【米:ビル・ゲイツ氏インタビュー】A・オカシオ-コルテスのマニフェストに「実態を見失っている」

先日、当サイトの記事でも、民主党下院議員の新人、アレキサンドリア・オカシオ―コルテス氏の話題の「グリーン・ニューティール法案」に対するオピニオンについて報じました。そのオピニオンでも、同氏のマニフェストは、現実と乖離していると評されていました。
今回は、世界の大富豪のビル・ゲイツ氏のインタビューです。
ゲイツ氏もオカシオ―コルテス氏のマニフェストについて「極端だ」「実態を見失っている」と述べています。
オカシオ―コルテス氏は下院議員になる前は、NYのブロンクス区でバーテンダーやウエイターとして働き母親を支えてきました。
今後、オカシオ―コルテス氏が今まで過ごしてきた場所から見る風景と、議員になってからの風景は、同氏の目には今後どう変わっていくのでしょうか。
アメリカ全体を見て、現実をみるようになるのか、今後も注目の下院議員ですね。
こちらは、The Vergeから紹介します。

Post by  Mariko Kabashima 2019/02/15  17:55

The Verge  by Nilay Patel 2019/02/12】

 

ビル・ゲイツはアレクサンドリア・オカシオ-コルテスの税制は 「実態を見失っている」 と語った。

税金はもっと高くなることもありえるが、「現代貨幣理論(MMT)」は 「馬鹿げた話」だ。

 

ビル・ゲイツ氏は、税金はもっと高くなる可能性があると考えている。

 

ゲイツ氏は今週のVergecastでのインタビューで、米国の限界税率は「より累進的になる(さらに上がる)」可能性があるとしながらも、言い換えれば、自分たちの提案が富裕層の所得を隠し、海外に逃避されることにつながるとしている「非常な極端な」一部の政治家がいると述べた。これは、ゲイツ氏のこのインタビューの前の週に、新たな(所得税の)最高税率70%を提案したアレキサンドラ・オカシオ‐コルテス議員(民主党・NY)のような、新人議員に対し、明確に言及したものだ。

 

ゲイツ氏はまた、世界で最も裕福な人々は、自分たちの富と比較して実際の収入の『丸め誤差』の価値しか持っていないと述べた。つまり、彼らは給料を多くもらってはないが、代わりに株式や他の資産を売って現金を調達し、それはいずれにしても所得として課税されない。

 

「富裕層の人々には所得の丸め誤差があります」

 

米国の所得を得た人のうち上位400人は、20%程度の税率しか払っていない、と同氏は指摘した。

「39.6%の所得税の限界税率とは何の関係もない。これはミスフォーカスです。そこだけに焦点を当てると、実態が見落とされてしまいます」

 

しかしゲイツ氏は、一般財産税、相続税、そして税収を増やすための社会保障制度の改正について賛意を示した。

「しかし、不動産税や資本税、FICA税や社会保障税のようにもっと累進的になることもありえます。私たちは、実際に所得創出を脅かすことなく、より累進的になることができます」

 

ゲイツ氏はまた、オカシオ-コルテスやバーニー・サンダースなどの政策チームで注目を集めつつある経済理論である「現代貨幣理論」にも異議を唱えた。現代貨幣理論(MMT)は、知られているように、政府は単に自国通貨を印刷することができるので赤字を心配する必要はなく、代わりに金利でインフレを管理すべきであることを示唆している。(詳しくは、こちらのVoxの説明をご覧ください)
ゲイツ氏はMMTについてどう考えているのだろうか?

 

同氏は次のように述べている。

「とんでもない話だ」 「ツケが回って痛い目にあうだろう」

 

(興味深いことに、ゲイツは問題なく国内総生産の150%まで債務を増やすことができると示唆した。Voxのマット・イグレシアスが私に語ったところによると、ゲイツ氏は、たとえ長期的には意見が一致しなくても、予見可能な将来のMMT支持者と同じ側に立つという)

 

これらすべては、ゲイツが彼の妻メリンダと彼らの財団と共に世界中で行っている慈善事業についてのThe Vergecast上の広範囲にわたるインタビューの一部である。

ゲイツ氏の税金とMMTについての発言は次のとおり:全文を聴くには下記をクリックしてください。

Listen to the full interview with Bill Gates below or in Apple PodcastsOvercastPocket CastsGoogle Podcasts, or Spotify.

 

Q
ここ数週間、私たちはあなたのような(富裕層の)人たちに70%の限界税率で課税すべきだということ、そしてそのお金はこのようなインフラとサービスの構築に使われるべきだということをよく耳にしてきました。
あなたにとって、それは魅力的ですか?それは馬鹿げていると思いますか? あなたが行っている個人的な慈善活動の面でより効果的だと思いますか?


ゲイツ氏:
確かに、政府が教育や社会プログラムをどのように運営するかという点でより効果的であるという考えには、改善のチャンスがたくさんあります。所得税の回収に関しては、富裕層は所得の丸め誤差があるため、所得税率だけに注目したくはないでしょう。
 
富裕層の人達には株式の価値だけの収入があり、売却しなければ収入としては全く現れないし、もし出てきてもキャピタルゲイン側に現れます。つまり、ヘッジファンドの人々や様々な人々の能力―彼らはその所得税率で払っていません。
 
あまり報道されていないのは、IRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)が最高所得者上位400人の統計と彼らが支払っている税率を示していることです。とにかく、それを見てください。20%程度なので、39.6%の限界所得税率とは関係ありません。これはミスフォーカスです。そのことに焦点を当てると、実態が見落とされてしまいます。
 
私は、アメリカの税率はもっと累進的だと考えています。最近、ついに極端な政治家が現れましたね、私の考えでは、「そうではない、範囲をこえている」と思います。しかし、不動産税や資本税、FICA税や社会保障税のようにもっと累進的になりえます。私たちは、実際には所得創出を脅かすことなく、より累進的になれるのです。つまり、どのように広げるかを決めるために残されたものです。
 
それで税制はいつも議論されています。[トーマス]ピケティは実際に富裕税のアイデアを持ち出した人物です。相続する唯一の資産クラスは不動産であり、これは非常に理にかなっています。
 
不動産は、いくつかの点で特別です。確かに、私たちの政府が(税収を)受け入れている以上の支出をしています。ある時点で、大規模なインフレを避けたければ、おそらくもっと資金を調達する必要があります。メディカル・ケアの面で必要なことをすると、支出が現在よりも増えてしまうからです。


Q
あなたは「赤字を心配するな。私たちはお金を印刷するだけだ。とにかくやれ」という現代の貨幣理論を支持していないのですか?
 
ゲイツ氏: ばかげた話だ。
 
Q:
というのは、まさに世の中にありますよ。通貨が上がっています。
 
ゲイツ氏:
なるほど、それはおかしいですね。つまり、実際の短期的なマクロ経済の条件では、このような状況ではインフレになることなく、おそらくGDPの150%まで借金ができるのは間違いなく事実です。が、ツケが回って痛い目にあうでしょう。 お金を借りている人は、問題が発生するでしょうね。

(海外ニュース翻訳情報局 樺島万里子)

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