【英国:注目】ファーウェイの国家安全保障上のリスク:5G企業が中国軍ハッカーを採用、専門家が発言

英国が、ファーウェイが英国の5Gネットワークの一部を構築することを許可したことについて、リークされた情報をもとに専門家が分析。
しかし、英政府筋によると、英国にはしたたかな戦略があると断言。
この記事は、英国のエクスプレスUKからご紹介します。

エクスプレスUK 2020/01/28

ボリス・ジョンソンは、ファーウェイが英国の5Gネットワークの一部を構築することを許可したが、リークされた従業員情報によると、同社は中国の軍や諜報機関とつながりのあるハイレベルの諜報員を採用していると新しい研究で主張された。

この調査を行ったクリストファー・バルディング教授は、ファーウェイのスタッフ約100人が、ハッキングや通信傍受に関わる分野で「安全保障上に関する経験を示す経歴」中国軍などと関係を持っていたと結論づけた。

同教授は、ファーウェイの国家安全省(MSS)の「代理人」とされるファーウェイ従業員を特定し、「ファーウェイ社の機器に合法的な傍受機能を組み込むこと」に取り組んでいたと主張した。「プロジェクトチーム長」とされる別のスタッフは、ファーウェイと中国陸軍の国防科学技術大学(NUDT)との共同プロジェクトにも従事していた。

バルディング教授は「ファーウェイの共同ファウンダー、任 正非氏は中国人民解放軍(PLA)の上級幹部を経て同社を立ち上げた。」と主張した。

昨年、ファーウェイのCEOである任 正非氏はアメリカに「ファーウェイを締め出すことは、アメリカが後れを取ることの始まりである」と警告した。

2019年にアメリカはファーウェイをエンティティリスト(訳注:米製品輸出禁止対象企業一覧)に追加し、事実上アメリカ企業との取引を禁止した。

一方、駐英米国大使は、ファーウェイが英国で5Gの製造を支援できるようになることは、自宅に「クレプとマニア(窃盗常習犯)」を持ち込むようなものだと述べている。

コロンビア大学国際広報学部のパトリック・チョバネック特任教授は、「米国が英国を含む欧州をファーウェイに説得できなかったことは、多くの点でアジアインフラ投資銀行の繰り返しであるが、はるかに深刻な影響をもたらす可能性がある。」と話した。

しかし、英政府は、中国企業にはネットワークの「ノンコア」部分へのアクセスは与えられるが、軍事施設や核施設などの「機密性の高い場所」は禁止されると主張している。

火曜日、ジョンソン首相、閣僚、治安当局代表で構成される国家安全保障会議「ハイリスク・ベンダー」は、たとえ「ハイリスク・ベンダー」であったとしても、その危険性は「安全に管理できる」として、この取引を進めることを決めた。

ホワイトホール(英政府)の情報筋によると、同社を禁止することは英国にとって「数百億」損失になるという。

また、ライバルグループと一緒にシステムを開発すると、「大幅な遅れと消費者への負担が増える。」と付け加えた。

ファーウェイが禁止されれば、5Gのリリースは2~3年遅れると考えられる。

ホワイトホールの関係者は、「この国では生産性を向上させる必要があり、生産性を向上させるには、5Gが提供する優れた接続性が必要です。」と話した。

英国の5G市場におけるファーウェイのシェアは35%に制限される。

長期的な計画は、より多くのプロバイダーが参入するにつれて、中国企業のシェアを減らすことである。

ファーウェイは、トラフィックのルーティングを処理し、最もプライベートな通信で構成されるネットワークのコア、「コントロールプレーン」から除外される。

しかし、米国のインテリジェンスは、ファーウェイが5Gシステムになればすべての分野にアクセスできるようになると結論づけている。

英国は、「ノンコア」部分とは、データを集めるパイプ、アンテナ、マストを指すと言っている。

ホワイトホールの関係者は、次の様に主張した。

「ファーウェイがもたらす課題については明確に認識しています。Iファーウェイはハイリスク ベンダーであることを本日確認しています。」

「セキュリティ上重要な5Gおよびフル・ファイバ・ネットワークの部分では禁止されます。」

この決定は、英国が機密情報データを同盟国と共有する能力には影響しないと、ホワイトホールの情報筋は『デイリー・テレグラフ』紙に語った。

同情報筋によると、現在構築中の5Gネットワークは「機密データをどのように共有するかには関係ない」とGCHQがきっぱりと述べたという。

ジョンソン氏は月曜日、英国の安全保障関係を「危険にさらす」ことは決してないと述べた。

デジタル長官のバロネス・モーガン氏は、次の様に語った。
「私たちはできるだけ早く世界クラスの接続性を望んでいますが、これが我が国の国家安全保障を犠牲にしてはなりません。」

「ハイリスク・ベンダーは、我が国の最も機密性の高いネットワークにはいなかったし、これからもいないだろう。」

同筋は、 「我々は、市場の多様化と代替供給業者の開発を早急に進めなければならないという点で、米国や他のファイブ・アイズの同盟国と合意しています。」

「そして、我々はしたたかな戦略に取り組んでいます。」

「これを達成するためには、時間の経過とともに、市場の多様化に伴ってシェアを減少させる必要があります。」

「私たちは、通信業界でハイリスク・ベンダーを使わなくても済む立場になりたいと考えています。」

「我々は21世紀のテクノロジーの大きなチャンスをつかむことができます。」

ファーウェイのビクター・ジャン副社長は、次のように述べた。
「ファーウェイは、5Gの展開を軌道に乗せるために顧客と協力し続けることができるという英国政府の承認に安心しています。」

「このエビデンスに基づく決定は、将来に適した、より高度で、より安全で、より費用対効果の高い通信インフラストラクチャを実現します。これにより、英国は世界をリードする技術を利用できるようになり、競争力のある市場が確保されます。」

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子)

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