー・K・ヒロノ上院議員をはじめとする議会議員からも賞賛の声が上がっている。ヒロノ上院議員は、先週、イリノイ州選出のタミー・ダックワース上院議員とともに、政権の最高レベルにアジア人の代表がいないと批判した

ヒロノ氏は、アジア系アメリカ人と太平洋諸島の人々について、「人種差別は、わが国では決して表面的なものではなく、パンデミックの間、AAPI(Asian American or Pacific Islander)コミュニティは、エスカレートする攻撃や標的となる暴力を経験したことからも、それは明らかです。私たちは、このような憎しみの連鎖を許してきたシステムに立ち向かわなければなりません。今日の大統領の明確なリーダーシップの表明は、重要な前進です」と述べている。

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