【米国:メディア比較】米国の北朝鮮の「クリスマスギフト」への備え

米国は、北朝鮮が米朝交渉期限を年末に定め、米国に示唆した「クリスマスギフト」の可能性に備えています。
トランプ米大統領は、北朝鮮の完全な非核化を約束したにもかかわらず、約束を守れなかったという批判を受けているようです。

政治的な思惑にかかわらず、ほとんどのメデイアは、米国が今後数日間のミサイル発射の可能性に警戒しているとしています。 
CNNなど一部メディアは、「ギフト」がより反米強硬政策になると示唆するものもありました。
その他一部のメディアは、北朝鮮が軍需工場の少なくとも1つの建設に着手したとの報道に注目しています。

それぞれのメディアの偏りで報道を比較してみてください。


【中道メディア】

【引用記事 npr

北朝鮮、クリスマスのサプライズを約束。オプションはこちら

北朝鮮はクリスマスカードを実際に作っているわけではないが、もし作っていたとしたら、おそらく同国の指導者、金正恩氏が白馬に乗って雪原を走る姿が描かれていただろう。実際、北朝鮮の国営メディアは今月、こうした正確な画像を公開したが、そのメッセージは明確だった。

北朝鮮を研究しているミドルベリー国際問題研究所のジェフリー・ルイス教授は「彼の考えでは宇宙との交流のために旅をしていたのです」と話す。

金総書記は、米国や韓国との2年間の外交失敗にうんざりしている。北朝鮮は制裁緩和を望んでいる。しかし米国は、北朝鮮が核兵器を完全に放棄しない限り、譲歩することを拒否している。

しばらくの間、両者は親切なプレスと写真撮影で両国の思惑のギャップを無視したが、その時間は過ぎたかもしれない。「彼らはもはやその違いを克服することができません」とルイス氏は言う。

現在、北朝鮮指導部は米国への「クリスマスギフト」を約束している。オプションは次のとおり。


ロケット発射

北朝鮮は、人工衛星などを搭載したロケットを宇宙に打ち上げることが可能だ。近く出版される『金正恩と爆弾』の著者であるアンキット・パンダによると、米国はこのような動きを挑発的と見なすだろうが、北朝鮮はそれが平和的だったと主張できるだろうという。「興味深い交渉の余地がうまれます」とパンダは言う。

しかし、ウェブサイト38Northによる商業衛星画像の最近の分析によると、北朝鮮の主要な宇宙発射サイトではほとんど活動が見られなかった。また、北朝鮮はこれまで、発射に伴う航空機や船舶などには警告を発していない。


North Korea’s Unha-3 rocket lifts off from the Sohae launchpad in 2012.
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地下核実験

これまでの核実験は、北朝鮮の核能力を改めて思い起こさせるものだった。

最後の実験は、2017年の熱核爆発だった。しかし、北朝鮮は翌年、豊渓里の地下実験場でトンネル入口を取り壊した。

パンダによると、その場所では活動の兆候はなく、北朝鮮は隣国の中国からさらなる核実験を行わないよう圧力を受けているとのことです。「とはいえ、金正恩政権を別の実験場を作ることを止めるものは何もない。」とパンダ氏。


North Korea invited foreign press to watch as it demolished tunnel entrances to its nuclear test site at Punggye-ri in 2018.

長距離ミサイル実験

3つ目の選択は、米国やその領土に到達可能な大陸間弾道ミサイルなどの長距離兵器のテスト発射である。北朝鮮は2017年にも数発を発射している。

「安全策は、これまでに見てきたミサイルの改良版だ。」とルイス氏は言う。「しかし、私が心配しているのは、はるかに長距離の射程を持つ新型の固体燃料ミサイルです。」

固体推進剤使用の長距離ミサイルは、数カ国しか保有していない先端技術である。パンダ氏によると、数分でローンチできるという。「危機的な状況では、これらのミサイルは燃料を補給しなければならない液体推進方式のミサイルよりもはるかに速く準備できる。」
そのため、先制攻撃を出しにくくなってしまう。

パンダ氏は、特に最近北朝鮮によって行われた他のより短い距離の実験を見るとき、心配する理由があると語る。「これまで2019年にテストしたミサイルはどれも固体推進剤使用方式でした」
正確な種類のミサイルは専門家にとって重要だが、他のすべての人にとって重要なのは、長距離ミサイルの実験があるかどうかだ。トランプ大統領は、北朝鮮が長距離ミサイルの発射実験を行わなかったことは、トランプ政権にとって外交的に大きな勝利だと考えている。大統領は、金正恩氏からのラブレターについて話した。

ルイス教授によると、大陸間弾道ミサイルの実験は、(北朝鮮の完全な非核化合意の)幻想を崩壊させ、双方の言い回しを強めることになるという。「信じられないほど緊迫した状況になります。戦争に突入したくない人がいても何かがおかしくなる可能性は非常に高いのです」
「私たちは2020年には良い場所に向かいません」とパンダ氏は言う。「北朝鮮とトランプ政権は、新たな危機の礎を築いています。」


North Korea hasn’t tested any missiles capable of reaching the U.S. since 2017.

