【中国:新型コロナウイルス】統計外の人々:彼らは「一般肺炎」で亡くなったのか?

この記事は、 新型コロナウイルスが蔓延している中国の《財経》 の記者たちが10名余をインタビューし、入念に取材した有志によって、中国国内で発信された記事です。
現在は削除されていますが、アーカイブにのこされた原文記事をもとに翻訳しました。
この記事を当サイトであえて翻訳した意味は、決して恐怖を煽るためではありません。
むしろ、想定を超えるこのような事態に、人はどうなるかということを考えて欲しいということと、中国本土でも現場の医療関係者をはじめウイルスを抑えるべく戦っている姿もあるということをお伝えするためです。
日本でいつなんどきこういう事態に陥る可能性がないとはいえません。

ですから、この記事を嫌中の道具に使うことは断じてお断りいたします。
そのような目的で使用されることは、折角勇気をもって発信してくれた中国の記者の人たちの記事の価値を貶めることになり、今後当サイトでこのような記事の紹介ができなくなります。
この点を留意してくださいますようお願いいたします。

当サイト一同、世界中のこの病気で苦しんでいる人のために心よりお見舞い申しあげます。そして、日夜、患者のために戦っている多くの医療関係者にエールを贈りたいと思います。

全部で4ページあります。


房宮一柳等財経雑誌  2020/02/01>

《財経》は10名余りの患者の家庭をインタビューし、その多数は家族全員が感染していた。重体の高齢者や妊婦を抱えて病院を転々とし、家族は生死の岐路に立たされている。

2020年1月26日、劉梅一家は火葬伝票を受け取った。彼女の義理の母である73歳の老人は家で息をしていなかったが、病院に運ばれて死亡した。

劉梅は《財経》記者に対し、老人は1月21日に新型コロナウイルス肺炎と疑われる症状が出て、武漢市第四病院で検査した結果、肺に高度感染があると診断された。しかし、老人は数軒の病院を転々としながらも入院・治療を受けず、自宅で隔離され、危篤に至る。

老人が救急車に運ばれて以来、家族はこの老人に会っていない。彼らが最後に受け取ったのはただ1枚の火葬票で、老人の死亡原因はウイルス性肺炎であることを示した。しかし、家族によると、高齢者の死亡は、肺炎という確定診断の数字に含まれておらず、死亡するまで入院資格もない上、肺炎という診断も受けていないため、“一般肺炎”で死亡した不運者(不運にも死んだ人)に分類される。

老人は急逝し、体裁のいい後片付けもなく、家族の見送りもなく、今なお遺骨は葬儀場に残っている。

劉梅家が治療を受けられず亡くなった肉親は一人ではなかった。《財経》記者が多方面から調査した結果、現在、武漢の各大指定病院の発熱外来を受診した患者数は1月23日“封城”の時より多少減少し、指定病院もすでに第三次病院に入院しているが、ひとベッドの確保が困難な状況は完全に緩和されていないことが分かった。確定診断され、疑いのある数字が増加したと同時に、多くの疫病発生情況の統計数字以外の人の命は依然として危険にさらされている。

指定病院の課主任は《財経》と話した。この二日間、病院の外来では一日に約120人の発熱患者が診察を受け、そのうち約80人は肺感染症であったが、5人しか最終的に入院させられない可能性があるという。

「残りの75人の患者を家に帰すしかないのです。患者はどうしようもないし、私たちもどうしようもないのです。」とセンター長は《財経》記者に語った。

同主任によると、一般的に両肺CTはすりガラス状の病巣を示した場合、基本的にほぼ疑いありみなされるが、入院した患者のみが疑いありと集計され、核酸検査の資格があるという。核酸試験紙による検査を受けた患者の少なくとも80%が確認され、その後他の指定病院に搬送される。

《財経》によると、同病院の死亡疑い例のうち少なくとも5件が未確認であることが分かり、死亡者数には含まれていない。これは、現在、国民が見られる確診、死亡した病例の数字が、今回の疫病発生の全貌を完全に反映することができないことを意味する。

現在の調査から、患者は主に2つの経路で入院することができる。一つはコミュニティで順番にまつこと。 1月24日の武漢コミュニティの分流政策の実施後、患者は入院伝票を持って入院する必要がある。患者はまずコミュニティでCT、血液検査の報告を受け、コミュニティは街の報告を行い、更に軽重緩急に基づいて病院の新しいベッドに受け入れられる。もう1つは、核酸試験紙のある指定病院に行って、48時間結果を受け取り、診断されれば、病院に拒否されないことだ。

この2つのルートをたどるのは容易ではなく、それぞれが果てしなく待つことになるかもしれない。しかし、重症患者の場合、1分ごとに死に至ることもある。

《財経》が最近、相次いでインタビューした10人余りの感染者のうち、多くの家族が家族全員感染し、重症の高齢者や妊婦を抱えて、病院を転々としている。「病院からは、自力でがんばるしかないと言われました。」と複数の患者の家族は、《財経》と語った。

2020年1月31日24時までに湖北省で7153例の新型コロナウイルス感染肺炎症例が累計報告された。武漢市が3215例であった。

WHO(世界保健機関)のTwitterのホームページには、これらは数字ではなく、間違いなく本物の人間であるという言葉がある。不幸にも、まだ何人かは含まれておらず、彼らの生死の物語は統計の外にある。

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