【米中貿易戦争:インタビュー】スティーブ・バノン:中国との貿易協定よりもファーウェイを抹殺することの方が重要だと述べた

米中貿易戦争の行方はどうなるのでしょうか。
日本にとっての影響はどうなるのでしょうか。
サウスチャイナモーニングポストが、トランプ政権のかつてのチーフ・ストラジスト、スティーブ・バノン氏のインタビューを発信していましたので紹介します。
共産国である今の中国では、情報が封鎖されていると考えている人が多いと思いますが、 このインタビューは、 西側諸国の人達が思っているほど情報が封鎖されていないという事例ではないでしょうか。
今のバノン氏にどれほどの力があるかどうかは分かりませんが、米国のタカ派の意見を象徴しています。
興味深いインタビューですので、ぜひご覧ください。

Post by Mariko Kabashima 2019/05/23 10:04 update 13:31

上写真:Gage Skidmore氏撮影 Flicker

South China Morning Post 2019/05/22】


・欧米市場から大手電気通信業界を追い出すことは、貿易協定より 「10倍重要」 である。
・トランプ大統領の元ストラテジストは、すべての中国企業を資本市場から排除する計画で、そこにとどまるつもりはないと述べている。


ホワイトハウスの元チーフ・ストラテジスト、スティーブ・バノン氏によると、欧米からファーウェイを追い出すことは、中国との貿易協定よりも「10倍重要」だという。

同氏はまた、中国企業を米国資本市場から締め出すことに全力を尽くすと述べた。

中国に対する「全面戦争」を強く主張するバノン氏のこの発言は、トランプ米大統領がファーウェイを事実上、米国市場から締め出し、重要部品の供給を停止する大統領令に署名した数日後にでたものだ。

「これは西側諸国にとって国家安全保障上の大きな問題である」とバノンはサウス・チャイナモーニング・ポストとの電話インタビューで語った。「大統領令は、貿易協定から手を引くより10倍も重要だ。それ[ファーウェイ]は、米国だけでなく世界にとっても、国家安全保障上の大きな脅威である。我々は、それを封鎖するつもりだ」

バノン氏は、ファーウェイ製品の具体的なセキュリティ・リスクについては言及しなかった。中国のIT企業は、米国の主張に公然と異議を唱えており、ドイツなどの主要な西欧諸国も、米国の主張を裏付ける確かな証拠は今のところないと述べている。

米国でのファーウェイ禁止は、資本市場とIT業界に衝撃を与えた。

米国に本社を置く地政学的リスク及びビジネスアドバイザリー企業を持つクランプトングループのジュデ・ブランシェット氏は、ファーウェイ装備に対するセキュリティ上の懸念で、ワシントンは「幅広い合意」があったが、大統領の命令は「破壊的影響と経済的影響」のため市場を驚かせたと述べた。

「我々は、複雑なグローバル・サプライ・チェーンにおいて、認識されているセキュリティ・リスクを防御するための動きが急激に、そして度々不正確に削減される未知の領域に入っている」とブランシェット氏。

しかしバノン氏は、ファーウェイは西側市場から完全に撤退する必要があると強く主張しており、トランプ大統領は、昨年7月に別の中国の通信機器メーカーZTEに対して同様の制裁措置を解除する際に「失敗」したことを示唆している。

米国は、イランに対する米国の制裁に違反したという理由で、ZTE禁止を課していた。しかし、トランプ氏の働きかけにより、ZTEに対する制限は、中国企業が将来の事業のためのいくつかの契約条件に合意した後に解除された。

「貿易交渉の初期の段階で、彼(トランプ大統領)はZTEに免責を与えたが、私は、これは失敗だったと思う」とバノン氏は語った。

2017年8月にトランプ大統領によって解任されたバノン氏も、中国企業を米国資本市場から締め出すことを求めている。

「我々が次に行う事は、すべてのIPO(訳注:新規公開株 )を停止し、中国共産党に資金を提供している米国のすべての年金基金と保険会社を廃止することだ」と同氏は述べた。

「この抜本的改革を(彼らは同意する)まで、中国企業の資本市場へのアクセスを制限する大きな動きがウォール街に見られるだろう」

バノン氏は今年三月、 Committee on the Present Dange(CPD)(訳注:冷戦時代の現在の危険に関する委員会)が中国を標的に復活させた。

CPDは、米国における共産主義の影響に対する防波堤として1950年初頭に設立され、アイゼンハワー政権に主要メンバーが招集されその後解散したが、冷戦期のソ連に対抗するため、1976年に米国の外交政策タカ派によって改革された。

これ以上の詳細は明らかにしなかったが、バノン氏は「ホワイトハウス高官と毎日中国に関して話している」と述べた。トランプ大統領と定期的に会うのかという質問に、右翼ポピュリストは、「いいえ、話をする必要があれば弁護士を通す」と答えた。

しかし同氏は、この数カ月前にニューヨークタイムズとポリティコが報じた、「トランプ氏は『スティーブがとても好きだった』と述べた」ことを挙げた。

「私がトランプ大統領に最も近かったことはよく知られている」とバノン氏は言う。「私はこれ(中国)については、トランプ大統領よりもずっと右側にいる。そして、私はそれを誇りに思っている。(私は)超タカ派だ」

同氏は、中国との「経済戦争」の目的は、中国に抜本的な改革を実施させることだ、と述べた。

「すぐに解決するとは思えない。これは非常に長く困難なプロセスの始まりだ」と同氏は述べた。

「私はこれに人生を捧げた。これが、私が四六時中やっていることだ。米国がやりとげる圧力は容赦ないだろう。我々は黙ってはいない」

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子)

※無断転載厳禁

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