【米国:真実】トランプ-ロシア:FBIではスパイがいてもスパイではないらしい

米国で有名なリアルポリティクス・インベスティゲーションが、米国のトランプ―ロシアでの聴聞会での証言を基に、スパイがいたかどうかという視点で、独自の分析記事を発表しています。非常に読み応えたのある、興味深い記事ですのでぜひご覧ください。

Post by Mariko Kabashima 2019/05/21 14:12 update 22:50

【 By Eric Felten, RealClearInvestigations 2019/05/20】

スパイVs FBIでの曖昧なスパイ

ワシントンの世論調査や専門家たちは、誰をスパイと見なすのか、そしてそのようなエキゾチックな生き物がFBIに雇われたことがあるのかどうかについて怒りに満ちた議論しているが、FBIはスパイを使うだけでなく、トランプーロシア事件の捜査も含めて広範囲にスパイを使っているという新たな証拠が浮上している。


木曜日、CNNのホスト、ジョン・バーマンは元FBI首席法務顧問のジェームズ・ベイカー氏に「FBIは、司法長官が示唆したようにトランプ氏の選挙キャンペーンをスパイしたのですか?」と尋ねた。 ベイカー氏は当初否定はしなかったが、「スパイ」という言葉がネガティブな意味合いだとして否定した。

その後、ベイカー氏はスパイ行為が起きたかどうかという質問から、意図的に話をそらしたようだ。
「私自身、あるいは私が知っている誰も、このキャンペーンに関して侵入したり活動していたことに気付きませんでした」 (ベイカー氏)
それから、彼はその主張さえも大幅に修正する文章の一節を続けた。トランプ氏の選挙キャンペーンへの侵入はなかったとし、「政治的な情報を集めて政治戦略が何であるかを知るためです」と述べた。FBIが関心を持っていたのは、選挙キャンペーンがロシアに関して何をしようとしているのかということだけだった。

「私はスパイしなかった」と言うことと「私は不適切な理由でスパイしなかった」と言うことの間には大きな違いがある。前者は否定であり、後者はほとんど自白したのも同然だ。
ベイカー氏は、トランプ氏の選挙戦略に関する情報を収集するためのスパイ行為はなかったと主張した。これは、スパイ行為があったことを意味している可能性が非常に高いが、与えられた狭義の理由でスパイ行為はなかったとした。

2017年3月、トランプ・タワーで盗聴されたと不正確に主張してスパイ行為の恐怖を提起したトランプ大統領は、オバマ政権の高官がライバルの選挙キャンペーンをスパイしていただろうと示唆したことで、嘘つきで陰謀論者だとして広く批判された。そのような監視が行われていたことが明らかになった今、そのような否定者たちはそのような試みを擁護し、軽視しようとしている。

トランプ―ロシア事件の捜査を擁護する人々は、公式コメントだけでなく目撃者との非公開インタビューでも、「不適切な理由でない」という一節の変形に大きく依存するようになった。
彼らはまた、1年前にトランプ大統領が司法省に対し「FBIや司法省が政治目的でトランプ氏の選挙キャンペーンに潜入したり、調査したかどうかを捜査しろ」と要求したツイートからの三つの言葉に焦点を当てることで、議論の条件を変えようと試みた。
以下の太字の斜体文字の3つの単語(英語でfor political purposes )を、それ以来上手く使えるようトレーニングをかなりしてきた。


ジェームズ・ベイカー
「政治的な情報を集めるためにスパイ活動はしない」

2018年10月の連邦議会での非公開の聴聞会で、ジェイミー・ラスキン下院議員(民主党- メリーランド州)から、ベイカーは、「あなたの知る限りで」と「FBIや司法省はトランプ氏の選挙キャンペーンを政治的な目的で捜査したことか?」と質問された。

さらに、ラスキン氏は、司法と政府の監督と改革に関する下院合同委員会でも、ベイカー氏に質問した。

「オバマ大統領やホワイトハウスの誰かが、司法省やFBIに対して、トランプ氏の選挙キャンペーンを、『政治的な目的』 のために 「潜入させるか監視する」 よう 『要求または依頼』したことがありますか?」。 
ベイカー氏は、「いいえ」と否定することができた。

米連邦議会で行なわれた聴聞会で、FBIの対諜報部門の副責任者、ビル・プリースタップ氏は次のように質問された。
「あなたには、オバマ政権がFBIのクリントンあるいはトランプ氏の捜査への対処を政治的な目的で干渉したと信じる理由がありますか?」
「いいえ、いいえ」と彼は答えた。

FBIと司法省のどちらがトランプ氏の選挙運動を政治的な目的で捜査したことがあるかとの議会の聴聞会で、ジェームズ・コミー元FBI長官は「私は我々が政治的目的のためにトランプのキャンペーンを捜査したことはないということを確信しています」と断言した。

ジェームズ・コミー氏:「政治的目的では絶対ない」


「FBIや司法省はトランプ氏の選挙運動やトランプ氏の大統領選を政治的な目的で捜査したことがありましたか?」
FBI捜査官のピーター・ストラーゾック氏は、民主党のスタッフ、ジャネット・キム氏から質問された。

政治的な目的はなく」と彼は答え、そしておそらくそれがいかに明白なことかを理解し、「私はその答えによって、他の合法的な前提となる捜査があったかどうかを暗示しているわけではない」と付け加えた。


