【ウイグル問題】中国、ネットハッキングやフィッシング攻撃で亡命ウイグル人を標的に

By Mariko Kabashima 2021/03/26

こちらの記事は、ラジオ・フリー・アジアからの記事をご紹介します。
FBが、中国が亡命中のウイグル人を標的にしたハッキンググループに対抗すると発表しました。
その脅威について、ラジオ・フリー・アジアがワシントンD.C.に拠点を置くウイグル人権プロジェクトの研究とアドボカシーのプログラムコーディネーターであるムスタファ・アクス (Mustafa Aksu) 氏にインタビューしています。



《引用元 ラジオ・フリー・アジア 2021/03/25》

中国は亡命中のウイグル人を標的にして、彼らのオンライン・コミュニケーションを攻撃していると、複数の情報筋は述べている。Facebookは今週、この脅威に対抗するために行動を起こすと声明で発表した。

「Evil Eye」 と呼ばれる中国のハッカーグループは、Facebookユーザーを惹きつけるために熱心に活動しており、そのターゲットに特に興味のあるテーマや 「ニュース」 へのリンクを提供していると、IT専門家のスティーブン・アデア氏がRFA(ラジオ・フリー・アジア)のウイグルサービスのインタビューで語った。

アデア氏によると、これらのリンクは本物のウェブサイトに見えることが多いため、ハッカーは標的のデバイス、特に携帯電話にマルウェアをインストールできるという。

知らない人からのメッセージは、「『このニュースのリンクみてください』とか『このビデオを見てくだい』ということを示唆するかもしれない」とアデア氏は語る。
「このようなリンクをクリックすると、携帯電話が危険にさらされる可能性があります。」。

「マルウェアが携帯電話に侵入すると、攻撃者は中にあるモノを盗むことができます」とアデイア氏。
「ユーザーのFacebook、Facebook Messenger、WhatsApp、WeChat、Telegramなど、スマートフォン上のさまざまなアプリケーションを監視できるようになります」。

ハッカーはその後、ユーザーが「誰なのか、どこにいるか、パスワード、書いたこと、言ったこと」を特定することができる。

「ジャーナリストとその情報源は、特に標的となる危険性にさらされている」とアデア氏は言う。ただし、自分たちのコミュニケーションを守ろうとする人は注意を払うべきであり、綿密に調査した結果、正しく見えない要素が含まれているリンクを辿ってはならない。

「疑ってかかることは良いことです」 とアデイア氏。

Facebookは今週声明を発表し、ハッキンググループの活動を閉鎖させる措置を取ると発表した。「彼等が、インフラを利用して当社のプラットフォームを悪用したり、マルウェアを配布したり、ネット上の人々のアカウントをハッキングしたりする能力を破壊するためです」。

「[これらのグループは] 主にトルコ、カザフスタン、米国、シリア、オーストラリア、カナダやその他の国に住んでいる中国新疆ウイグル自治区のウイグル人を中心に、主に活動家、ジャーナリスト、反体制派を標的にしていました。」とFacebookは述べた。

Facebookでは、中国のネット上のスパイ活動は主に 「マルウェアそのものを直接共有するのではなく、悪意のあるウェブサイト」 へのリンクを送っていたと、Facebookのサイバースパイ活動調査の責任者であるマイク・デビィリャンスキー(Mike Dvilyanski)とセキュリティポリシーの責任者であるナサニエル・グライチャー(Nathaniel Gleicher)は声明で述べている。

「私たちはこの動きが、私たちや他の企業の活動を妨害する行動に対応して、さまざまな時点でスローダウンするのを見てきました。」


「今はさらに気をつけてください」

ワシントンD.C.に拠点を置くウイグル人権プロジェクトの研究とアドボカシーのプログラムコーディネーターであるムスタファ・アクス (Mustafa Aksu) 氏はRFAに対し、フェイスブックの警告から中国のハッキングについて知ったと語った。

「同僚だけでなく、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、トルコ、オーストラリアの友人も同じ警告を受けたと言っていました。これは最初のハッキングでもなければ、最後のハッキングでもない。このような攻撃は過去に何度も起きており」とアクス氏は述べた。

アスク氏によると、自身のFacebookアカウントや電子メールアカウントは以前にも標的にされており、ウイグルの活動家やジャーナリストを装った電子メールも受け取ったことがあるという。

「しかし今では、より注意深く、経験を積んでいます」 とアスク氏。


追跡され逮捕された

フィッシングやその他のハッキング攻撃は、新疆ウイグル自治区 (XUAR) の連絡先を追跡したり逮捕したりすることができる海外に住むウイグル人にとって、単なる迷惑以上のなにものでもない。ジャーナリストや人権活動家は特に危険にさらされている。

今月初め、RFAウイグルサービス編集者のエセット・スライマンは、兄弟2人と少なくともいとこ5人が新疆ウイグル自治区当局によって拘束されたことを確認した。これは、彼が人権侵害について報道するのを阻止するための脅迫キャンペーンと見られている。

新疆ウイグル自治区当局が大規模な法外拘禁キャンペーンを開始し、2017年初め以来、ウイグル族や他のイスラム系少数民族180万人が広大な収容所に拘禁されていることを受けて、RFAは数人の地元当局者とのインタビューから、兄弟といとこが行方不明になったことを知った。

スライマンの拘束された親族は、RFAウイグルサービススタッフの50人以上の親族と合流した。ウイグルサービススタッフは、中国政府の何らかの形で拘束されていることが確認されており、他にもキャンプにいたり、当局が 「宗教的過激派」 と見なす活動が「犯罪」とされ数百万人が投獄されている。

 RFAウイグルサービスのためにAlim Seytoffが報告し、翻訳しました。
リチャード・フィニーが英語で投稿しました。


ラジオ・フリー・アジアとは
ラジオ・フリー・アジアは、1950年代に反共プロパガンダ作戦の一環として中央情報局(CIA)の資金によって設立された、いわば歴史的に米国のプロパガンダ機関で、各国での親米世論形成、東側への政治宣伝、反共工作などを行っています。

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