【米国:エンタメ】レッド・ツェッペリン:「天国への階段」著作権をめぐる裁判で勝利

9日月曜日、米連邦控訴裁判所は、レッド・ツェッペリンの名曲「天国への階段
(Stairway To Heaven)」は盗作ではないとし、陪審員の評決を覆しました。

サンフランシスコの第9巡回控訴裁判所は、ギタリストのジミー・ペイジとリード・ボーカルのロバート・プラントに大勝利をもたらし、告訴したスピリットのランディ・ウルフの音楽的財産に打撃を与えました。

遺産管財人は、1971年に大ヒットした「天国への階段」が、1968年に発表された「トーラス(Taurus)」の著作権を侵害したと主張していました。

では、気になる2つの曲を聴き比べてみましょう。


まず、訴えたスピリッツの「トーラス」 0:45ぐらいから

訴えられたレッド・ツェッペリン 「天国への階段」


これは、この部分はそっくりかも。では、現地の報道をみてみましょう。


<引用記事 AP 2020/03/09

11人の裁判官で構成される審査員団の大多数は、2016年の裁判で陪審は「トーラス」の録音された楽曲を聴いたはずであるという以前の判決を覆し、陪審員がペイジ氏とプラント氏を支持する以前に不十分な説明がなされた。

この訴訟では録音された楽曲ではなく、二つの楽曲の構成が争点となっており、原告側は、ペイジ氏の著作権侵害を証明するため、陪審員がこの2つの楽曲の再生を要求していた。

ウォルフ氏の遺産管財人の代理人であるフランシス・マロフィは、レッド・ツェッペリンが著作権法の細かい解釈を誤っていたことと、米国著作権局に提出された楽曲の楽譜版が唯一の関連資料で、特にペイジもウルフも楽譜を見てないと主張していたことから、レッド・ツェッペリンが勝訴したと述べた。

「ジミー・ペイジが楽譜は見たことがない曲をコピーしたということを法廷で証明しなければなりません」とマロフィー氏は述べ、控訴する予定だ。

同氏は、陪審員が単に論争中の二つの歌を聞くことができないのは「ばかげたこと」であり、もし曲を聴いてもらえれば、この訴訟はウォルフ氏の遺産管財人にとって簡単に勝訴できる裁判になるだろうと語った。

「正義が真理の探求であり、真理がわれわれの目から消えてしまうとき、それは苛立たしいことです。」とマロフィイ氏。

レッド・ツェッペリンの関係者はコメントを控えた。

月曜日の判決は、陪審がペイジ氏が曲にアクセスしたことを認めたが、そのことはこの問題とは無関係であり、録音を再生することは、作曲だけでなくそれ以上のことを考える陪審員に偏見を抱かせる可能性があると判断した。

ペイジ氏は証言の中で、 「“『Taurus』を含むアルバムのコピー”を所有していたことを率直に認めた。」と判決で述べている。陪審員団は、ペイジ氏とプラント氏は「天国への階段」が作られる前から『Taurus』にアクセスしていたと判断したという。

「陪審がその認定を下した後、陪審評決様式の残りの問題は、著作物の実質的な類似性に関するものであった。」

9月に行われた裁判の審理では、多くの裁判官がこの録音の再生に懐疑的で、原告が陪審に録音を聞かせるための裏口手段だったことを示唆した。

「勝つためには、録音した音声を再生する必要がありますよね?」とアンドリュー・D・ハーウィッツ裁判官はマロフィに質問したという。「そうしないとあなたは負けます。百発百中。」

第9巡回区控訴裁判所はまた、陪審への説示に関する独自の判例を覆し、いわゆる「逆比率規則*が、盗作者とされる人物がオリジナルの曲にアクセスしたことを証明できればできるほど、2つの作品が似ていると判断する基準は低くなると主張していた。

(訳注*)逆比率規則は、ある著作物へのアクセスが高度であることを一方の当事者が証明できるのであれば、侵害者を証明するために類似性が実質的である必要性は低くなるとしている。

第一審の判事はその規則について陪審に説示しなかった。月曜日の判決で、その必要性がないことがわかった。

問題になっているのは、ほぼ50年間ギターショップでアマチュアによって絶えず演奏されている「天国への階段」へのクラシックなアコースティックの導入部分と、同様の曲調のスピリットのインスツルメンタルのメインのリフである。

今回の判決は、著作権侵害で訴えられている音楽行為の裁判で勝訴する可能性があり、多くの著名な作詞家が訴訟で敗訴している時期にあたる。

陪審員団は2015年の裁判で、ロビン・シックの「Blurred Lines」がマービン・ゲイの「Got To Give It Up」をコピーしたと判決を下し、昨年の陪審員団はケイティ・ペリーのヒット曲「ダークホース」は、クリスチャンのラップソングをコピーしたと判決を下した。


皆さんの聴き比べた感想はどうですか?

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子)

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