【極めて左メディア】

引用記事 VICE

北朝鮮、長距離ミサイル基地で米国の「クリスマスギフト 」構築か

衛星写真によると、北朝鮮は大陸間弾道ミサイルの製造や改良に関連した体制を構築している。

北朝鮮が、長距離ミサイルを生産する軍事施設を新たに建設したことは、米国に警告した「クリスマスギフト」を準備しているという憂慮すべき兆候だ。

AP通信によると、プラネット・ラボは、北朝鮮が長距離ミサイル用の移動式発射装置を製造するために使用していると報じられた平壌近郊の「3月16日工場」で、その新しい構造を示す衛星画像を公開した。

米ミドルベリー国際問題研究所のジェフリー・ルイス東アジア不拡散プログラム部長はNBCニュースの書面による分析で、「北朝鮮がこの構造を構築するのは、[大陸間弾道ミサイル]発射台の製造や変更に同施設が関与する場合だと考えられる。」と述べた。

ルイス氏はNBC放送に、北朝鮮がミサイル能力を向上させていることを示す多くの証拠があると語った。

「北朝鮮が、より多くのシステム、より多くの建物、より多くの能力など、ICBM計画を拡大するための基礎を整えつつあることを示す活動が、多くの場所で行われている。」(ルイス氏)

米国と北朝鮮の間で緊張が高まっている中、厄介な兆候が現れている。両国間の核交渉は2月に失敗し、北朝鮮の独裁者金正恩氏は交渉再開の期限を年末に設定した。

ここ数週間、両国の指導部は互いを侮辱することに重点を置き、北朝鮮は最近、ドナルド・トランプ大統領を「無頓着で気まぐれな老人。」と呼んだ。

北朝鮮は最近、東方海域に短距離ミサイルを発射した。

金総書記は不吉なことに、米国に「クリスマスギフト」を送ると警告した。ある空軍司令官は、「ギフト」は長距離ミサイルの実験になるだろうと述べた。

チャールズ・ブラウン将軍は先週、記者団に対し、「ただ問題は、それがクリスマスイブに来るのか?クリスマスに来るのか?年明けに来るのか?」と述べた。

【やや右メディア】

引用記事 フォックスニュース

米国、北朝鮮の 「クリスマスプレゼント」 ミサイルを警戒

米当局者は、北朝鮮からの「クリスマスギフト」という名のミサイル発射の可能性の兆候に、高い警戒感を示している。

大規模な発射や核実験が実施されれば、北朝鮮が自ら課したミサイル発射と実験の一時停止に終止符が打たれる。それはまた、北朝鮮を核廃絶のための交渉のテーブルに戻すことは、トランプ大統領の主要な外交政策目標の一つにとって大きな打撃となるだろう。

北朝鮮は今月初め、米当局者が言うところのエンジンテストを実施した。専門家は、長距離ミサイルのエンジンが関係している可能性があると考えている。

「北朝鮮は進歩しています。新しい能力を構築しています」と語るのは、元国務省職員で、フレンズ国民立法委員会で核軍縮を追跡調査しているアンソニー・ワイアー氏。
「この状況が続く限り、米国と同盟国を新たな方法で脅かす新たなミサイルを試せる新たな能力を手にすることになる。」

昨年12月初め、北朝鮮は、トランプ政権が核交渉のタイムリミットに直面しているとし、「クリスマスギフト」の可能性を警告した。そして、その警告は、北朝鮮から何を「クリスマスギフト」を受け取るかは米国次第だという。

「もう四半世紀も朝鮮半島を見ています。私は彼らの戦術や脅しには慣れています。」(ワイヤー氏)
「真剣に腰を据えて、朝鮮半島の非核化に向けた政治的合意について話し合う必要があります。それが最善の方法であり、建設的なことをしようとするのであれば、おそらく唯一の方法です。」(ワイヤー氏)

米統合参謀本部議長のマーク・ミリー陸軍将軍は同日、記者団に対し、 「米国、日本、韓国は、北朝鮮のいかなる動きに対しても防衛する用意がある。」 と述べた。

「私たちは常に高いレベルの準備態勢を維持しています。」(ミリー陸軍将軍)

2018年6月、トランプ大統領は、シンガポールでの会談で、北朝鮮が「朝鮮半島の完全な非核化に向けて努力することを約束する。」との共同声明を発表したが、米国が北朝鮮の核能力の一部放棄と引き換えに広範な制裁緩和を求めた北朝鮮の要求を拒否したため、2月に交渉は行き詰まった。

2017年には、北朝鮮は中距離ミサイル2基を日本列島越えに発射し、米領グアムに発射すると威嚇するなど、猛烈なミサイル発射実験を行った。

また、Hwasong-15を含む3つの開発ICBMを試験し、米国本土の奥深くまで到達できる可能性を示した。

しかし、ICBMの実験では、弾頭が大気圏再突入を生き延びるために必要な技術を北朝鮮が完成させたことを示す明確な兆候は見られなかった。専門家らは、北朝鮮がICBMの信頼性と精度を検証し、再突入防御体制を構築するためには、追加の飛行実験が必要だと指摘した。

2017年の北朝鮮のミサイル発射は、米国の激しい反発を招いた。トランプ大統領は、北朝鮮に「火と怒り」をもたらすとし、金正恩総書記と完全破壊の脅し合いをした。金総書記はその後、ICBMと核実験を停止し、トランプ大統領が外交政策の勝利としてこの動きを強調した。

今年、国防長官に就任して以来、2度も韓国を訪問しているエスパー氏は、 「米国は現在、北朝鮮に会談を要請するチームを韓半島に置いている」 と話した。同時に、米軍の即応態勢は依然として高い水準にあると述べた。

重要な論点は、米韓軍事演習の縮小である。これは、トランプ政権が北朝鮮を宥め、非核化交渉のテーブルにつかせるために行った措置である。米国は韓国に約28,000人の軍隊を配置している。


(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子)

※ 無断転載厳禁

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