【米国:大統領選】2020年の候補者にとって富裕層への課税が、討論での注目の話題となるだろう

 

 

The Hill  by BY NAOMI JAGODA 2019/02/03】

富裕層への課税の困難さをめぐる議論が、2020年の大統領選の序盤に浮上している。

 

左派寄りの候補者たちは、富裕層の米国人は大幅な課税を受ける必要があるというメッセージに重きを置いており、それを支持する提案をしてこの問題に力を入れている。

 

一方、選挙戦への出馬を検討している億万長者は、米国の最も裕福な住民への増税を求める最新の要求の一部に反対している。

 

民主党の戦略家たちは、富裕層への大幅な増税を支持する議論が有権者の支持を得るだろうと述べている。選挙戦が過熱すれば、まだ提案を行っていない候補たちも提案するものとみられる。

 

「大統領選挙は候補者の価値観に関するもので、税務政策は当てにならないように聞こえるかもしれません。しかし、それがあなたの価値観を反映する具体的な方法となりました」

 

ヒラリー・クリントン氏の2016年大統領選のスポークスマンで、後にトランプ大統領の2017年税法に反対するグループで働くジェシー・ファーガソン氏はこう述べた。

 

ファーガソン氏は、民主党の政策提案は、いかに富よりも仕事を評価するかを示していると付け加えた。

「ウォール街の勝者にはならないかもしれないが、間違いなくメインストリートにおいての勝者です」

 

党の大統領予備選挙は乱戦が予想され、多くの候補者は収入と富の不平等によって悩まされている進歩主義の有権者のために戦うだろう。

 

大統領検討委員会を告知したエリザベス・ウォーレン上院議員(D-Mass.)は最近、純資産5000万ドルを超える世帯に対する年税の提案を発表した。彼女の計画は、収入とは対照的に蓄財に焦点合わせる。

 

民主党予備選に出馬すると考えられているバーニー・サンダース上院議員(I-Vt.)は、木曜日に不動産税を大幅に拡大させうる法律を発表した。彼は2016年の大統領選挙運動中に同様の提案をしたが、新バージョンでは最も大きな不動産に対してさらに高い税率を課し、10億ドルを超える価値の不動産には以前の計画の65%から77%の税率とした 。

 

ウォーレンとサンダースからのロールアウトは、新人のアレキサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員(D-N.Y.)、左派で人気急上昇中の人だが、2020年の大統領に立候補するには若すぎる。彼女は年間所得が1000万ドルを超える個人の限界税率を70%に引き上げる提案を行い、全国的な議論を引き起こした。

 

トランプ大統領が民主党議員から何の投票も獲得していない減税法案に署名してから1年余り経ち、ホワイトハウスの有望な候補者からの提案もなされた。世論調査によると、多くの有権者が、同法が中流階級よりも富裕層や企業に利益をもたらすという民主党議員に同意したことを示しているなど、この法案に対する世論の支持も広がっていない。

 

2017年のGOP法に反対するTax Marchの理事であるモーラ・クィント氏は、議会の見直しによって、国民が裕福な人々がより多くの税金を支払うことを要求する声を上げるよう促したと語った。

 

「今、私たちは政治家がそれに注目するのを見ています。そしてアメリカ人がこれらの問題に関心があり、話すことについて要求しているのを政治家が認識しているため、彼らがこれらの問題を話す力を見出すのを見ています」と彼女は述べた。

 

世論調査によって、民主党員が、かなりの数の無党派および共和党員と同様に、富裕層が十分な税金を払っていないと考えていることがわかった。その結果、民主党員たちは、大統領候補たちが金持ちに対する増税を推進するならば、彼らが予備選挙と総選挙の両方で勝てると主張している。

 

「これは基盤を活性化させ、浮動有権者層を説得することができる数少ない問題のひとつです」と民主党の世論調査者セリンダ・レイク氏は述べた。

 

彼女は、富裕層に課税する提案は、候補者の進歩主義的な資質を強化でき、さらに医療や教育などの分野で連邦政府支出を増やすことに関する経済的な議論を提供できると述べた。それらの費用増加分を、金持ちに課税する税収で埋め合わせることができるからである。

 

しかし、誰もが新しい提案のファンというわけではない。大統領選挙に立候補するかもしれないと示唆している億万長者から、それらの計画のいくつかは抵抗を受けた。

 

民主党の候補として出馬する可能性がある、前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏はウォーレン氏の提案を批判した。その合憲性を問題にし、米国はその資本主義体制を「恥ずべきではない」と述べた。

 

大統領選に無所属として立候補することを真剣に検討していると語ったスターバックスの前CEO、ハワード・シュルツ氏は、最近のNational Public Radioのインタビューでウォーレン氏の提案を「ばかげている」と発言した。彼はまた、CNBCにオカシオ・コルテス氏の70%の税率の提案が民主党の候補として大統領選挙に出馬しない理由であると語った。

 

ウォーレン氏はツイッターでブルームバーグ氏とシュルツ氏に反撃し、億万長者たちは「自分たちとその仲間だけが得をするような不正なシステムを保持したいのだ」と投稿した。

 

ブルームバーグ氏とシュルツ氏に対する国民の反発により、億万長者は大統領に適さない、もしそうなったとしても、勢いを増すのに苦労するだろうと述べる戦略家もいる。

 

民主党の戦略家、ブラッド・バノン氏はシュルツ氏が「嫌な予感がした」と、経済問題に対する彼の姿勢のために民主党候補として立候補しないことを決め、ブルームバーグ氏は「同じ現実に直面しなければならなくなるだろう」と語った。

 

多くの民主党の候補者は、富裕層に対する税金を大幅に引き上げるための具体的な提案をまだしていないか、税金の優先事項を他のどこかに主な焦点を当てている。

 

カマラ・ハリス上院議員(D-Calif.)は、月曜日CNNのタウンホールにて、大統領になって最初にすることは、低所得・中間所得層の家族に対する6,000ドルを上限とした税額控除の法案を成立することだと発言し、中間層への減税を強調した。

 

彼女は、高額所得者は「より多くの税金を支払う必要がある」とタウンホールにて発言し、彼らが得をするトランプ大統領の税法の一部をある程度縮小して受け入れることを想定している。選挙運動員ハリス氏は、議員からさらなる課税提案がなされるだろうとしている。

 

一部の専門家は、富裕層に対する増税に焦点を当てた政策大綱は、低所得者に対する減税を求める提案よりもより有権者を引き付けると勧めている。

 

「一般的に、自分たちが払い過ぎていることに比べて金持ちと企業は公正な分け前を払っていないと、人々が不満を持っているというのが世論である」と、Urban-Brookings Tax Policy Centerの上級研究員、ハワード・グレックマン氏が述べている。

 

富裕層に税金をより多く支払わせることへの国民の支持と、民主党が彼らの支出優先順位に対して支払う方法を見たいという願望を考えると、2020年大統領選が加速するにつれて、より多くの候補者から富裕層に課税する提案が出てくるだろう。

 

「これは選挙にとって避けられない問題になると思います」とクィント氏は発言した。


 

 

 

この記事が気に入ったらシェアをお願いします。