【中国】中国における致死性コロナウイルスを封じ込めるための遺伝子と薬物の軌跡

中国・武漢市で発生したコロナウイルスについて、香港のサウス・チャイナ・モーニングポストが報じていましたのでご紹介します。

色々と発信段階ではないと思われる情報を掴んではいるので、色々と検証した上で、当サイトでもこれからも紹介していきたいと思います。


サウス・チャイナ・モーニングポスト 2020/01/26

・HIV治療とゲノムシークエンスは、科学者がワクチンと治療法を摸索する中、アウトブレイクに対応して使用されている2つの技術である

・研究者らによると、この新しい病原体はSARSよりもコロナウイルスに近いという


中国中部の都市武漢で先月下旬にコロナウイルスが発見されて以来、56人の命を奪ったコロナウイルスのワクチンや治療法の開発を、感染症の専門家や疫学者が急ピッチで進めている。
中国疾病管理予防センター(CDC)のウイルス研究所のシュ・ウェンボ(Xu Wenbo)所長は、研究者がワクチン開発のためにウイルス株を分離したと、国営ニュースサイトChinanews.comが日曜日に報じた。

シュ氏によると、研究者らは、1月2日に武漢市からコロナウイルスの最初の四つのサンプルが送られてきた翌日、「ハイスループット・ゲノムシークエンス」技術を使って病原体のゲノムを特定したという。
しかし、CDCはワクチン開発計画のスケジュールを明らかにしなかった。

武漢で見つかった病原体はコロナウイルスと呼ばれるウイルスの大きくいえば同類に属し、その一つは重症急性呼吸器症候群(SARS)の致命的な2002~03年のアウトブレイクを引き起こした。

29カ国に広がり、世界中で700人以上が死亡したSARSは、2019nCoVとして知られる武漢ウイルスと密接な関係があると推測されていた。
しかし、北京の研究者たちは、武漢コロナウイルスは、SARSの進化版というよりは、新しいウイルスの可能性があると述べている。

CDCウイルス研究所のタン・ウエンジェ(Tan Wenjie)氏は、科学者がこのゲノム配列を他の十数種のウイルスのものと比較した結果、2019nCoVはSARSに82%似ているが、中国東部の浙江省の周山で採取されたコウモリのコロナウイルスサンプルに90%似ていることがわかったと、国営のChina Global Television Networkが報じた。

タン氏によると、武漢ウイルスはSARSの「遠い親戚」であり、コウモリから来たものかどうかを判断するには時期尚早だという。

死亡者数と患者数が週末に急増する中、中国はこの病気と診断された人々の治療に苦慮している。

国家保健委員会は、首都の3つの病院で、HIVの治療に使用される抗レトロウイルス薬であるロピナビルとリトナビルが、ウハンコロナウイルスに感染した患者の一部に投与されたと発表した。

医学専門誌 「ザ・ランセット」 は金曜日、コロナウイルスの患者を治療するために2つの薬剤を使用する臨床試験が進行中であると報告した。

チャイナ・ニュースウィークの報道によると、北京の北京大学第一病院の呼吸器専門家であるワン・グアンファ(Wang Guangfa)氏は、武漢を訪問してコロナウイルスの患者を診断した際に、ウイルスに感染した後に抗レトロウイルス薬を使用したと述べたという。

しかし、同委員会が設立した武漢ウイルス対策チームの鐘南山所長によると、早期発見と検疫は依然として、感染拡大を防ぐ最善の方法だという。

科学技術省 (科技省) は、この病気の拡散を防ぐための科学的研究を合理化するため、11の政府と軍の省庁の取組を調整している。

しかし、世界中の研究者が、ラクダによって人間に感染する新種のコロナウイルスによって引き起こされるウイルス性呼吸器疾患である 「SARS・中東呼吸器症候群」 (Mers) のワクチンをまだ探していることを考えると、このケースで効果的で安全なワクチンがすぐに開発できるかどうかは疑問が残る。

SARSが発生してから約17年後の昨年十一月、当時の米食品医薬品局 (FDA) は、サルを使った臨床試験の成功を受けて、実験的なワクチンの臨床試験を開始する予定だと発表した。

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子)

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