こうした質問に対するFBIの回答は、それ自体が政治的なものであり、ロシア捜査中のFBIの行動を保護することを目的としたものであるという証拠が、トリシャ・アンダーソンが昨年8月31日に下院司法委員会と政府改革・監視委員会に対して行った証言で提供された。

ベイカーのナンバー2であるFBI首席副法務顧問のアンダーソンはその後、法律事務所Covington&Burlingに加わるためにFBIを去った。その聴聞会は非公開で行われた。聴聞会のトランスクリプトは公開されていないが、断片的に伝えられている。RealClearInvestigationsが完全なトランスクリプトのコピーを入手している。

結局、避けられない質問として「政治的な目的で司法省やFBIの捜査に参加したことはありますか?」と質問されたアンダーソンは、「いいえ」と答え、「あなたは、あなたがFBIにいた間に、FBIが米国の政治運動にスパイを送り込んだことを知っていますか?」という問いにも「いいえ」と答えた。

しかし、キム氏が二つ目の質問では、 「政治的な目的でという言葉」を忘れていたことに注目して欲しい。このミスのおかげで、米連邦捜査局 (FBI) のスパイ活動に関する詳細な質問ができるようになった。


司法委員会多数派の首席弁護士であるライアン・ブライテンバックは次のように述べた。
「あなたは前の証言で、あなたが知る限りでは、そこにはトランプ氏の選挙キャンペーンやトランプ氏の範囲のどこかに置かれたスパイはいないと言いました」。
「あなたのスパイの定義は何ですか。もっと端的に言わせていただきます。あなたの考えでは、スパイは人間の機密情報源を含みますか?」と質問した。

「いいえ」とアンダーソン氏は答えた。
それで、FBIが機密情報を収集するために人間の情報源を使用したとしても、それはスパイ行為ではなく、FBI職員は、FBIがスパイを使用していないことを宣誓して主張することができる。

ブライテンバックはさらに具体的に、「スパイにはFBIのおとり捜査員が含まれていますか?」と質問し、この時点でアンダーソンを当惑させ彼女は、「私にはわかりませんが」と答えた。

FBIのおとり捜査官がスパイに数えられたことがあるかどうかを知らなかったとしたら、なぜそれを否定することができたのだろうか。「つまり」とブレイテンバックは問い詰め、「あなたはスパイがいたことがあるかという質問に『いいえ』と答えました」と続けた。

「ええ、2つの理由からです」とアンダーソンは体制を取り戻したーがしかし、そのことが、隠されていた以上のことを明らかにした。彼女は、「まず」とし、「『スパイ』 という言葉は、この事件で行われたと私が理解していたことと同じ意味であるとは思えませんでした」と話した。


「もう一つは 『スパイを置く』 とか 『情報源を選挙キャンペーンの中に置く』 という動詞です」とアンダーソン氏。

「私の知る限りでは、FBIは誰も選挙キャンペーンに参加させませんでした。むしろその情報源のネットワークに依存しており、その中には、情報源を含む選挙キャンペーンの関係者がすでにいました」—「情報提供者であるステファン・ハルパーもその一人です。クリストファー・スティール以上にメディアで議論されています」


ミスした証言で逮捕された可能性から抜け出すために、彼女が自分の道を婉曲に表現しようとしていたことを明らかにしたとき、アンダーソンは、FBIがトランプ氏の選挙キャンペーンに対していくつかの機密報源だけでなく、「情報源のネットワーク」を使っていたことを明らかにした。彼女は、「置く」という動詞に異議を唱えたにすぎない、と主張した。なぜなら、その情報源は「すでにキャンペーンの連絡先を持っている」からだからだ。

RealClearInvestigationsはアンダーソン氏にコメントを求めたが、回答は得られなかった。


「二重スパイの活用」

証言の後半でアンダーソンは、FBIはスパイゲームに参加していないという主張を覆す別の情報を漏らした。彼女はFBIで働いていたオフィスでは、FBI活動のための法的指導を担当している。法律顧問室の同僚弁護士たちが、いつ機密情報源を手放さなければならないかについての決定に関与したかどうかについて質問された。


「私はそのような事例を知りません」とアンダーソン氏。それから彼女は、おそらく思ったよりも長い時間をかけて詳しく説明した。
「当オフィスは、海外の情報源の使用、調査的使用、例えば二重スパイの活用に関して、法律上の助言を日常的に提供しているかもしれないが、これは、法律上の考慮を伴う状況の良い例です」と説明した。


「あなたは二重スパイの活用について言及しましたが」と、共和党スタッフの弁護士は述べ、質問した。「あなたのオフィスは、実際の業務上の問題が発生したときに、法律的なアドバイスをしてくれるのですか?」
「そのとおりです」とアンダーソン氏は答えた。

したがって、FBIがスパイを使うことを否定しているにもかかわらず、FBIは秘密の捜査官だけでなく、二重スパイを活用しているというのが真実のようだ。

二重スパイの活用の難しさを考えれば、彼らの成功は恥ではなく誇りであるべきだ。長い間、それは政治的な目的のために行われていないからだ。

トリシャ・アンダーソン氏
「秘密の人間の情報源はスパイではない」と述べた。

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子)

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