【シンガポール: ファーウェイ】ヨー前外相:ファーウェイの禁止措置はスパイの脅威を止めることにはならない

5Gは普及すれば世界が一遍すると言われる超高速システムで、その通信速度は4Gの100倍だと言われています。
そして、5Gの通信局基地の世界首位のシェアを、ファーウェイが占めています。
海外の記事をみていると、米国は、ファーウェイの禁止措置をとるよう各国に呼び掛けているものの、その反応はいささか鈍いように見えます。
それは、中国が同社の機器を使い、スパイ活動を行っていると主張する米国の言い分に、はっきりとしたその証拠が見つからないということと、米国も行っているではないかというファーウェイの主張と、5Gを使った技術革新、つまり次の段階を各国は考えているからではないかと思います。
より早く5Gを導入した国と、導入しない国の技術の進歩の差が、これから広がる可能性があると考えている国が少なくないということです。
今まで開発までも規制しすぎて何もできなくなるという事態が多々ある我が国は、結局、防御という点においても、他国からその技術を買うしかなくなるということになる可能性があることに、危機感を感じた方がいいのはないでしょうか。
シンガーポールの前外相は、「自分の身は自分で守れ」というようなことを述べています。
この記事は、South China Morning Post から紹介します。

Post by ONTiB Mariko Kabashima 2019/04/01 23:38 Jst

South China Morning Post by Josephine Ma 2019/03/30  】

米国をはじめとする国々がファーウェイの禁止措置を講じても、スパイの脅威を止めることにはならない、とシンガポール前外相のジョージ・ヨー氏は述べた。

  • すべての主要国がスパイ活動のリスクをもたらす可能性があり、小国はそれに対処できない可能性があると警告。
  • 解決策はファーウェイ社を締め出すことではなく、すべての通信事業者から保護されることだとヨー氏は主張。

外国の通信事業者を利用すれば、各国がスパイの危険にさらされる可能性もあり、ファーウェイのような中国企業を禁止しても、この問題が完全になくなるわけではないと、ジョージ・ヨー前外相は述べた。

2004〜2011年の外務大臣であり、その5年前まで貿易産業大臣を務めたヨー氏は、 「ファーウェイ機器を利用して中国政府が顧客をスパイできるという指摘は一方的です」 と述べた。

同氏は、South China Morning Postのインタビューで、次のように述べた。

「5Gがあなた方を、外国の諜報活動で(個人情報や機密情報が)保護されず晒されるのではないかと心配することは当然のことであり、どの国も用心しなければなりません」

「中国だけがあなた方のシステムに侵入するのではなく、米国やその他の国もあなた方のシステムに侵入しようとしています。小国の場合、すべての能力を持っているわけではないので、とても大変なことになります」

Kerry Logistics Networkの会長兼エグゼクティブ・ディレクターであるヨー氏によると、同氏が政府在任中、シンガポールはBlackBerryに、データがカナダを経由する必要がないように、国内にデータセンターを建設するよう依頼したという。

「インテリジェンスの分野では、誰も信用せず、自ら用心してください」と同氏は述べた。

米国がファーウェイのスパイ疑惑を懸念したのは、より多くの国が同社の機器を使用すれば、米国の諜報機関が独自のスパイ活動を行うことを阻止できる可能性があるからだとヨー氏は述べた。

「米国人がファーウェイに非常に懸念を抱いているのは、ファーウェイに脆弱性がある可能性だけでなく、ファーウェイを使用することで、米国の諜報機関が他人のシステムにアクセスすることが難しくなるからです」と同氏は述べた。

「ファーウェイは、 [アメリカ合衆国の内部告発者の]エドワード・スノーデンが、[ドイツの首相である]アンゲラ・メルケルの電話の会話を盗聴や情報を収集していたことを暴露されたアメリカのPrism監視システムについて話しています」

「もしファーウェイシステムを持っているならば、アメリカ人がこれらすべてを行うのはより困難になります。それで我々は彼らがファーウェイに不満を持つ理由が理解できます」

ファーウェイのグオ・ピン(Guo Ping)会長は2月、同社の機器がスパイ行為を助長する「バックドア」であることを否定し、スノーデンが暴露した米国の諜報活動について言及した。

米国は同盟国に、ファーウェイ5G機器やネットワークの使用を全面的に禁止するよう圧力をかけており、同盟国との情報共有を見直すと脅している。

カナダ、オーストラリア、ニュージーランドはファーウェイを禁止した。一方、欧州連合は今週、ファーウェイをブロックするつもりはないが、監視の目を強化すると述べた。

「ヨーロッパ諸国はこれに従わず、イギリスとドイツはそれぞれ独自の道を歩んでおり、ますます多くの国がドイツとイギリスから同調するでしょう」とヨー氏は述べる

同氏によると、特に小規模な国における解決策は、特定のプロバイダーを禁止するのではなく脆弱性を特定することだという。

「解決策は、 『ファーウェイを禁止する』と言うのではなく、何を恐れ、何が脆弱で、それらをどのように防御するかについて、より正確に分析することです」と同氏は述べた。

「バイナリの問題ではないと思います。その解決策はさらに深く掘り下げることであり、すべての国がファーウェイだけでなく、自国に導入可能なすべての通信システムについて、そうすべきです」

「スパイ活動の脅威を与えているのはファーウェイだけではありません。すべての大国は、小国に対してスパイ活動の脅威を与えています」

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子)

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