【ファクトチェック:バイラル動画】香港大規模デモ後の中国の銀行口座を解約するため殺到している動画ではなかった!

ネットのSNS上で繰り広げられる真実。
その真実が実をいうとフェイクだったということが良くあります。
しかし、正しく訂正したニュースより、フェイクニュース方が多く拡散され、人の記憶に残ることが多々あります。
いくらそれがフェイクだったと証明できたとしても、不思議なのもので、人の意識というものは、そう簡単に変わりません。

状況が変わって真実が変わったということは仕方のない事かもしれませんが、わざと人や国などを貶める目的にで繰り広げられるフェイク。
そういったことについて、取り組んでいる海外のメディアがいくつかあります。

そういう取り組みをしているAFP通信の記事から今回はご紹介いたします。

<引用記事 AFPファクトチェック 2019/06/25

2019年6月、香港で大規模な抗議行動が起きた後、市民が中国の銀行に列を作って口座を解約しているという主張と並んで、TwitterやFacebookの複数の投稿で何万回もビデオがシェアされている。

ビデオの最初の部分は、中国本土の靴屋の外に行列している買い物客の様子で、ビデオの残りの部分では、マカオのホテルで客が列を作る様子だとして映し出されている。

15秒のこの動画は2019年6月16日にTwitterに投稿され、44,000回以上視聴された。

以下は、この誤解を招くツイートのスクリーンショットである。

中国語の説明文は英語を訳すと次の通り。

「香港市民は、中国の銀行からの米ドルの現金に換金したり、中国の銀行口座を解約したりするために殺到している! 一人当たり1万ドルを引き出せば、米ドルの資金は香港市場からほぼなくなり、香港ドルと人民元は危機にさらされている。この打撃は、大通りで抗議する何百万人もの人々と同じくらい強力だ!」

このビデオは、一部の犯罪容疑者を香港から中国本土に引き渡すことを認める犯罪人引き渡し法をめぐり、香港で大規模な抗議が行われた同じ日に共有された。2019年6月16日に掲載されたAFP通信の記事はこちら

同じビデオと同様の主張は、このツイッターこのフェイスブック投稿で何万回も見られた。

しかし、この投稿はフェイクだった!

ビデオの最初の部分は、中国本土の靴屋の外に並んでいる買い物客の様子だ。
ビデオの残りの部分では、マカオのホテルで客が列を作る様子が映し出されている。

AFPは、中国のオンラインディレクトリdianping.comに掲載されている同じストアを見つけた。

下のスクリーンショットは、誤解を招いたビデオ (L) とユーザーがdianping.com (R) に投稿した写真を比較したものだ。

この写真は、同じヨルダンの店で靴を求めて並んでいる群衆の写真で、2018年6月11日にInjoyショッピングモールの公式ウェイボー・アカウントに掲載された。

ウェイボー投稿の簡体字中国語キャプションは英語に翻訳されており、「#AJ1#店の外の混雑したサインアップシーンは雨の日には珍しい。朝早くからたくさんの人が来ましたが、靴は本当にかっこいい」となっている。

下のスクリーンショットは、誤解を招いた投稿 (L) とウェイボーの写真 (R) のビデオを比較したものだ。



3月2日のビデオでは、誤解を招く投稿の中で、4秒から15までの間、精巧に装飾された建物の中に並んでいる人々を見ることができる。 誤解を招いた投稿のコメントは、その建物がパリのマカオホテルであることを示唆した。

AFPは、パリのマカオの公式Facebookアカウントが2019年4月11日に掲載したこの記事https://www.facebook.com/TheParisianMacao/posts/1082898608562287に掲載されているホテルのロビーの写真を見つけた。

キャプションには「高さ35メートルのロタンダの美しい写真、ホテルのレセプションやコンシェルジュでの手書きのレンダリング、ドラマチックな彫刻を撮影しましょう。」と書かれている。

以下のスクリーンショットは、誤解を招いた投稿のビデオ (L) とホテルが投稿した写真 (R) を比較したもの。

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